1st マテリアラーズ、始動
始まりました、マテリアラーズ! まだ多くは書いていませんが、ちょっとずつ不定期で
書く時間を作って書きます。
今後カクヨム専門で新タイトルも公表予定です。
新しい紫電のチュウニーの物語、ぜひお楽しみくださーい!
「……距離は?」
「八百メートル、西に移動中デス」
「よし、やるか |必須装備《Required equip》、弓使い」
「承知いたシマシタ。ボウ、生産惑星地球、一九七八年仕様制コンボジットボウを装備シマシタ。
アッモ、生産惑星シドー、レズエルビーの麻痺矢を装備シマシタ。
左腕、強引きの腕輪を装備シマシタ」
「標的命中補正……頼むぜ相棒さんよ!」
「承知シマシタ。|命中補正《hit correction》、九十七%確保シマシタ」
【射撃】
シュルシュルと音を立てる黄色い矢は、風を強く受け一直線に飛んでいき――ーーバシュンッ! と
音を立て目標にヒットする。
「ピキイーーーー! ……」
「ヒットを確認。メルキーフライング、レベル三の麻痺を確認シマシタ」
「よし……命中補正九十七パーセントもあれば、まず外れないよな。捕獲エルメデルの眼」
「捕獲を開始します。エルメデルの眼、容量三百に収納シマス」
「ふう。初捕獲、上手くいったな。この星に来てからまだ二日目だが、お前がいるから順調だよ。
捕獲した生態を確認」
「メルキーフラインググ、雄、レベル三。群生習性。広く分布しメネスタの星全体でみられる。
個体種、レア以上紫電未満で強力な音波攻撃を使用。個体、紫電で破滅の音波を使用。
第一発見者クロノス・ヴェイ」
「発見済みか。まだ一匹目だし、手つかずの星だから期待はしたんだけど。ヒットした時点で
名前わかってたしな。素材加工品は?」
「素材加工確認。矢羽根と良質な食糧肉、嘴は|一般素材《common materials》として利用可能デス」
「余すところがほとんどなく使えて、いい素材だな。もう一匹狩っていきたいけど……」
「マスター、本来は偵察任務のはずデス。教官に怒られマスヨ」
「怒られた……わかった、引き上げよう。ナビス起動」
「ナビスを起動シマス。スライドゴーグルを装着してクダサイ」
「スライドゴーグル装着完了。座標確認。歩行足補強……何型がいい?」
「この地形ですと六脚型デスネ。組立いたしマス」
「頼む。速度は?」
「おおよそ三百二十キロ程出力可能デス」
「そんなに出るのか!? ミシーハ製は進んでるな、本当」
「はい。研究熱心ですカラ。多くの惑星より莫大な研究費を捻出させたとかで、資金は
潤沢しているソウデス」
「ふぅーん。まぁこっちは支給品だからお金はかからないけどな」
「ありがたい事デス。それだけエレット様がミシーハ様に実力を買われてのことデス」
「まだまだ駆け出しだけどな。それに相棒がいなきゃ何も出来ないって」
「御謙遜を。私を助けて頂いたのはあなた様デス。そうでなければ今頃スクラップでしたカラ。
さぁ、完成シマシタ」
「ありがとう、相棒。いや、コードネームでセイソーって呼んだ方がいいか?」
「どちらデモ。さぁ一度戻りマショウ」
「ああ。補強足装着。うへぇ、本当に足六本動かせるよ。何か虫みたいだな」
「設計モデルはレルトスパイダーという蜘蛛の亜種のヨウデス。時速千キロで走行する大型の
虫ラシイデス」
「それは見たくないな……しかも八足ではなく六足か……よし、あらかたコツはつかめた。行くぞ!
「イエス、マスター。退化と進化は表裏一体デス。これは昆虫でも同じ事が言えるんデスヨ」
「だろうな! 何せ六本もあれば十分な速さだ! 速えーー!」
ここは惑星アルバメデス。地球からは想像もつかない程離れた星。時は三〇CF年。
地球の復興に役立てるため惑星を股にかけ、素材を集める集団。
その名も――――【マテリアラーズ】
隊員であるエレットとサポーターセイソーを、遠くから見る一人の者がいた。
「……何……あれ。こっちへ近づいてくる」