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173/184

174th 使えそうな素材は毒を持つ

 砂塵のようなものが収まった先は、これまでとうってかわって違う世界のようだった。

 色とりどりの花が咲いており、小川もある。とても危険生命体がいるような惑星の姿にはみえない。

 周囲にレグアたちは見当たらず、自分たちのいる場所が可笑しくなったのだと分かる。

 小型機の周囲は先ほどの砂塵のようなもので埋め尽くされていた。


「マスター。これはどうやら鱗粉のようデス。砂ではありませンネ」

「鱗粉? 何かの生物のものか」

「ハイ。呼吸器に入ると何らかの影響を受けるかもしれまセン」

「これ自体が第三種危険生命体の可能性もあるか?」

「イエ。鱗粉は生命体ではありまセン。発生源であるものは……どうやら不思議な生命体のようデス」

「不思議な生命体って、未確認生命体ってことだよな。どんなやつだ。鱗粉ってくらいだから、蝶々のような

ものか?」

「マスター。此処では機械を外してもよさそうデス。どうぞこちらを使ってくだサイ」


 セイソーに渡されたのは、小型の望遠鏡だ。

 これは倍率数万倍まで見える電子顕微鏡のような望遠鏡。

 覗いてみると……「何だあれは……人面蝶ってやつなのか。よくみたら足も生えてる」

「恐らくでスガ、地上にいた女性たちの変異した姿だと思われマス」

「つまり、第三種危険生命体の影響で姿を歪められた存在ってことか?」

「断定はできまセン。それにこれだけの鱗粉量デス。あの一匹だけとは思えマセン。

なぜ男性を拒絶していたノカ。もしかしたらこれは男性に幻覚作用を与えるものかもしれマセン」

「鱗粉による幻覚作用か。これ、中和出来ると思う?」

「マスター。セイソーが鱗粉を採取する許可をお出しくだサイ。分析して中和剤を作成いたしマス」

「危険じゃないか? あいつに見つかったら……」

「恐らく機械であれば反応しないのでショウ。先ほどの鱗粉でこの小型機を調べた上デ、興味が無く

ナリ手放したものと思いマス。マスター。再度機械を装着してくだサイ」

「分かった。開けたところを狙われたりしないようにしないとな」

「僅かな隙間だけ開ければ問題ありまセン」

「よし……いいぞセイソー」


 セイソーが僅かな隙間から採取した鱗粉。一つ一つは桜の花びら程度の大きさもある

大きな鱗粉だった。それは僅かに茶緑のような色をしており、一見すると砂塵に見えなくもない

色だと分かる。

 

「マスター。ビンゴだったようデス。これには大変危険な作用がありマス。第三種危険生命体よりも

こちらの方が危険デス」

「つまり取引先の女性たちは危険を考慮してあのような提案をしていてくれたってことだよな。

どのくらい時間がかかりそうだ?」

「直ぐ作成してみせマス。レグア様やフラー様が心配でしょうカラ」

「それはまぁ、そうなんだけど。けどさ、セイソー。この鱗粉って地球の素材として使えないか?」

「どうでショウ。あの生命体がどの程度放出出来るかにもよりマス。弱毒化に成功出来れば資源としては使える

可能性はありまスネ」

「そうか。それにしても鱗粉ってオスがメスを引き寄せるためにあると思ってたけど」

「その鱗粉もありまスガ、この鱗粉は外敵を寄せ付けないための鱗粉デスネ」

「それって違うものなのか?」

「ハイ。鱗粉が取れる部位により異なりマス。マスター、これは随分と水をはじく能力が高いデス。

危険デスが、いい素材となり得る可能性がアリマス」

「隊長に連絡したいところだが……まずは此処を脱出する方が先だ。乗り物で移動したら

あいつも動くと思うか」

「微妙なところかもしれまセン。デスガ、じっとしているのもそろそろ限界でショウ」

「そういうこと。そろそろ離脱してレグアたちと合流するぞ!」

「承知しまシタ。マスター、これを一息で飲んでくだサイ」


 そういってセイソーが差し出すコップを見ると……茶緑色の気持ち悪い飲み物がそこにあった。


「これ、飲むの? 本当に?」

「ハイ。メロンソーダ味デス」

「匂いが変な匂いなんだけど……」

「さぁグイっとドウゾ」

「うぅ……ゲホッゲホッ、全然メロンソーダじゃない! 土団子の味だったぞ!}

「そう言わないとマスターが飲まなそうだったノデ。さぁ行きマショウ!」


 セイソーにはめられた俺は、気持ち悪さを覚えながらも小型機を浮上させ始めた。

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