155th 着陸、惑星ギンギール
「システム時空より全搭乗員へ。まもなく惑星ギンギールへ着陸します。
予定着陸地点の安全性……二十二%。全搭乗員を固定します。
その場で待機してください」
システムからの案内により、全員その場で拘束される。
……強引なシステム設計は姉ちゃんっぽい。
いつでも自由に動けるようにすると、こうなるのか。
――固定されるのが解除されるまで一分程。
衝撃などは特に感じていない。
無事着陸できたのだろうか。
「システム時空より、固定の解除を宣言します。
本艦は無事に惑星ギンギール指定地点への到着を完了しました。
手動運転モード解除。お疲れ様でした。強制休息に入ります」
時空の案内が終わり、俺とフラー、レグア、ニッキーは
補給のため外へ出る準備をする」
時間を決めて全員外へ出ても平気かを確認しないと。
だが……「強制休息……ってことはパープラー隊長は
外に出れないか」
「ただの補給なんだし、全員出る必要はないでしょ? 買い物
したい人だけでればいいんじゃなーい?」
「そうね。私もこの星のスウィーツしか興味ないもの」
「スウィーツ。食べたい。月で食べたの、美味しかった」
「艦長よりシステム時空へ。これから自由行動をさせたいんだけど
安全に行動できると思うか? 買い物とか、遊びとか、観光とか」
「時空より艦長へ。周囲五キロ圏内までは安全だと推測。
本艦は移動用ホバー機を七機搭載しています。
艦長の指示で使用ロックを解除可能です。利用する場合は
時空へ呼び出しをお願いします。また、惑星管理局より通信が
入っております。艦長宛てのメッセージです」
「読み上げてくれ」
「はい。マテリアラーズ新型機と確認しました。
お立ち寄り頂きありがとうございます。滞在可能期間は一日と
申請を受けております。その間ゆっくりとお楽しみください。
滞在金はマテリアラーズ本部付で請求させて頂きました。
そちらへの機体へは立ち入り禁止の措置を出してありますので
ご安心ください。惑星ギンギール代表、オーケンルーペ執相より」
「お金、本部付なのか。また父さんが遠出しそうだな……よし。
ホバーの利用を許可。俺たちにも一台回してくれ。全員五キロ圏内は
自由行動。今日中であれば好きな場所に行ってもいいけど、戻らな
かったら置いていくと伝えてくれ」
「承知しました。行ってらっしゃいませ」
時空に伝令を頼むと、ホバーが置いてあるドッグの端へと向かって
もらう。
これもミシーハ博士製のホバーか。
青色のボディーが実に美しい。四人乗りのホバーだ。
「セイソー。操縦できる?」
「マスター。お任せくだサイ。フラー様、ニッキー様、レグア様の
四名で補給任務を開始シマス」
ホバーに乗ると、ホバーは壁に向かって走り出した。
そのまま突撃するとぶつかる! と思ったけど、ドッグの
壁が開いて、そのまま外の世界へと飛び降りる形で出れた。
「かべ、壁が開いたー!」
「どうなってるの、この艦!」
「凄い……これが違う惑星。不思議な景色」
「うひゃーー! ギンギールっていうだけあって、銀でできてるのかと
思ったけど、銀色っぽい雪のようなもので覆われた地面だ!」
少し緑のような場所に降りる予定だったが、位置がずれたため
現在地は銀色の世界が広がっていた着陸地点だ。
補給できるポイントまではホバーで向かう。
セイソーたちヘッツに積み込まれている素材は全て空にしてきた。
これで沢山詰め込んで帰れる。
後は姉ちゃんとジョーゴンたちにアッシェンMの補給を
頼んだ。
この周囲にはどんな生物や素材があるのだろうか。
銀色の雪原をホバーで走らせると、舞い上がる美しい銀しぶき。
だだっぴろい雪原をホバーで爆走する。
さすがはミシーハ博士製のホバー。
音が静かで速度も出る。
気温はかなり低いが、風は入って来ない。
全体的に地表の温度が低い惑星なのかな。
重力や空気などは地球と大差ない感覚だ。
調整する必要もない。
それなら生態系も似てるのかな?
「まずは近くの知的生命体が済んでる場所で補給を試みよう。
セイソー、頼む」
「お任せくだサイ。おや? 後ろからアオアシラ様がいらっしゃってマス」
「待ってーーーーくださーーーい! もう、置いてかれるの、いやぁ!」
「おい。金を持ってない。新しい武器を買わせろ」
追いかけてくるホバーには、仁・青井とアオアシラの兄妹が
搭乗していた。
全部で六人パーティーか。多いな……。