表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

133/184

134th 実演

 ある一軒家の出来事。

 呼び出し音とともに扉が開かれる。

 

「お届け物です」

「送り物は?」

「ええと、カルビと書いてありますね」

「受け取ろう」

「はい。どちらに置けば?」

「そうだな、地下室へ置いてもらおうか」

「わかりました」


 これは合言葉であり、カルビオ本人との取引に使うためガウスが用意した手筈だ。

 とても不快な顔をした蒼白な顔の配達員風の男が、建物内部に入り、地下室へと下りる。


「こちらでよろしいですか」

「ああ。ここだ」

「……では早速取引としましょうか。モーテさん」

「そうだな、その前にあんたがカルビオさん本人であるという証拠は? 

ガウスさんから聞いた話とは随分違うように思えるが」

「ボスが直接? 来るわけないでしょう。初めての取引相手に顔出しする程

ボスは暇じゃありませんよ」

「ふうん。ならばこの話は無しだな。戻ってそう伝えろ。ガウスの顔面に泥を

投げつけたということになる。言っておくが俺とガウスはマブダチだ。

あいつが切れる顔が目に浮かぶようだぜ」

「ちょ、ちょっとお待ちください。そんな話聞いてないぞ。ガウス本人だっていないじゃないか!」

「闇ブローカーが表立って顔を出すと思うか? いないだけでこの取引を

しっかり確認している。いいか? あのガウスが、直接カルビオと

やり取りを取り次いだんだ。その盗聴器で聞こえてるだろうが、早く本人を連れてこい」

「わ、わかりました。どうか命ばかりは……」

「お前をここで殺したら、敵対確実だろう。俺は敵対したいわけじゃない。

取引に応じる気があるのか、ないのか! あるならさっさと行け! 妙な手口は使わない事だ」

「すみませんでした! 急ぎ戻ります!」


 ふう。ここまではガウスの予想通り。

 筋書もおおむねあってる。

 パターンにある俺とガウスはマブダチっていうところは読みたくなかったんだけど。


 暫くして、再度呼び出し音がなり、ふくよかなどう見てもその辺にいるおじさんが

入って来る。

 全身安い服を着こんだ、どこにでもいそうな人物だ。


「……わしがカルビオだ。ガウスが見ているというのは本当なのか? 

だとしたら手違いで部下にいかせてしまったことを詫びたい。謝罪を受け入れて

くれるか?」

「ああいいだろう。次にくだらん真似をしたらどうなるかはわからないぞ。

それと襟許のそれはいますぐ外せ」

「おや? これは気付かなかった。部下の誰かがつけたようでな」


 とぼけたやつだ。おおよそのことは部下のせいにする腹か。

 さっきのやつも放っておけば命はないだろう。こいつはここから

逃がすわけにはいかなそうだ。


 地下室へ案内すると、色々探り始める。

 特にテーブルと椅子以外は用意していない部屋だ。

 盗聴器の類も部屋にはない。


「うむ。それで本当に取引物を格安で譲ってくれるんだろうな」

「ああ。代わりにあんたが現在CCに横流ししているルートへ

こちらもブツを流せるように、取引人物をここへ呼び出して欲しい。

そちらが飛びつきたくなるようなブツだ」

「見せてもらおうか」

「これだ。見せるだけだ」

「……確かにCCが欲しているもので間違いない。

いいだろう。ガルーシアとギフレンを呼びだす。勝手に入るが

構わないかね」

「ああ。構わないぜ。うちも妻と子供がいるから静かにな」


 それを聞いて口角があがるカルビオ。

 やはり、穏便に取引などする気はさらさらない。

 こいつらは完全にクロだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ