117th 内部潜入!
男たちの話を聞いた紫電たちは、彼らより先にバヌ焼きを平らげ、銅像の前に立ち、聞いていた通りに
行動する。すると……床が開き下に落っこちる事に成功。
中はホースのようなトンネルになっており、尻滑りしながら入っていける道となっていた。
「つつつ……尻が焦げるかと思った。雑な作りだな」
「本当だよ。でもびっくりするくらい気付かれなかったね。
これなら隠し場所にはうってつけなのかも。知らない人以外銅像の裏になんて行かないし、蹴とばしたりしないしね」
「そうだな。立ち入り禁止札もささってるからなぁ。子供のいたずら程度の蹴りじゃ反応しないだろう」
「見て。先に進んだ方。機械の扉がある」
レットちゃんが指さす方を見ると、到着した先の奥に扉があった。
あの先に進めば核があるのか?
「ねえねえ。見つけたらどうやって持ち帰るの? 危ないものなんでしょ?」
「兵器としての核ならかなり危険だが、作動させてないエネルギー核の取り扱いならこのビヘイビオラル
コントロール……つまり行動制御装置を使う。この中に入れている間はどれだけ動かしても爆発を
起こしたりする危険性は生まれないのさ」
「へぇー。そんな凄いのがあるんだ。ジェフさんから渡されたの?」
「ああ。本来なら核は最大級の危険物扱いだ。扱いを間違えれば星丸ごと消滅するからな。
あんな悪者に渡したらそれこそたまったものじゃない。こんなところに隠されているのだって
ばれたら大ごとどころじゃ済まないだろう。惑星間会合で惑星シドー首脳関係者が干されてもおかしくない
案件だ。こういった案件を先手で取り締まって、なるべく大ごとにしないようにしたいんだろうね」
「なんでCCはそんな物騒なのを狙ってるの?」
「核融合による無限機関エネルギーの構築……だろうな。ただ相応の技術者を集めて研究開発しないと、格
エネルギーを持つだけならそんな事はできない。
姉ちゃんとまではいかなくても、相応の科学者が数十人は必要だね」
「ふーん……」
「よし、扉のロックは解除できた。簡単な信号だったから一を数回混ぜたらクラックできたよ。
レットちゃん、中の様子、見えるか?」
「確認した。話声も聞こえない。扉の先すぐには誰もいないみたい」
「よし、行こう。ここから先、核を収容するまで荒事は避けたい。もし誰かいて怪しまれたら手筈通りに
動いてくれ」
『わかった』
事前に二人に話していたことは、俺たちは仕事を引き受けた者として接触を試みること。
怪しまれて疑われたらわざと仲間割れを起こす。疑われたものを断罪する形で。
疑われた者は逃走を図る。
残った者は核を回収して離脱。
ジェフへ届ける。
おおまかにこういった流れだ。
「さて……部屋に番号がふられてるけど、暗号を解読していた話だと三番……かな。
他の部屋には何があるんだろう?」
「大変。子供がいる!」
「何だって? なんでこんなところに」
子供がいると聞いた部屋は一番の部屋。
異星人の子供だ。縛られて眠っているように見える。
誘拐でもしてきたのだろうか? これは見捨てられない。
「ニッキィはここにいてくれ。あまり時間をかけてると、あの男たちがきてしまう……
いや待てよ。そうか!二人とも、ちょっと耳を貸してくれ。作戦、変更といこう」
「なになに? どうするの?」
「まずは三番の部屋を確認して……やっぱり誰もいない。これはもしかすると罠かもしれないってことだ。
あいつらの様子を見る必要はあるが、違う方法で核を入手して、この子らを助けよう」