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143th センターマクスビルにてその四

 ガウスと食事を済ませると、立ち上がる二人。

 飲み物だけでやり過ごしていたので、俺たちもすぐ席を立とうとする。


「場所を変えましょうか。十七階に部屋を用意してありますの。そちらで」

「どど、どどどど同行してもよろしいのですか!? 本当に? 夢じゃなく?」

「何か勘違いされているかもしれませんが、取引のお話ですわ。後ろの席の

お二人もご一緒に、ね」

「あちゃー……バレバレですよ。どう考えても。参ったな。いつ気付いたんですか?」

「この写真……どう見てもここだとわかる写真でしょう。取引をすっぽかして

デートをお楽しみ中かと思い、とても悲しい気持ちになりましたわ……」

「ごめんなさいね。これも依頼で……失敗かしら」

「いえ。勿論成功ですわよね、ガウスさん」

「はいガウスです。勿論成功だろう。お前たちよくやってくれたな。彼女が

成功と言えば間違いなく成功それは疑いようのない事だ」

「んじゃ、そう言うことで俺は失礼して……」

「まぁ。ダメですよ。ここまで引き合わせた方が途中で抜けるなんて許されませんわ」

「そうね。せっかくだしあなたにもかかわりのある事だからついて来てもらえる? 

作戦は成功したんだし」

「わかりましたよ。ただあんまり時間は取れませんよ」


 店を出て十七階のエントランスへ出る。ここは下の階とは違って人がいない。

 セキュリティー完備のようで、この階に上がるのにも認証キーが必要だった。

 部屋の前に立つと、ここでは逆にアナログの鍵を使い中に入る。


「扉はアナログなんだな」

「システムに頼る部屋だとハッキングされる恐れがあるからだろう。

取引部屋は大体アナログ部屋だ。特に危険な物を扱う場合はな」

「ここは防音性が極めて高く、隣の部屋までの壁の厚さが三メートル以上あるの。

少し値段は張るけど、多様な使い道があるわね」

「窓も凄いな。外にセリ出ていてバルコニーも広い」


 部屋にはテーブルと椅子があるだけだ。

 電力関係の代物はない。

 光も外から差し込む光を工夫してとりこめるようにしてある。

 壁掛けのランタンが並び、夜はろうそくを灯すのだろうか。


「これだけ非文明のものを揃えるだけでも高額なのよね。

高かったでしょ、この部屋」

「金貨十枚程ですわね。二時間で」

「さて、それでは真面目な取引のお話をしましょうか。おかけになって」


 レブラが奥の椅子へと座り、何も言わずにその隣にガウスが座る。

 ……違う違う! あんたは取引を受ける側だから手前だろ! 


「あの、ガウスさん? おふざけになるのはやめてくださいますか?」

「これは失礼。どうしても君を近くで見ていたいもので……いたた、俺の足を踏むな! 

新たな道に目覚めたらどうする!」


 無言でアンネさんがガウスの足を踏む。

 どちらの女性も怖い笑顔を浮かべたままだ。

 レブラさんの隣にアンネさんが座り、ガウスと俺が、両者に向き合う形で

腰を掛けた。


「まず……自己紹介からですわね。わたくしは惑星シドー宇宙開発部門のレブラ・ファウスト。

この星における宇宙域における活動プロセスを取り仕切っていますわ。

コードネーム、ギャラクシス。以後お見知りおきを」

「私はアンネ・ルーネ。ある組織に所属している活動家よ。取引相手は殆どが

死の星。よろしくね」

「ガウス・マーグレンだ。知っての通りこの星の闇ブローカーとして地位を確立している。

だが悪の組織ってわけじゃない。勘違いするなよいいな小僧」

「俺に名ざしかよ!」

「レディーにそんな事を言うわけがないだろうバカめ」

「はいはい。わかってるから。最後紫電君ね」

「あら。本名は教えてくださらないのかしら」

「やっぱあんたなら気づくよな……だから嫌だったんだけど」

「どういうことだ。こいつは擬体でも使っているのか」

「擬体なんて可愛いものじゃないわね。それはBOS。マテリアラーズが最新で

用意した遠隔操作可能疑似モデル。感覚など全て本物と変わらない、表には

なかなか出せない代物ですわね」

「これが、擬体?」

「はぁ。本名はエレット。マテリアラーズ所属で現在絶対言えない場所で活動中だ。

ギリギリ言っても許されるのはここまで。それ以上は誰にも言えない」

「絶対言えない場所か。そのワードだけで俺なら大体予測がつくな。

惑星……アレンバレンかグレガレー。或いは……アルバメデス」

「詮索はやめましょう。目的は互いの取引なのですから」

「失礼。そうだった」

「その前に一ついいか? おれはレブラさんとガウスとの取引を望んでいるわけじゃないんだが……」

「エレット君。それは大丈夫よ。両方とも確実に巻き込まれるから」

「あら。物騒な話ですわね」

「取引以外での巻き込みなら大歓迎だ……いたたた! やめろ俺の足を踏むな!」

「取引なのだけれど、少し私が先行して話をさせてもらうわね……」


 そういうとアンネさんは立ち上がり、話始めた。

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