138th パープラー隊長への報告
通信を手に取りまずはセイソーへと連絡を取る。
これだけ長い間セイソーと離れるのはいつぶりだろう。
「マスター。お元気そうデスネ。セイソーは心配していまシタヨ。
お仕事は無事上手くいかれたみたいデスネ。レグア様とニッキー様はお戻りデス。
マスターはまだやることがあるのデスネ」
「ああ。二人も休憩したらまた戻って来てもらうつもりだ。俺は取引が終わるまでは
このままでいようかな。別に戻ってもいいんだけどさ。終わったら今回の任務の
話はちゃんとするよ。パープラー隊長に繋げてもらえるか?」
「楽しみに待っておりマス。パープラー隊長にアポイントメントを取っておきマス。
どうも立て込んでいらっしゃるようデスノデ」
「そうか……もしかして今回の件が絡んでるのかな」
「……どうやらそのようデス。パープラー隊長から強制通信。接続いたしマス」
強制通信……ちょっとだけ嫌な予感がする。
特に悪い事はしてない……と思う。
「エレット。無事任務を終えたようでよかったよ。今回捕らえられたCCのメンバーは
現在尋問中だ。だが間違いなく黒であることはわかっている。
こちらは報告を聞くまでもなく行動させてもらった。他にも急な案件が多く、連絡が
出来なかったことはすまないと思っているよ」
「隊長。あくまで任務はそのチームの隊長判断に任せる……ってことでしょう? だから
問題ありません! それでですね、ちょっと厄介な報告も含めてお話すると……」
先ほどのやり取りも含めてパープラー隊長に報告すると……「まったく次から
次へと新たな問題が増えて困るね……アンネの件はわかった。だが
こちらの件は私の一存で判断できる領域を超えている。
エレヴィン中将の判断を仰がないといけないのだが、連絡が取れなくてね」
「父さ……エレヴィン中将に何かあったのですか?」
「あの人の事は君が一番よくわかっているだろう?」
「う……また逃避中ですか。俺から連絡入れてみます。家族用の連絡なら出るかもしれないし」
「そうしてくれると助かるよ。何せエレヴィン中将に報告と承認を得なければいけない
事案がたまりすぎていてね……どう怒りをぶつけようか考えているところだ」
「すみません! 俺の父さんのせいで……」
「はっはっは。エレットはよくやってくれているよ。君が謝る必要はない。
恐らくエレヴィン中将の事だ。許可は下りるだろうがくれぐれも気を付けてくれ。
それと、ニッキー君をその頭数にはいれないように。彼女はまだマテリアラーズの
メンバーではない。事にあたるメンバーとしては不適切。不知火君を連れて行くように。
以上だ」
「承知しました!」
これはどう考えても父さんの影響で参ってる感じだな……急いで家族用連絡網で
連絡してみよう……。
「セイソー。次は家族用端末で父さんに繋いでくれるか?」
「承知しまシタ……接続可能のようデス。少々お待ちクダサイ」
「ん? おお、セイソーか。どうした。エレットからの連絡か?」
「父さん! パープラー隊長がカンカンですよ。連絡がつかないって」
「ちょいと今、軍の奴らとの情報をシャットアウトしててな。居場所を特定
されるわけにはいかん。要件はそれだけか?」
「いや、どうしても父さんに判断を仰がなきゃいけない任務を遂行中で……」
内容を話すと少し無言で考えるエレヴィン。
「どうやらお前も俺と似たような案件で動いてるようだな。
その取引、応じるのは構わんがマテリアラーズであることは伏せろ。それを
条件として掲示し、厳守させられれば請け負っていいだろう。それと
お前にある武器を送っておいた。その取引には生身で行くんだろ?
そいつが役に立つはずだ。近いうちに俺もアルバメデスに行く。
任務が終わったら久しぶりに家族水入らずで飯でもどうだ?」
「わかった。新しい武器? セイソーの素材も補充切れだったし助かるよ。
それじゃまた」
「ああ。そっちもうまくやれよ」
父さんも忙しそうだな。似たような任務か……気になるけど
報告も終わったし……「少し、休憩するか……」