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113th 七十二番倉庫

 倉庫内に人の気配はないため、ニッキィと一緒に急いで倉庫内に侵入する。

 中は明かりがついていないが、外の光で少しは内部を見る事ができる。


「汚い倉庫だな。どうだニッキィ、何か指示書みたいなものとかあるか?」

「見当たらないよぉ? 核兵器みたいなのもないし」

「そりゃそうだろ。こんなところで管理できるようなものじゃないぞ」

「うーん。本当にこんなところで仕事引き受けられるのかなぁ? 端末だってないよ?」

「端末でそんな危険物を扱う仕事の指示、できるわけない。そういった仕事は未だに紙だけだよ。

だからこそ電信、電報がいつまでたってもなくならないんだ。闇の取引や表に出せない情報が

多すぎるんだ」

「ふぅーん。それじゃ電信は基本全部悪なんだね!」

「そういうわけじゃないが……まぁ悪いものも多くあって、国単位じゃないと管理できないんだよ。

それでどこにも属さない電信、電報のやり取りを見つけたら直ぐ捕まえるってわけだ」

「あ! これじゃないの、紙。布?」

「ちょっと見せてくれ……破れた布か。破れ方がどう見ても暗号だな……そういうことか。

これなら確かにこういった廃倉庫にあっても不自然じゃない。他には無さそうか?」

「うん、それ一枚だけ。それで何かわかるの?」

「ジェフさんにもっていけば恐らく解析出来るだろう。十分な手がかり……」

「二人とも。男が倉庫に近づいてる。隠れて」

「しまった、時間をかけ過ぎたか。ニッキィ、隠れるぞ!」



 大慌てで身をひそめる場所を探す。

 かなり汚い場所だが、倉庫の見つかりにくそうな物陰に潜んだ。


「……誰もいねえな。一番乗り……だよな」


 男はカツカツと音を立てながら倉庫の中に入り、ニッキィが布を見つけたあたりの場所を探し始める。


「ねえな。くそ、誰か先にもっていきやがったか? くそ、冗談じゃねえぞ。もう一度聞きにいくか」


 すぐさま男は外へ出ていき、静かになる。

 やはり探していたのはこの布で間違いないようだ。

 レットちゃんに……「ぐわっ……」

『ぐわっ?』

「紫電、ニッキィ。男を倒した」

『えぇーー!?』


 外に出ると、レットちゃんの攻撃により完全に伸びた男がいた。

 どうやら外に出た時に鉢合わせたらしい。


「どうしよ、これ」

「倉庫につめておくか……顔、見られてないといいけど」

「わからない。でも倒した」

「ここにいたらまずいよね。殺っちゃう?」

「物騒な事いうなって。俺たちの目的はあくまで視察、偵察だぞ」


 ひとまず七十二番倉庫まで連れて行き、男を調べる事にした。


「この人、随分おかしいよ? ほら」

「身分証? 警殺のものだ……あれ、こっちは他の人の身分証もある」

「間違いなく犯罪者だよね。このままにしていいの?」

「一ついい考えがあるんだ。このまま布を暗号解いてもらうより……」

「……うんうん、そうだね! その作戦でいこう!」

「外されたらどうするの」

「っていうのもあるだろうから、この身分証の中にもいれておく。

こういうのは案外調べないんだよ。自分の身に着けてるものの中で最も調べない場所といってもいい」

「カードタイプ? 凄い便利なのがあるんだねぇ」

「しかもこいつは軍特注。こういう名刺関連の裏に貼るタイプがある。こっちが本命だよ」

「うひゃぁ? こんなの盗聴で使われたら絶対わからないよ!?」

「盗聴だけじゃない、これは発信機にもなってる。位置も特定できる。

一枚だともし落としたり使わなくなったらこまるから、無数に使用するのさ……よし。

滑って転んだようにしておいて……布はこの辺りにおけばいいか」


 俺たちはこの男に目的地を案内してもらうことにした。

 発信機もあるし、男が目覚めるまで時間もかかるだろう。

 ひとまずジェフさんの許へ戻ろう。

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