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140th センターマクスビルにてその一

 今日俺はセンターマクスビルへと来ている。

 今回の任務は俺一人だけ。ここで待ち合わせをしているのだが……。


「あのー、アンネさん?」

「なぁに?」

「どうして腕を組んでるんでしょうか」

「こうしないと、私がガウスさんにナンパされるでしょう?」

「そうしてなくてもナンパされると思いますよ?」

「あらそうなの? そうしたら守ってくれるかしら」

「いえ、靴を踏んずけてやれば落ち着くと思いますので」

「そこは、俺が守るぜ! って言って欲しいわね」

「うーん。参ったな。こんなとこニッキィに見られたらまた冷やかされそうだ」

「あら、あの小さい子? あの子、何者なの? データには見当たらなかったのだけれど」

「ニッキィはBOSで登録したばかりだから。それよりもガウス、来ないですね……」

「もしかして……あれ? うわー……事前に呼んでおいてよかったわ……」


 アンネさんが指さす方向を見ると……紫色のスーツにオールバック。

 サングラスをかけた怪しすぎる男が、胸に花を挿して立っている。

 これからデートというのにあの格好はない。きっと人違いだろう。


「さすがにあれは違うんじゃないですか。あれじゃ恥ずかしくて並んで歩けませんよ。

そもそもどういった場所でああいう恰好をするのか想像もつきませんけど」

「でもほらみて、こっちに来る、こっちに来るわよ! しかも私に向けて一直線よ!」

「おおーー! 何だお前、こんな美人女性を連れてきて。わかってるじゃないかそうかそうか。

「あれ? 面識あるんじゃないのか?」

「面識は無いわよ」

「こちらの方が協力者の? どうも初めましてあなたのような美しいレディーに

協力されるなんて! まるで夢のようだ、いやこれが夢であるはずがない現実だ。

どう見ても私の目の前にいるのは美しい花! ああこうしてはいられない。どうですか一緒にランチでも」

「お前な。これからデートだっていうのに他の女性をランチに誘ってどうするんだよ!」

「おっとそうだった。つい癖でな。ところで怖いヨーン。お前の呼び名もう少しなんとかならんのか

覚えにくい」

「じゃあ紫電でいいよ。そう呼んでくれ」

「そしてなぜ腕を組んでいる今すぐ彼女から離れろ見せつけるな!」

「俺もそうしたいんだけど、離れてくれないんだよ……」

「お前! そんな嬉しい台詞は俺が言うためにある! 今すぐ彼女から離れろ!」

「はぁ……話が進まないから離れますけど、私には二メートル以上近づかないでくださいね」


 あ、膝から崩れ落ちた。物凄いショックを受けている。

 だがあの迫り方なら無理もない。そういうところなんだと思う。


「さて、話を戻すわよ。まずはえーと……ガウスさんでいいかしら。

あなたね。その恰好で女性とデートに行くつもりだったの?」

「そうですが……どこか汚れていましたか? それでしたらすぐに綺麗に……」

「センスの方が汚れてるわ。色、髪型、胸ポケットの花! どれも全部ダメ」


 あ、また膝から崩れ落ちた。今のは流石に可哀そうだ。

 本人もきっと悪気があってその服を選んだんじゃないだろう。


「ばかな……これ以上完璧な服など無いですぜ兄貴……そう言われて部下に背中を

押され出てきたというのに」

「そりゃ闇ブローカーの部下的には違う意味で格好いいっていうアレだろうに」

「その通りよ。危な過ぎて誰も近づかないでしょ、その恰好。まずはこれに着替えて。

お金は紫電から貰ってるからいいわ」

「おお友よ。感謝するぞ。どれ……何だどう見ても平民の服じゃないか」

「サイズはあんたと会った時なんとなく覚えてた範囲で買ったものだから、ちゃんと会うかは

わからないけど」

「問題ない。俺なら着こなしてみせる。少々待っていてくださいよレディー。

直ぐに新たな恰好良い俺になってみせますから」

「はいそれ以上近づかないでねー。行ってらっしゃい」


 ……これは思ってたより大変な任務になりそうだな。

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