164th 女性陣の2on2
トレーニングルームに仁さんと辿り着く。
ここはドッグがある場所から離れた、アッシェンMの中央付近。
一室の大きな部屋がある。
中に入ると手前は分析や観察が出来る部屋で、奥がトレーニングエリア
となっている。
その中には、疑似戦闘を行える場所がある。
「あれ、レグア、フラー組対ニッキー、アオアシラ組?」
「ほう。面白そうだ。見てみよう」
ちょうどこれから疑似戦闘を行うらしい。
いいタイミングで来たみたいだ。
「いくわよレグア」
「うん。手加減しなくても本当に平気なのね」
レグアも装備換装してるな。あれは……格闘士か?
フラーはCC戦の時に見た装備と一緒だ。
対するニッキーは装備換装無しで、ナックルと胸当て一つ。アオアシラは……見た事ない
装備換装だな。
ニッキーにヘッツが無い分、ハンデがあるからそれを補うためか?
レグアとニッキーが前。後方にフラーとアオアシラがそれぞれ対峙して
構えている。
動き出したレグアに合わせてニッキーも動き出した。
格ゲーばっかりやってるから、ニッキーの動きは凄い。
やってる格ゲーは全て現実と大差ない動きを読み取り可能とする上、宇宙の
発展した惑星同士で対戦出来る宇宙規模のゲームだ。
のめり込み、宇宙の塵となったやつは数知れず。
対するレグアは、素手で最新鋭の兵器を破壊する文字通りの宇宙人だ。
父さん程じゃないが、何れは父さん程有名になるかもしれない。
開始した瞬間突っ込むのはニッキーのいつものこと。
だが、返り討ちしやすいと思ってたり、ニッキーの戦う所を見た上で
挑んダ奴は必ず騙される。
……俺がそうだった。
ニッキーは小さい。しかし速い。そのトップスピードがどのくらいか……
戦闘で見せるその加速は、自由に変更出来るのだろう。
「あのチビ、早いな」
「それ、ニッキーに言ったら猛烈に怒って襲い掛かるから注意な」
「あ、ああ。だがあの女は俺が知る限りで最も強い女だ。勝てるとは思えない」
「いや、ニッキーならいい勝負だろう。レグアにはためらいが見られる。
自分が攻撃すれば相手を殺してしまうのを理解しているから」
「そうか……いや、攻撃すると決めたようだ」
ニッキーの攻撃を防ぎつつ、出来るだけ回避している。だが、素早いニッキー
の猛攻に対し防ぎきれなくなったと判断したレグアは、手をだそうとして……
後方から飛んできた炎をその拳に受けた。
チャンスと見たニッキーはそのまま攻めに転じようとしたところで、後方
からミサイルが降って来るのをバク転してよけつつ後退する。
「いいタイミングだ。青井のやつ、あんな攻撃を」
「あれはヘッツの能力を利用した攻撃だな。照準を合わせて発射させた……忍術
だったか?」
「ああ。局所を簡単に合わせて狙い撃ちできるのか?」
「いや。対象が味方か敵かをセットするのに時間がかかるんだろう。
手のように小さいものへ、警戒しながら照準をロックするのは厳しい。
狙い撃ちかもしれない」
「固定されているものへはどうだ」
「楽勝だ。ヘッツの自動サポートで戦闘はどこまでも優位になる。
つまり、レグアはサポートを受けていない。切ってる証拠だ。ニッキーに
併せてるんだろう。俺たちがやる時はフルで使用してやってみよう」
「わかった。だが、いいのか? 悪いがあんたは戦闘特化型の者に見えない。
ただの人じゃないのか?」
「ただの人か……それだったらこのマテリアラーズに所属していないだろう。
俺はエレヴィンという人類史上最強の男の、子供だ。どんな遺伝子が入っているか
自分でもわかったもんじゃない」
「エレヴィン中将の息子……そういえばここへ配属されるときにそんな噂聞いたが、事実
だったのか」
「どうやら決着がつきそうだぞ……今回は」
「っきゃあーーー!」
「うっ。攻撃、出来なかった」
【トレーニングモード終了。三ノックダウン。勝者、ニッキー、青井・不知火チーム】