13th アクシスバリエーション、展開
「準備完了しまシタ。マスター。ご命令をお願いシマス」
「二人とも、準備はいいか?」
「どうやってその星までいくの」
「軸変動……その名も」
『アクシスバリエーション! 展開』
「アクシスバリエーションを展開シマス。衝撃にご注意くだサイ」
「これはどういうシステムなの」
「宇宙の軸を捻じ曲げるのさ。過去においては宇宙を速く移動することばかりに焦点をあててきた。
宇宙そのものをいじろうなんて発想がなかったのさ。このシステムによって宇宙域の移動は狭まった。
発想の転換ってやつだね」
「でもこの装置、ここからがあたしにはきついのよね。毎回……」
「アクシスバリエーション展開シマス。衝撃にご注意クダサイ」
激しい揺れとともに七番シャトルがグルグルと回転する。これは何度体験してもまったくなれる気がしない。
グルグルと周り続け、高い音を発するとともに……目の前の景色が一瞬にして一新される。
自分たちの目の前に広がるのは……真っ青な美しい地球だった。
「うげー、気持ち悪い……」
「マスター、はかないでくだサイネ。おひざもとのレグアさんに最悪の印象を与えマス」
「綺麗。これが地球という星なのね。真っ青」
「あれは海の色だよ。地球は殆どが海で構成されているから青いんだ。昔はもっと大陸が
あったらしいんだけど、ほぼ全て無くなって。この地球を昔のような大地に戻すのが俺たち
マテリアラーズの目標なんだ」
「そうなの。エレットたち以外の人はどうしたの」
「大半は移住したよ。この辺りの惑星にね。火星や木星という比較的改良すれば住める地域があったから」
「お尻いたぁーい! なんでこんな狭いシャトルなのよ、もう!」
「月というのはどれなの」
「月はあちらデスヨ。レグア様」
月があるという方向を見るレグア。そこには様々な建物が建設されている。
多くの施設を兼ね備えた場所のように見えた。
「あれが月。月光パンが売っている所に行ってみたい」
「どちらにしても月に寄っていくつもりだったし、早速向かうとしようか。月への着陸許可申請を」
「既に受け入れ確認済みデス。ミシーハ博士も待っているデショウ」
「そーいやあんたの装備は大半がミシーハ製だったわね。あたしも作ってもらおうかな」
「フラーは難しいんじゃないかな。博士は女物を作るのがあまり好きじゃないし」
「それじゃ私のものも作ってくれないのね」
「レグアはまだ試験が終わってないから無理さ。試験評価によっては作ってくれるかもしれない
けど、ミシーハ博士は難しいかもしれない」
「頑張る」
「マスター、着陸準備を。エアーコントロールを行いマス」
「ボロ。フラー様も準備をしてください。お尻がつっかえて転ばないように」
「もうお尻の話は言わないでー!」
月の着地地点へと到達してシャトルを停泊させる。ここに直接来るのは久しぶりだ。
ふだんはバイオミメティックオーガニズムシステムを利用しているので、生身で来ることはまずない。
シャトルを止めてようやくひと伸びすると、停泊した場所の奥から一人の女性が勢いよく飛んできた。