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153th 新アクシズバリエーション展開! 

 新たな旅立ちの準備を行う。

 現在は速度を落としてゆっくりと宇宙域を航行中。

 俺たちは艦隊を動かすための所定位置、オペレーションルームへと移動。

 全員を先ほど告げた持ち場に着かせると、いよいよアクシズバリエーションの展開準備に移る。

 しかし先ほどの時空の説明では、新アクシズバリエーションという新しい移送方法。。

 姉ちゃん以外何が起こるか気が気ではない。

 まず疑問に思ったニッキーが俺に訪ねてきた。


「これ、一体どういう理論なのぉ?」

「なんか、簡単にいうと惑星内で大気や水資源、風の流れをコントロールできるだろう? 

それは宇宙空間そのものも、それらと同じように可能で、それを実現させた結果だって

姉ちゃんが言ってた」

「全然想像つかない。そんなこと!」

「うん、俺まだ」


 フラーも同意して頷いている。

 そして……いよいよ展開されるアクシズバリエーション。

 これまでのアクシズバリエーションであるなら、衝撃が強く、こんな巨大艦隊の移送は

できなかっただろう。

 新アクシズバリエーションは、今のところ全然衝撃を感じない。

 移動させる物体の質量があるのも影響しているのだろうけど、こんな大型艦が移送できる

なんて、信じられない。

 

「システム時空より搭乗員全員に通達。

まもなく新アクシズバリエーションを展開します。移送位置の誤差を修正。

惑星ギンギールより二六七九キロ離れた地点へ移送。付近の宇宙漂流物を検索……該当無し。

アクシズバリエーション、展開されます」

「う……やっぱり少し揺れる……」

「全然ましよ! 信じられない速さで進化してる。これが、ミシーハ博士のヘッツ……」


 艦の速度は急速に落ちる。しかし、宙域はぐるぐると目まぐるしく回る。

 これを見ているとはきそうだ。持ち前の席にある操作盤を見ていた方がましだ。


「システム時空より全搭乗員へ。新アクシズバリエーションの成功を確認しました。

座標軸のズレ、誤差一メートル二十三センチ。実験は成功です」

「実験て言われると怖いわ……」

「ミシーハ博士レベルの実験は、もう実験ではなく実践だろうけどね……エレット。

ここからは操縦指示を私に出してくれるかな」

「手動で動かすんですか?」

「ああ。ミシーハ博士が実験をするというのなら、私もそうするべきだろう」

「えーー!? パープラー隊長って、戦艦動かせちゃうんですか?」

「おいおい。ライチェ君と私、それからパルスナー君も操縦者として経験を積んでいる。

知らなかったのかい?」

「初耳です……」

「俺も……」


 フラーと二人、顔を見合わせて驚く。

 手動での艦隊操縦はとても難しいと聞くが、システムエラーなどが起こった際、それを

行う者がいない場合、死を意味するだろう。

 これは非常に助かる。


「こちら副官パープラーよりシステム時空へ。艦の操縦機がどこにあるか教えて欲しい」

「システム時空より副官パープラー様へ。本機はエクスペリエンスモードでの操縦を

設けております。ただし、単体でのエクスペリエンスしか行えません。

操縦機を下ろしますので、搭乗してください」

「やれやれ。こちらにまでシステムを入れてあると、いざという時に利用できないだろう?」

「可能です。二十三ルームから直接向かう事ができます。

ここから直接アクセスするにはシステムを経由する必要があります」

「そうか……ではよろしく頼む」


 オペレーションルームの上部から、下にゆっくりと下りてくる操縦機にパープラー隊長が

乗ると、再びゆっくりと浮上していく。

 すると――パープラー隊長のホログラムが正面に現れ、操縦を開始するのが見えた。


「隊長が見える……」

「これは……MR技術か。懐かしいが嬉しい配慮だ。こちらの状態を把握しつつ

邪魔されずに操作できる」

「エクスペリエンスモードでは、安全かつ集中して経験を積めるよう設定された

カリキュラムもあります。どうなさいますか?」

「このままでいい。ふむ……どうにか操作できそうだ」



 ホログラム映像より、パープラー隊長があちこちいじっているのが確認できた。

 

「エレット。惑星ギンギールにおける補給ポイントを割り出し、データを送信してくれ。

どの補給ポイントへ向かうかは艦長である君次第だ」

「はい! ……あの、どこがいいんでしょうか? 俺、ギンギールっていった事ないんですけど」

「候補は……これだ」


 パープラー隊長のホログラム……操作盤の上に、惑星ギンギールと思わしき映像が映し出される。

 文字通り……本当に銀色の惑星だ。

 サイズとしては大きくない。地球の半分程の大きさ。

 付近に太陽に準ずるものがあるらしいのだが、緑豊かな惑星という感じではない。

 ……もしかして、寒い惑星かな。


 そうすると……わずかに緑のような物が見える地点にしたい。


「少し緑ががかった辺りに補給スポットはありますか?」

「ある。確かにこの辺りなら多少はマシだろう。惑星ギンギール、補給地点を設定。

手動運転は久しぶりでね。少し揺れるが我慢してくれ」


 どうやらパープラー隊長、少し楽しんでいるようだ。

 揺れに備えながら、パープラー隊長の技術を確認しよう。

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