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156th 惑星ギンギールに住まう生命体

 ホバーに乗って疾走すると、銀雪のような場所から、森のような場所へと出る。

 宇宙から見た森林地帯なら、かなり広大な森だろう。


 迂回して銀雪から町があると思われる方角へ向かう。

 

「セイソー。町がある場所までどのくらいで到着する?」

「マスター。どうやら町は森の中のようデス」

「何だって? 迂回しちゃったよ! どうするんだ。ホバーじゃ入れないだろ?」

「歩いて行くしかないんじゃなぁーい?」

「ホバーをこの辺においておくわけにいかないだろ? 帰りはどうするんだよ」

「森の中にある町って、どんなのが住んでるのかしら……」

「惑星ギンギールは高度な知的生命体が住んでいるようデス。好物は木の樹液と

記録されてイマス」

「嫌な予感がするわ……会話はできるのかしら」

「フラー様。もしかするとフラー様の想像通りかもしれまセ……」


 セイソーが話し終わる間もなく、森の直ぐ近くにいた俺たちは驚愕した。


 森の中から飛んでくる何かがいた。

 それは黒く巨大で角がある。

 羽が生えていて空を飛ぶ。

 森の間をすりぬけてくる巨大な甲殻類。


 ……虫だ。


「ぎゃーーーーーーーー!」

「きゃーーーーーーーー!」

「ひぃーーーーーーーーーん!」

「虫か。大きいな。強そうな外見だ」

「大きい生き物」

「うわぁ……女子が悲鳴を上げてもおかしくない奴だ……」

「惑星ギンギールの生命体と確認しまシタ。言葉を通じるようにシマス」


 直ぐに行動に移ってくれるセイソーはさすがだ。

 それにしても約二名、レグアと仁さんは冷静。

 しかし、女子三人は壮絶な悲鳴をあげている。

 巨大な虫が普通に喋っているように見えるからな。

 よーく目を凝らして見ると、目が四つくらいある。

 羽音が、とても大きい。

 甲殻類で自我があり、空も飛べるって人間よりよほど凄い生物じゃないだろうか。


 そう冷静に分析していると、どんどんとこちらへ近づいてきた。

「おおーーーーい。あんたたち、来訪者だよなーーー!? やぁやぁ。初めまして。

惑星ギンギールへようこそ。君たちの宇宙船には近づかないよう指示が出ている

けど、道に迷うんじゃないかと心配になって。シンバースの森へ来てくれて有難う。

その乗り物じゃ先に進めないだろうし、僕に乗っていっていいからね」

『いやーーーーーーー!』

「そんな全力で否定しなくても。初めまして。マテリアラーズ所属、艦長のエレットです。

あなたは?」

「僕はシンバースの森管理員のギンドレイク。ギンはこの星に住まう者全てに

つけられる証明だから、僕の事はドレイクと呼んでくれ」

「ドレイクさん。ここに乗り物を置いて行っても平気なんですか?」

「勿論。誰も君たちの乗り物なんて、勝手に持って行ったりしないよ。

僕らじゃそれに乗れないからね。それよりも、時間は有限だよ。早く乗って。

美味しい森のご馳走が君たちを待っているから。お金を沢山使ってね」

「うっ……美味しい森の料理ぃ……」

「ご馳走……」

「誘惑されますぅ……」

「おい。強い武器はあるか」

「戦う道具かい? 素材なら沢山あるけど、武器は僕らじゃ作れないよ。

取引した武器なら売ってると思うよ」

「そうか。なら直ぐに行くぞ」


 そう言うと、仁さんは一足先にドレイクさんへひょいと乗り込む。

 ゆっくりと地面へ降りてくるドレイクさんの背中に俺も乗った。

 俺たち全員乗せても飛べるのかな? 


 女性陣も渋々、恐る恐る乗ると、最後にレグアも乗る。

 すると……ドレイクさんは地面に両足をつけて、飛び上がる。

 それはもう、とても高く高く……。


 そして、ゆっくりと前へ進みながら下降していく。

 上空から森全体を確認すると、奥の方がぽっかりと開けているのがわかった。

 本当に広大な森だ。その開けた部分に着陸しようとしていたのか。

 そこが恐らく町のエリアで、だから着陸地点をずらす必要があったんだろうな。


「シンバースの町に着いたら、町長に挨拶してね。喜ぶと思うよ」

「わかりました。この惑星って他にも町が沢山あるんですか?」

「うん。沢山あるよ。でも、宇宙からの通信が機能している場所は少ないんだ。

僕たちの町だって、宇宙からの来訪者が来なければ、そんな設備作れなかったからね」

「それじゃ、僕らみたいな人間も町に住んでたり?」

「住んでるよ。愉快な人たちが。でも数は少ないし、町からは出ないけど」

「そっか、よかった……」


 少しほっとする女性陣。

 料理はその人たちが作ってるのかな。

 

 ゆっくりと森のぽっかり空いた場所へ向けて降りていくドレイクさん。

 町に着いたら各自、自由行動にしよう。

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