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141th センターマクスビルにてその二

 着替え終わったガウスを見ると、闇のブローカーらしさが少し緩和された。

 髪型も前髪を下ろし、綺麗に七、三に分かれている。

 だが……「その貴金属とか、全部外しなさい。どう見てもおかしいって気づき

なさいよね! どこの世界に七、三に分けたごつい金属アクセサリーの男がいるのよ!」

「おおレディー。これは特殊加工された防聴器具。こっちは小型の武器になるものでこっちは……」

「いいから全部外しなさい! デートになんてものつけてくるのよ……」

「ま、まぁ小型の武器とかは俺も持ってるからわからなくもないけど」

「おおわかるかお前。なかなかいいやつだな。少し見直したぞ」

「あんたは俺を何だと思ってるんだ……」

「レディーとの対談を邪魔する道端の道標だ」

「……はぁ。全部外すとお洒落な感じがしないから、最低限の小物、買いに行くわよ」

「おお、まさかレディーに身に着けるアクセサリーを選んでいただく日がくるとは。

しかし私には心に決めた人が。いやしかし! 甘んじて受けよう。これは試練!」

「なんか無駄にお金使うのもあれだし、これでよくないか? 大したものじゃないけど」


 俺が随分昔に身に着けていた、何の変哲もないアクセサリーを渡す。

 

「あら。いいセンスね。いいの? もらっちゃっても」

「ああ。普通のアクセサリーを身に着ける事がほぼなくなったからな」

「おいお前。やっぱり嫌な奴だな。前言撤回だ!」

「さ、買う手間も省けたし……まずは練習ね。私を彼女だと思ってまずは話しかけてみて。

このためにウィックまで用意したのよ」


 ウィックをつけると、少しだけ似た雰囲気にはなる。

 けど、顔やお化粧、スタイルなんかはまるで違うんだよな。

 口には出して言えないけど。


「おおレディー。今日この日に会えたのは運命のいたずら……」

「はいストップ。紫電君、今の、挨拶の常識として採点してくれる?」

「ゼロ。一点も入らない」

「何だと! 運命のいたずらがいけなかったのか」

「全部だよ! まず最初の、おおレディーをやめろ。初対面で異性として意識した

言葉を使うから少し引かれるんだよ。名前がわかってるんだから名前で呼べって。

もっと柔らかく。朗らかにだ」

「レブラさん。こんにちは。今日もいい天気ですね」

「そう、その感じよ!」

「大分よくなった!」

「天気がいいのはあなたが美しいからです。愛しのレブラ」

「たった二言目でぶち壊した!?」

「ま、まぁきっと初対面じゃないから大丈夫よ。オホホホ……」

「本当か? これで彼女のハートを射止められるんだろうな!?」

「私たちの任務は彼女とのデートを成功させることよね。ハートを射止められるかは

あなた次第でしょ?」

「それは、確かにそうだが……」

「ちなみに……既にデートのセッティングは済んでるのよね。私たちは陰ながら

見守ってるから。一応これを耳にはめておいて。アドバイスするから。

私と紫電君でちゃんと見てるからね。時間は十二時ちょうど。

センターマクスビル五階のスウィーツのお店よ」

「何? 俺は甘い物は苦手だぞ」

「相手が甘い物好きなのよ。仕方ないでしょ。我慢しなさい」

「こういう時におすすめなのは、店員に甘さ控えめのスウィーツを聞いてみる事だ。

それと濃い飲み物で口をごまかせば、苦手な奴でも食べれるって聞いた」

「おお友よ。やっぱりお前、いい奴だな。このガウスともあろうものが緊張してきた」

「まだ時間まであるわよ。いい? 彼女にはあくまであなたと二人きりではなく、私と

もう一人のつれと商談という話で、どうしても別の商談で断り切れず遅れて行くという

事にって予定なの。だからあなた次第で行動は変わるわよ。いい?」

「まさかレディーが俺のためにそこまで……」

「あんたのためじゃないわ。私のために決まってるでしょ! さ、頑張っておいで!」

「俺たちはどうするんですか?」

「あら。あなたは私とデートするに決まってるでしょ? うふふ」

「えっ? それは俺が困るなぁ……」

「やっぱり前言撤回する、貴様は男の敵だ!」

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