127th ジャックポットフリーラー挑戦!
「会場の皆さま! 本日は大変な盛り上がりを見せました。その功労者、尻尾ワン選手です!
盛大な拍手を! さらにその引き立て役でもあった釘紅スリー選手、こちらにもぜひ盛大な拍手を
お願いします!」
会場から一斉に拍手が沸き起こる。賭けに勝った者、負けた者もいるだろうが、会場は熱気に包まれていた。
司会の人とは別の女性が、レットちゃんに近づき、先にリアルファイトナックルの
勝ちチップを渡す。
枚数おおよそ二千枚。これはかなり美味しい。金貨二十枚相当だ。
「今回はお二人に多いに盛り上げてくれたこともあり、ジャックポットフリーラーも枚数が跳ね上がっております! では早速……え? 釘紅スリー選手にも回させろ? わかりました、それでは尻尾ワン選手の権利が二回。その間に釘紅スリー選手も一回やってもらいましょう!」
ワァーー! と大歓声があがる。全部で三回もジャックポットフリーラーに挑戦することとなる。
会場はジャックポットが出るかどうかでリールに注目し始めた。
「私、どうすればいいの」
「同じ図柄をそろえればいいみたいだよぉ。えっとね、全部でリールは八個あって、全部揃うと
ジャックポットなんだって。一個ずつ速さが違うみたいだよ?」
「回ってみないとわからないけど、どの程度の速さなんだろうな」
「コマずれもしないみたいだから、ちゃんと止められるかがカギだよね。どれで止めるんだろう?」
「八個のリールが見渡せる位置にボタンを八個ご用意いたします! さぁこちらへ」
レットちゃんが案内され、客の目線を集める。
既に変なファンまでついているようだ。
「それでは一回目……リール回転!」
「あれぇ、まだどれ狙ったらいいか伝えてないよぉ!?」
「やば、もう始まっちゃったよ!」
「さぁ皆さんお静かに! 邪魔をしてはいけません! それでは尻尾ワン選手、リールを止めてください!」
「どれを狙えばいいの」
「お好きな絵柄でどうぞ。どれも高額ですから!」
「どれでもいいのね。それじゃ可愛い絵柄にする」
レットちゃんはやはりどれを狙ったらいいかわかっていないようだった。
しまった……どう見てもジャックと書いてある奴じゃないと、ジャックポットしないだろ、これ!
一りーる目はかなりゆっくりだ。誰でも狙い撃ちできるだろう。そして……止めた絵柄は……
チェリーだった。どう見ても一番安いやつ。
表を見ると、チェリー二個で百枚、八個全部チェリーで……二十万枚のチップ!? 多いな。
チェリーを八個そろえただけでも随分な金額となるが、これはもしかして八個揃えるのは不可能に
近いのでは?
そう思っていたが……「な、なんと尻尾ワン選手! もうチェリー六個を揃えました! 凄すぎる!」
会場からどよめきが聞こえる。というのも六個目のリールの時点でとてつもない速さだった。
俺の目にはもう黒い点のようにしか映らない。
「えい」
「七個目! 一番数が多いとはいえチェリー七個目です! 凄まじい! 既に五万チップまで到達しました!」
七個目でももう五万チップ。金貨五百枚近い金額だ。
さらに……「揃ったーーー! チェリー八連! これは凄すぎる! 会場も大興奮だー!」
「嘘。八個同じのが揃ったの何て初めてみた!」
「すげーぜ姉ちゃん! 顔も体もテクニックも最高かよ! 畜生!」
「うちのお店で働かない? いい給料だすわよー!」
「お静かに、お静かにーー! 尻尾ワン選手にはもう一回権利が与えられています! 次に釘紅スリー選手。
どうぞ!」