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121th 最高の肉とワイン

 ――――サンナナタワー内部、のある部屋。

 

「どうだ、うまく行ったか?」

「ああ。少量の核で十分な足止めが出来た。今頃は俺の足取りも追えてねえだろうな」

「しかし、さすがにばれるんじゃねえか。マテリアラーズってのは監視も厳しいんだろう?」

「問題ない。それより飯、食ってくだろ。作ってやるからゆっくりしていけ」

「何言ってんだ。急いで運びださねえといけねえだろうが」

「途中腹が減ったら補給もままならんのだ。最高に美味い肉を仕入れたばかりでな。

せっかく上手くいったんだぞ。祝杯くらいはあげていこうや」

「……それもそうか。んじゃもう少しゆっくりしてくぜ。それで、取引相手はCCで間違いないのか」

「いや? やつらに売るとろくなことにはならんだろうから別に回すことにした」

「へぇ……どこにだ?」

「そいつは飯を食ってからだな。軽く焼き入れるだけでいい味になる。ほれ、最高級ローストビーフだ」


 テーブルの上にスパイスを聞かせた見るからに旨そうなローストビーフを出す男。


「ジェフ、お前は食わんのか?」

「酒を出すから食ってな。やっぱ肉にはワインだろ?」


 ごくりと唾を飲み込むもう一人の男は、用意されたフォークを差し込み、口の中に最高のローストビーフを

放り込んだ。


「かーーっ。うめえ」

「おう、どんどん食え。直ぐに酒も持っていくからよ」

「悪いな。ここサンナナタワーのステルスエリア。ナナメートルの至宝でこんな美味い肉が

食えるってのは贅沢だぜ。まぁ金が入ってくりゃ毎日でも……食え……る……」


 どさりと倒れる男。

 それを確認すると、ワインを開け、テーブルの上のローストビーフをひっくり返し、ピザをテーブル

の上に乗せて食べ始めるジェフ。


「ふー。ピザの方に仕込めばよかったか。時間が無かったから肉に入れちまったが

仕方ねえ。そろそろ来るだろう。腹ごしらえしておくか」


 あっという間にピザを平らげ、濃い赤ワインをぐいぐいと飲み干すジェフ。

 すると直ぐに開いた扉がゆっくりと開いたように見えた。

 

「……ジェフさん? 捕まったんじゃ……あれ?」

「……おう。来たな。悪いがちょうど今終わったところだ。こいつは今回の横流しの総締め。

ローワイドっていう極悪人よ。おめえら、うまくやってくれたみたいだな」

「この人が、今回の本当のターゲット?」

「いやー、おめえらを騙すつもりはなかったんだが……どうしても囮の核も回収しなきゃいけなくてな。

既に逆スパイ中だったってわけよ」

「逆スパイ!?」

「ああ。俺がマテリアラーズであえて偽の情報を流す役割をしているって工作してな。

協力者はお前の親父さんなんだぜ?」

「とうさ……エレヴィン中将が?」

「あいつとは古いダチでよ。いやー驚いたね。こんなでかくて立派な息子がいるたぁよ」

「それで、そのー……本命の核は? 大丈夫なんですか?」

「大丈夫っちゃ大丈夫だが、大丈夫じゃねえっていや大丈夫じゃねえな」

「どっちなの」

「もー! 心配したのにぃ!」

「ハッハッハ。実はな……本題の核はこの建物の中枢にある。

やつらはこの建物そのものを売却して持ち運ばせる作戦だった。そこで……」

「そこで?」

「この建物ごと買い取ってもらったのよ。シドーカンパニーにな」

「もしかして、それを未然に防ぐためにシドーカンパニーの令嬢が危ないと判断して逃がしたのか……」

「ま、そういうこった」

「もー! ニッキィが危なくなるような作戦立てて!」

「……もしかしてそのお嬢さんがシドーカンパニーの?」

「そうなんですよ……といってもBOSですけどね」

「ガッハッハッハ! まさか奴らの狙いそのものに計画を阻止されるとは思わなかっただろうな」

「でもまだ、終わったわけじゃないんですよね」

「ああ。売却を破棄されたCCはもっと活発に動き出す可能性がある。

だがマテリアラーズ本部にここの警備は手配済みだ。ここの核は諦めるしかないだろうよ」

「実は……俺たちの核を要求されると思って、偽物の核を作ってもらったんですが、これって

使えたりします?」

「こいつは……すげえ! もしかするとここを狙うCCを一網打尽に出来るかもしれん。

俺に少し考えがある。もう少しだけつきあってくれるか?」

「ええ。俺たちもCCには少し巻き込まれたことがあるので……」


 こうして新たな一網打尽ミッションが開始されるのだった。


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