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144th センターマクスビルにてその五、終

 ガウス、レブラ、アンネと共に取引を進めるエレット。

 アンネの話を聞き終わると、全員少し悩むポーズを取る。


 最初に口を開いたのはガウスだった。


「……話はわかったが表立っての全面協力は出来ない。

理由は三つ。まず一つ目はこちらの利が薄い。二つ、敵に回す奴が多いかもしれない。

三つ。俺にはレブラさんという思い人がいる。つまりだ」

「あら。その思い人が協力しようとしてたらどうするのかしら」

「……全面的に協力するほかない」

「あんたって見かけより情熱的で一途そうね」

「アンネさんの話を要約すると、第三種危険生命体以上がある星との、取引援助を継続的に

行って欲しいってことだろう? それはマテリアラーズに掛け合ってみても協力はまず

出来ないんじゃないか? 宇宙間協定連邦にマテリアラーズは所属してるわけだし」

「そうね。確かにマテリアラーズの影響はとても大きいわ。でもパープラーなら私の話もわかってくれる。

そう思っていた。話を通してくれたエレット君にはとても感謝しているの」


 ……ここなら話しても平気だろうし、話しておくべきか。深いところまでは話せないけど。


「正直に言うと、隊長はあまり気乗りしないという感じだった。でも、エレヴィン中将がね」

「エレヴィンだと!?」

「……まさかエレヴィン中将まで話を持っていったの?」

「しょうがないだろ。うちの管轄はエレヴィン中将なんだし」

「ふうん。一介の隊員である君が、エレヴィン中将と取引ね……」

「中将は誰とでも接してくれるよ。性格に難ありだけど」

「随分親しい間柄に思えるけど。まぁいいわ。それにしてもそんな大物にまで認められてるなら

あなたの方は平気そうね」


 こちらを見てにっこりと微笑んだアンネは、レブラと向き合う。

 彼女との取引内容が一番気になっていた。

 ガウスは彼女が協力するなら全面的に協力すると言っている。

 そして彼女自身が取引の鍵なのだろう。


「そもそも私が持ち掛けた取引なの。でもガウスさんに協力をお願いするつもりはなかったわ。

最終的に頼る事になってしまったのだけれど、いいのかしら、本当に」

「どういうことだ?」

「アンネさんに取引を持ち掛けたのは私なの。私の生まれ故郷を救いたい。

そのためにね」

「隔離指定星、ミーストールは彼女の出身地。黙っててごめんね」

「いや、なんとなく繋がった感じがしたよ」

「悪いわね。隔離指定星から来たってだけで、差別されたりすることもあるから。彼女が惑星シドーに

来たのは隔離指定される前なんだけどね」

「なんてことだ。俺は……」


 下を俯くガウス。彼女が別の惑星出身ということにショックを受けたのだろうか。


「俺たちの故郷ともなるかもしれない星を俺の都合で敬遠しようとしていたのか……」

「気が早いから気持ち悪いわ! あんた、まだ見染められてもいないでしょ!」

「思い切り突っ込んだな、アンネさん……」

「でも少しだけ嬉しいわ。見知らぬ星を故郷と思ってくれるのは」

「当然だ。レブラさんの故郷は俺の故郷。そして俺の故郷もレブラさんの故郷だとも」

「いや、彼女は既にここに住んでるんだし……」

「はぁ……それじゃガウスにも全面的に協力してもらうわよ」

「必要な武器は何だ。装備も言ってみろ。この俺に取り寄せられんものはない」

「へぇ。やっぱりブローカーとしては恰好良いわね、あんた」

「ふっふっふ。今は目の前にレブラさんがいるからな。レディーがいくらとびきり美人で俺にほれても

今は無駄な事だ」

「ぶち壊さないと気が済まないたちなんだろうな……ガウスって」


 ようやく話を終え、今後連絡をする通信手段を用意した。

 あらかじめ取引がうまくいくと想定していたのだろう。

 アンネさんは俺たち全員に通信用端末を渡した。

 

「安心して。変なものは仕掛けてないわ。仕掛けたとしてもあなたたちなら見破れると思うしね」

「ほぼ全員特殊な環境にいるからな。そうそう、こちらは尻尾ワン……いや、もう伏せても無意味か。

レグアって子と、不知火って子が行く予定だ。詳しい事は追って話す。それじゃ俺は戻るから」

「へぇ……日本名よね、その不知火って子。私、日本って国に興味があるの。後で詳しく……」

「悪いが急いでるんだ。報告がたまってる。それじゃ!」


 アンネの質問に付き合っていると、またさらに時間がとられそうなので、話を切り上げて

センターマクスビルを後にした。

 早く本部へ戻って支度しないとな。

 第三種危険生命体のいる星か……。

 パルスナー先輩かライチェ先輩にでも聞いてみよう。

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