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173th 惑星ミーストール

 アンネとの艦で取引を完了させたエレットたち一行は、惑星ミーストールへの

着陸を目前としていた。


 指定惑星への取引補助として同行するのはレグア、フラーの二名。運ぶ小型艦の操縦者は俺。

 メイン進行者はアンネさんだ。

 不測事態に備えてアオアシラ、ライチェ先輩が小型の艦で待機している。

 不測事態組は仁・青井が操縦者で、アッシェンMに残るメンバーも多くいる。

 俺と仁さんは存在を人としてではなく機械として認識されるように、機械

に包まれた状態で操縦席にいる。

 

「この小型艦で直接降りられるのか?」

「そのようデス。システム時空とリンク完了。まもなく下降いたしマス」

「よし。行こう」


 惑星ミーストール、指定エリアにゆっくりと下りていく俺たち。

 

「緊張する。ナノワクチンは全て打ったし、大丈夫だと思うけど」

「第三種危険生命体……そんなのがいる星に来るの、初めてだわ」


 アンネさんとフラーが少し怯えて話している。レグアは全く微動だにしていない。

 着陸地点は……砂塵でよく見えないな。

 視界が悪い……こんな場所で取引しないといけないのか? 


「これじゃ見えないけど、どうする?」

「指定されたのはこの場所だったわ。でも、どうみてもおかしいわね」

「ああ。武器にしろ食糧にしろ、こんな視界の中で受け渡しなんてできないだろう」

「連絡を入れてみるわね。エレットは喋らないで」

「わかった」

「……私よ。アンネ。目的地に着いたけど、視界が酷いの。砂で全く見えないわ。

どうなって……え? 馴染むまで待て? どういうこと?」


 アンネがそう言ってからしばらくすると、確かに視界が徐々に晴れて来た。

 こちらから取引相手は目視出来ない。


「外に出ても平気かしら?」

「まだダメよ。それにしても本当にこんな星で生きていけるのかしら……」

「一面砂しかない。これでは何も育たない」

「草木一本生えて無いわ。いえ、そうさせられてしまったのかしらね」


 アンネ、レグア、フラーの三人は、話しながらじっと外の様子を伺う。

 見渡す限り砂漠。

 その砂漠下からゆっくりと、望遠レンズのようなものが浮かび上がって来た。

 そして――砂漠の下から浮かび上がる、異様な形をした乗り物。

 そこから全身防護服に身を包んだ者たちが出て来る。


「彼女たちで間違いないようね。注意しながら行きましょう」


 レグアとフラー、アンネさんは外へ出ると、積載された荷物を降ろしていった。

 相手側は防護服のようなものの装着を外すと、美しい顔立ちではあるが、かなり警戒し

ているようだ。


「マスター。どう思いまスカ」

「今のところ第三種危険生命体は見当たらないと思う。この場所を指定したってことはここが安全って

ことじゃないのか?」

「それは違いマス。この星には既に安全な場所など無いので隔離惑星として指定されてイ

マス」

「そうか。それじゃいつ襲われてもいいように……あっ!」


 相手側の一人が腕を伸ばし、フラーをつかんでいる。

 引き剝がそうとしているようだが全く剥がれないようだ。

 だが……どうみてもその手の持ち主は止めさせようとして必死な形相だ。

 

「どうされマスカ」

「様子見した方がいい。何せあそこには……」


 レグアはとっさにフラーを襲う手を引き剝がしてみせた。

 さすがだ……直ぐに他の仲間と思われる者が取り押さえて、何かの薬を注射した。

 

 発作的に起こるような行動なのだろうか。

 アンネさんが一通りの荷物を差し出すと、小さな袋を一つ受け取る。

 ひとまずの依頼は達成……かな。

 だが戻って来る気配はない。

 困った顔をしているようにみえるが……。

「マスター。大変デス。急いで全員戻した方がいいデス!」

「どうし……また砂嵐か!?」

「砂嵐というより、これはモウ」


 砂塵で周囲が何も見えなくなる。取り残されたのは俺とセイソー、そして乗り物だけだ。

 

「ぐっ……しまった。何か起これば直ぐに駆け出すっていってもこれじゃ……」

「帰還方法が無くなれば我々はこの惑星に閉じ込められてしまいマス」

「しかし、砂塵が収まる気配がないぞ。どうなってるんだ?」

「マスター。どうしまショウ。もしかすると砂塵に飲まれたのは、我々の方だったのではないでショウカ」

「えっ?」

「システム時空とのリンク遮断を確認しまシタ。分析中……分析不可能、分析不可能。マスター、非常事態デス」


 周囲を再度みると、先ほどとは景色がまるで違う場所に俺たちはいた。

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