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137th ガウスの依頼ともう一つの依頼

 俺たちは事後処理をジェフさんに任せ、一度連絡のためマテリアラーズの所有するビルまで

向かった。

 ここはセキュリティレベルが極めて高く、民間人などがどうあがいても立ち入れないような

仕組みとなっている。

 全員がBOSシステムで構築された肉体なので、何の問題もなく入る事が出来る。


「それで通信内容は何だったのぉ?」

「開けなかったんだよ。セキュリティレベル不足って出てたから、環境が整わないと

開けないメッセージだろう。ここでなら開けそうだから、一室を借りて確認してみよう。

賭博場のオーナーの方はただの勧誘メッセージだったよ」

「ふうん。レットちゃんだけ賭博場に勧誘されちゃうってのも面白いんじゃなぁい? 

あの姿、似合ってたし? 早く垂れてくんないかなぁ」

「何言ってるんだ。レットちゃんはもうマテリアラーズのメンバーだぞ。

脱退できるわけないだろう」

「ふーんだ。ニッキィだってすぐにメンバーになるもんねー。任務にも参加しちゃったし、手柄も

立てちゃったからね! にしししっ」

「はぁ……そんじゃ釘紅スリーさんの通信を展開してみるぞ……お、いけそうだ」


 一室を借りて通信用端末に接続すると、立体的ビジョンで美女が映し出される。

 大胆に胸元が開いた紅色のワンピースを着て、きっちりと化粧済みだ。


「うわっ。何あの服。エロい! ニッキィも着てみようかな……」

「あらお嬢さんにはまだ早いんじゃないかしら」

「っ!? 喋った? ただの伝言メッセージじゃないのか」

「違うわ。私の星の通信技術よ。改めましてこんにちは。

釘紅スリー……なんて呼ばれるのはちょっと心外ね。うふふ……私は

アンネ・ルーネっていうの。賭博場ではありがとう。少し小銭を稼げたわ。

ただ、本来の目的だったガウスとの接触には失敗しちゃったの。あなたたち、ガウスには

会えたかしら?」

「アンネさんっていうのか。初めまして。目的はガウスに会う事だったんですか。

あなたのような人だったら飛び込んでいきそうな男でしたけど、会えましたよ」

「あらぁ、そうなの。でも異性としてガウスに接触したいんじゃないのよ。

どうしても入手したい物があってね。あなたたちに協力してもらいたいのだけれど……

お礼は勿論するわ」

「……内容によるかな。俺たちはアンネさんの事よくしらないし」

「そうよね。私はそちらのお嬢さん……尻尾ワンさんの実力を高く買っているの。

実はね……ある星で今度取引があるのだけれど、取引相手が警戒心がとても

強い人物なの。それでね。薄手の衣類以外何も身に着けず、何も持たずに

取引しないといけないのよ。相手側は女性の三人組。

こちらも女性の三人組でいかないといけないのだけれど、私以上に

腕が立ち、危険が無いか見通せる目を持つ人がどうしても必要なのよ。

この件もガウスに手配をお願いしようかと考えてはいるけれど、あなたが協力してくれるなら……」

「そういう事なら断ろうかな。こちらは仕事の途中で。

報告も上げないといけないし、そのガウスとの約束事もあるから」

「ガウスとの約束事っていうと、あれかしらね。ある女性と仲良くなりたい……っていう」

「なぜそれを?」

「そちらの件なら私がうってつけだと思うの。それに……その件が成功したら

報酬は期待していいわ。それこそ、マテリアラーズが喜ぶようなものを……ね」

「っ! 俺たちのこと、知ってるのか」

「いいえ。ただ、通信が途切れたのがマテリアラーズ専用ビルだったから、ね」

「そうか。こいつ自信に発信機があるのか。まぁ別にここが割れて俺たちが

マテリアラーズだって知ってもらっても、特に問題はないんだけど」

「あら、そうなの? それでどうかしら、引き受ける?」

「その取引相手はガウスに頼むって時点で結構やばいやつじゃないんですか?」

「いいえ、やばい奴ってわけじゃないわ。正確に言うならやばい星ね。

現在隔離指定星とされているミーストールという惑星。

第三種危険生命体が発見されてから、死の惑星と呼ばれている星よ。

でもその住民たちが悪いわけじゃない。ただ、どうしてもそういった理由で

表ざたにはできない取引なのよ。世間体的二ね」

「第三種危険生命体? ってなぁに?」

「ニッキィはマテリアラーズじゃないから知らなくても当然か。

第三種危険生命体ってのは、惑星規定条約に基づく不穏生命体の総称。

第三種までいくと、例えば惑星間をまたいで問題を引き起こす可能性のある生命体が

生息しているということになる。その星と取引をすると、その生命体が取引相手の

星を侵食する恐れがあり、先進惑星は危険視してるんだ」

「それじゃ、惑星間では取引出来ないってことなの?」

「そういうわけじゃない。どうしても必要となる物資なんかがあるからね。

だから第四種までは一応取引が出来るんだ。ただ……」

「そう。第三種以降は惑星間での取引がほぼ行えない。つまり資源のない

惑星であるならば、ただ死を待つのみの惑星となるの。今回取引

するのは食糧よ。それと……第三種危険生命体と戦う武器。

武器はガウスに手配をお願いするつもりなの」

「……上に判断を仰がないと返答しかねますね。ただパープラ隊長なら……」

「何ですって? あなたのいるチームにいるの、パープラー中佐なの?」

「ええ。エレヴィン直轄の中佐、パープラーマイオレットその人です」

「偶然ってあるものなのね。私、こう見えてもパープラーとは旧友よ。

少し待ってるから色よい返事をお願いね。

連絡方法はまたこの端末に繋げて。私、暫く部屋にいるから。

でも、お風呂に入った後は裸だから、注意してね」

「注意ってこっちからじゃそちらの状況わからないでしょう! 

……あ、切れた。参ったな……でもガウスの件も解決できるなら

一石二鳥か?」

「お風呂入りたい! 一度BOSから戻ろうよぉ」

「ああ。ガウスには連絡しておくから二人は一度戻って休んでいてくれ」

「紫電は戻らないの」

「やる事を済ませたら戻るよ。隊長には報告が必要だしね」

「隊長の名前、出しちゃってよかったのぉ?」

「ああ。エレヴィン中将やパープラー隊長の事は、マテリアラーズ活動報告に

載ってるからね。一応国事活動ってことだから。居場所は教えてないし」

「そっかぁ。うちの会社もそれくらいの事、やった方がいいのかなぁ」

「シドーカンパニーは規模が大きいからな。商売敵も多いし迂闊に情報は露呈

できないだろ。ニッキィがあそこにいるのだって、極秘事項なんだからな」

「そうだった! じい、怒ってるかなー」

「やべ、忘れてたな。あの人大丈夫か?」

「うん。じいは死なないから平気だよ。それじゃ、一度戻ろ、レットちゃん」

「わかった。お土産も楽しみにしてる」

「手配しておくけど、そんな直ぐには到着しないぞ? ミシーハ製の

シャトルとかで送るんじゃないんだからな」


 アンネさんの件もあり、報告が多い。少しまとめるか……。


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