106th 二人は同じ待機室に
「レグアちゃん、ステータス見せて」
「ステータスって何」
「ステータスっていうのは、アバターが体を読み込んだ時に、強さを数値化したものなの。
だからレグアちゃんの強さもまるわかりってことなのっ! にしししっ。これでレグアちゃんの弱点も……」
「どうやったら見れるの」
「ステータスって叫んでみて」
「ステータス」
レットちゃん
gender 女
race empty
age empty
Physical Abilities renewal!
pow 0
dex 0
end 0
def 0
agl 0
nextpage your sukill check page
all empty
「私の名前、レットじゃなくてレットちゃんっていうのね」
「あ、あれ? 何これ? 名前は付け間違えだからいいとしても、全部0?
どういうこと? 嘘でしょ? 弱いとかそういう問題じゃなくておかしいよ!」
「この名前は付け間違えなのね。おかしいのね」
「名前がおかしいんじゃなくて! ステータスがおかしいの! スキルも不明だし
どうなってるの? レグアちゃんの体。でも触っても普通に柔らかいしなぁ……うーん。
もぎ取ってやりたい」
「そこはもぎとれる場所なのね」
「ううっ……エレットがいないから突っ込みがないっ。これは処罰行為だからもう
やめとこっ……」
「どうしてエレットはいないの」
「私がレグアちゃんのアバターを登録したから、一緒に待機室にいられるんだよ。
ここで体の適合性とかをチェックできるの。体動かしてみて?」
ニッキーにそう言われると、レグアは体を動かし始める。
跳んだり走ったり、回転したりする。動きは実になめらかで、ぎこちなさはない。
「ほえー。何でそんな動きなのに全部数値が0なのよ! 絶対バグじゃない!
ゲームだったら完全にチートキャラだよレグアちゃん!」
「違う。私はレットちゃん」
「はっ! そうだった。もうレットちゃんちゃんって呼ばないと……」
「呼び捨てでいい。だから私はレットちゃん」
「そういえばエレット……紫電もレグアの事呼び捨てだったなぁ……じゃあ私も呼び捨てでよんで!
ニッキィだからね!」
「うん。ニッキィ」
「にしししっ……シドーについたら真っ先に美味しい物を食べにいこう!」
「美味しい物、食べたい。エレットは連れてってくれるのかな」
「エレットじゃなくて、ここから先は紫電だよ。っていっても、現地に到着したら
勝手にそう認識されるから、今は覚えなくてもいいけどね」
「どういうことかわからないけど、そうなのね。もう不思議な事には慣れた」
「不思議な事……じゃなくて、科学の結晶体だよっ! BOSより優れた機能なんて
全宇宙探しても見つからないんだからねっ」
「確かにすごく不思議。自分と同じ体を作ってしまうなんて」
「同じ……とはちょっと違うけど。あ、そろそろ時間みたい。また後でね、レットちゃん」
「うん。ニッキィ。また後で」
「でも、何だったんだろう。あのステータス。全部0って、何をしても0なんだよね。
どうやって動いてるのかな? どうやって攻撃するんだろう。
よくわからないからよく観察しておこっと。何かいいゲームのヒント、見つかっちゃうかもだしっ。
にしししっ」