146th アンネさんからの取引内容
パルスナー先輩からの助言などを受けた後、部屋に戻るとメッセージを受信していた。
内容はアンネさんからの取引に関する内容。
まず要求されるのは人員、俺とレグア、それにもう一名女性隊員。
もう一名については戦闘経験があり、レグアにも劣らないような者が望ましいと
指名付き。こちらは問題ないだろう。なにせ試験ではレグアと協力して
行動している。シロッコも同行可能なのか聞いてみよう。可能であるなら
パープラー隊長にも話さないといけないな。
それと必要物資の交換依頼か。こちらは交換品が色々記載されてる。
それと重要項目としてあげられているのが、土壌資源と大がかりな設計図だ。
まさかミシーハ博士が俺の姉という情報まで仕入れてるんじゃないよな、あの人。
こんな設計図、ミシーハ博士でもないと理解できないだろう。
それに、そもそもこれほどの設計図を考えるなんて、ミシーハ博士じゃないと
出来ないと思っていたんだが……一体何者がこれを書いたんだろうか。
地球……海に飲み込まれた大陸を戻すのは容易じゃない。
海水を減らすにしろ新たに土地を構築するにしろ作業は難解を極める。
それを可能にするための設計図……なのだろうか。俺にはよくわからない。
それ以外にも地球上で必要となる資源が無数に書き込まれている。
この必要となる資源をランク付けしているのだが、例え低いランク……例えばアルミだったり
鉄だったりでも要求される数は非常に多い。何せそれらは地球じゃなくても
沢山使用するからだ。
無人惑星にもそれぞれ惑星協定が結ばれており、所有できる自治権事に持っている量が変わる。
どの発展星もやっきになって資源を集めているのが現状の宇宙。
その中でも先んじて資源を集めたのが月だ。
「金とかもかなりあるな。白金もだ。随分と裕福なことで……それほど大きい組織ってことだよな。
一体どこの組織だろう。これはパープラー隊長宛ってことでいいとして、作戦日とかは
……書いてない。いつ決行するんだろう」
「作戦は三日後。今回はレグア、フラー、エレット、そしてシロッコの四名で行ってもらうよ」
「わわっ。隊長? ノックくらいしてくださいよ」
「いやー、したんだけどね。随分と夢中で見てたみたいで気付かなかったようだね」
「あれ? そうだったんですか? すみません。このメッセージ内容、殆ど俺宛てじゃ
ないみたいで」
「エレットというより、ミシーハ博士宛て……だろうけどね。彼女なら
気付いていても当然だ。彼女と鉢合わせた時点で、エレットの抱えてる隠し事は筒抜け。
恐らくこの星にいることも既にばれてるだろう。惑星シドーに行かせたのは
エレヴィン中将と私の判断だ。こればかりは仕方ないが……それよりもジェフからいい報告があってね。
今回の任務はお手柄だった」
「でも、他の仕事が増えちゃって。なんかすみません」
「お前が謝る事じゃないだろう? リスクを背負わせてしまったのは私の責任だ。
それくらい、上司として責任を負うのは当たり前。それにこちらもアンネと接触する
ような事態になるとは考えてなかった。まぁ彼女が味方でいるうちは、安全だろう。
断れない事を理由にして、無理難題をふっかけたりはしないと思う」
「そうですか……その、何者なんですか? アンネさんて。普通の組織じゃないですよね」
「ああ。実はね。詳しい事は私もよく知らないんだ。旧知の仲ってのはあるけど。
ただ一つ言えるのは、敵には絶対回したくない……ってことだね。
もう一人知り合ったガウスもそうだけど。そういうことで、エレットの新しい任務は
最重要課題となる。今回の任務は危険を伴うだろう。君の持つフルバーストの解除を認める。
ただし、多用はしないこと。いいね?」
「本当ですか? でも俺は……」
「まだ事故の事を気にしてるのか。大丈夫。今はセイソーもついてるだろう。
それにせっかくもっている力を使わないのはもったいないぞ。イチの青年」
「はい……わかりました」
こうして三日後に新たな惑星へと向かう事になる。
……どう考えてもアオアシラは文句を言うだろうな。