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キンモクセイ

作者: 桜月まき

 授業が終わり、クラス中の誰もが帰る仕度をしたり、部活へ行く準備をし始める。栄子もいそいそと荷物をまとめて帰ろうとする。今日は、二週間ぶりの彼とのデートだった。


「栄子、今からモス行くけど、行くー?」


「ごめぇん、今日はパス。これからデェトなの♪」


 友達からの誘いも断って、栄子は早々に教室を後にする。トイレの洗面所で髪を結びなおして、ほんの少しだけメイクして、靴箱に向かう。向かいながら、彼にメールを打つ。


『授業終わった♪ これから向かいまーす☆』


 学校から待ち合わせ場所まで、約十五分ほど。あぁもう、その十五分が待ちきれない。無意識に早足になる。どこでもドアがあればいいのに。


 靴箱で上履きを履き替えて、革靴の汚れをチェック。…今朝磨いてきたから、まだピカピカだ。スカートのプリーツも綺麗に入っているし、襟元のリボンも、うまく結べている。


 …完璧。


 思わず微笑んで頷いてしまう。


 携帯の時計を確認する。…よし、予定していた五十三分の電車には余裕で間に合うな。そう思って学校を出ようと歩き出した、その時。バッグの中にしまおうとした携帯が手の中で震える。


 メール? …いや、着信だ。


 携帯を開く。相手は彼だった。


「龍ちゃん? どしたの?」


『あ、もう電車乗った?』


 聞き慣れた心地良いテナー。心なしか曇っている気がする。


「ううん、まだ学校。これから出るとこ。」


 足を止めて栄子は受話器に耳を傾ける。向こう側のどんよりした空気感は、気のせいではなかった。


『ごめん、さっきバイト先の店長から電話があって…今日のシフトの奴が風邪ひいたらしくって、急遽入ることになった。』


 …久しぶりのデートへの期待・ワクワクに満ち溢れて膨らんでいた栄子の心が、一気に萎んでいく。受話器の向こうの彼に気づかれないように、短くため息をつく。


『ほんと、ごめん。この埋め合わせは必ずするから。』


 …すごく、がっかり。だけど、栄子は気持ちを切り換える。


「…わかった。バイト、頑張って。あ、土曜日! 土曜日は大丈夫?」


『うん、その日は絶対空けとく。』


 …文句の一つも言いたくなるシチュエーションだけど、栄子がそれをしないのは、彼の優しさを知っているから。困っている店長さんに頼まれたら、急なバイトも断れない性格なのはよく知っている。それに、バイトのお給料も学費のためだと知っているから…応援してあげたい気持ちもあるし。


 栄子は通話終了のボタンを押して、携帯をバッグにしまう。


 …急いで駅に向かう目的がなくなってしまった。朝お母さんに晩御飯いらないって言ってきたの、キャンセルの電話しなきゃ…なんてぼんやり思う。


 なんだかこのまま真っ直ぐ家に帰るのもつまらない気がした。…そういえば、帰り際にモスに誘われたっけ。駅前のモスに行けば、友達はいるけれど…。


 栄子は立ち止まったまま空を仰ぐ。秋らしい、深い深い青空。ぐーんと突き抜ける果てしない空には、刷毛でしゅっと刷いたかのような白い雲が流れている。


 …友達とわいわいおしゃべり…って気分じゃないなぁ…。


 ふとその時、いい香りが栄子の鼻をくすぐった。甘い甘い、花の香り。


 …キンモクセイだ。


 周りを見回してみるけれど、目に見えるところにキンモクセイの木は見当たらない。


 栄子はその香りを辿って歩き始める。その香りは校内ではなく、外から漂っている。正門を出て、栄子がいつも利用している駅とは正反対の方向…住宅街の方へと足を進める。


 あぁ、ここかぁ。


 栄子は学校から程なく近くの公園の入り口にキンモクセイの木を見つける。こんなところから学校まで香りが届くんだ…。一つ一つの花は小さな小さな花なのに、あたり一面キンモクセイの香りに包まれていて、酔ってしまいそう。


 しばらく栄子はキンモクセイの香りを楽しみながら、その公園をぶらぶら散策する。抜けるような空の青、公園の落ち着いた緑の木々、キンモクセイの甘い香り…この公園の存在は前から知っていたけれど、通学路とは逆方向だし、あんまり来たことがなかったな…。けっこう、落ち着いたいい感じの公園だったんだ。


 公園を半周してみて、気づく。そうか、この公園をこっちに抜けると、T駅に続く商店街に繋がるんだ。T駅っていうと△△線…てことは、へぇ、わりとK駅に行くのに便利だったりするのか。新たな発見。


 K駅といえば、駅の近くに栄子の叔母がやっているティールームがある。叔母のサーブする紅茶やデザートはとても美味しいし、雰囲気もセンスも居心地も良いので、栄子のお気に入りの場所だった。


 そういえば長いこと行ってないなぁ…。


 栄子は次の瞬間迷うことなくT駅に続く商店街への道を選ぶ。一人でティールームでお茶…なんて、優雅じゃない。今に気分にピッタリかも。




 いつもと違う道を、いつも利用しない駅に向かって歩くのはとても新鮮だった。いつの間にかデートをドタキャンされたことも忘れ、栄子は滅多に乗らない路線の電車に乗り、K駅で降りる。ここで下車するのは久しぶり…一年ほど前に、母親と叔母のティールームを訪れて以来だ。だけど一年やそこらでは駅前は何ら変わってはいなかった。


 確か二番出口から出て、大通りを真っ直ぐ行くと…そうそう、ここここ。ピアノ教室と写真屋さんの間。ログハウスっぽい木の外装と、季節の花々に囲まれたティールーム。お店の前のプランターには、最近植えられたらしきパンジーが既にもういくつか咲いている。これから冬を越して春が終わりを告げるまで、長い間美しい花を咲かせて楽しませてくれるのだろう。色とりどりのパンジーを見て、栄子は思わず笑顔になる。


 Tea Room * LUPINUS


 そう書かれた流木で作られたシンプルな看板の掛かったドアを、栄子はためらいなく押して店内に入る。


「こんにちはぁ。」


 シャランシャランシャラン…と心地の良いウィンドベルの音が栄子の耳を通り抜ける。と同時に店内のカウンターからいつもの明るい声が出迎えてくれる。


「いらっしゃいませー。」


 男女一人ずつの声のユニゾン。男性の声の主は、奥のテーブル席の後片付けをしている。後姿だが、栄子が初めて見る姿…新しいバイトの人かな? といっても一年振りなので、“新しい”とは言えないかも…。


 そして女性の声の主、栄子の叔母でありこのお店のオーナーである多嘉子が、カウンターの中から身を乗り出すようにして栄子を見つける。


「あれぇ、栄子。珍しいわね~、ひとり?」


「うん。急に多嘉子ちゃんの紅茶飲みたくなっちゃって。」


 栄子はそう言って多嘉子に笑いかける。“多嘉子ちゃん”…昔からそう呼んでいる。叔母さん、なんて言おうものなら返事をしてもらえないのだ。


 店内を見回すと、三席あるテーブル席のうち、二席はうまっていた。若い主婦らしき二人組と、大学生風のカップル。一席はバイトの彼が後片付けをしているので空いているのだが、栄子は迷わずカウンター席に座る。多嘉子がお茶を淹れる姿を見ることができるので、だいたいいつもこちらに座るのだ。


 多嘉子は相変わらず長い髪をひとつに束ねて、飾り気がないのに凛としていて美しい。年齢を言うと怒られるが、栄子の倍くらいなのにどこかみずみずしく輝いている。本人には伝えていないが、実は多嘉子は栄子の憧れだった。


「なに? なんだかゴキゲンじゃない? なんかいいことあったの?」


「ゴキゲンじゃないよぉ。実は彼氏にデート、ドタキャンされちゃって。そのまま家に帰るのもなんだしな…と思って。」


 栄子が話し始めると、先程テーブル席を片付けていたバイトの男性が洗い物を運んでカウンター内に戻ってくる。栄子と彼が初対面だということに気付いた多嘉子が、お互いを紹介する。


「木下と栄子って、まだ顔合わせたことなかったっけ? この子、わたしの姪っ子の栄子。制服でわかるかもだけど、稜星学園高の二年生。…で、コレがバイトの木下。」


「…コレが、って。もっとちゃんと紹介してくださいよ。」


 多嘉子にぞんざいに扱われている木下のため息を見て、思わず栄子は笑ってしまう。そして、あらためて自分から挨拶をする。


「初めまして。沢見栄子です。」


「あ、ども。木下晃広です。…へぇぇ、多嘉子さんにこーんな美少女の姪っ子さんがいるなんて…」


「…まぁたこんな大きな姪っ子さんがいてもおかしくない年齢なんスねーとか言うんでしょ! 先に言っとくけど、この子の母親とわたしは長女と四女で、十も歳離れてんだからね!!!」


「歳のコトなんて言ってませんって! …いやぁ、美女の血筋、っていうんですか?」


「嘘臭いコト言ってないでさっさと黙って洗い物なさいな。」


 …この二人のやりとり、面白い。栄子はくすくす笑ってしまう。


 母親の話題が出て、あぁそうだ、と栄子は思い出して多嘉子を見る。さっき晩御飯やっぱり家で食べるって電話した時に、伝言を預かったのだった。


「そうそう、多嘉子ちゃんにお母さんから伝言。おばあちゃんの法事、一月十日に決まったからって。お店休んで絶対出なさいよ、ってさ。」


「はぁい了解。空けときまーす。」


 そういって多嘉子はメモ帳に日付を書き残す。


「で、なんにする?」


 多嘉子は栄子の目の前に水の入ったグラスを差し出し、問う。栄子はメニューも見ずに即答する。ここに来たら、オーダーするものは最初から決まっているのだ。


「ガトーショコラと多嘉子ちゃんのオススメ紅茶♪」


「…聞くまでもなかったか。」


 栄子のニコニコ顔に多嘉子は苦笑。そうしてケトルに水を入れ、沸かし始める。栄子は楽しげに多嘉子の様子を見つめる。


「…彼氏にデートドタキャンされたって、栄子、いつの間に彼氏できたのー? 紹介しなさいよ。ってかもういろんな男の子に言い寄られて遊んで他の女の子たちから反感買うの、やめたんだ。一人に絞っちゃうとモテなくなるでしょ?」


 多嘉子は棚からティーポットと栄子のお気に入りの、ウェッジウッドのユーランダーパウダールビーのティーカップを出しながら栄子に話しかける。


「…なんかソレ人聞き悪い…。でも彼氏できても言い寄られるし、モテるのは変わらないよ。他の女の子たちからの攻撃は激減したけど。」


「あぁ、それで機嫌良いのね。前は女の子たちがうるさくてってボヤいてたのに。」


「そうだったっけ?」


 栄子は首をすくめる。多嘉子はティーメジャーで茶葉を量りながらくすっと笑う。


「そうだなぁ…嫌なコト気にするのはもうやめたんだ、あたし。」


 カウンターの上の、淡いピンクのコスモスが一輪活けられた小さなガラスの花瓶を手に取り眺めながら、栄子はそう言う。沸騰したケトルの火を止めて、多嘉子は栄子に台詞の続きを促すように、首をかしげる。


「“人生楽しんだモン勝ち”…同じ人生なら、嫌なことに目を向けるより、楽しいことに集中したほうが、そのほうが断然素晴らしい、ってお母さんの口癖、最近ようやくわかってきたんだ。」


「亜沙子姉さんの口癖、かぁ…。それ、本当は栄子のおばあちゃんの口癖なのよ。わたしたち姉妹も、ずっとそれ聞いて育った。」


 くすくすくす、多嘉子は笑いながらティーポットに熱湯を勢いよく注ぐ。コポコポコポ…と心地良い音が、栄子の心を暖かくリラックスさせてくれる。


「“人生楽しんだモン勝ち”。わたしも、その口癖に支えられて今まで生きてきたなぁ。本当に、そのとおりだと思う。」


 多嘉子はもう十年以上も前に亡くなった母親を思い出し、遠くを見つめて目を細める。父親が多嘉子の小さい時に亡くなって以来、四姉妹を女手一つで育ててくれた、気丈で明るい人だった。


「…もう十三回忌なんだなぁ…。」


 ポツリ、と多嘉子は呟く。


 その時入り口のドアが開いてウィンドベルの音がして、年配の女性が一人やってきた。多嘉子はいつものように「いらっしゃいませー」と木下と共に声を掛ける。木下が洗い物をする手を止めて、彼女の対応をする。それを確認してから、多嘉子は視線を砂時計に移す。ちょうど砂が落ちきったところだった。


 多嘉子はユーランダーパウダールビーのカップに出来たての紅茶を注ぐ。


「はい、お待たせしました。キンモクセイです。」


「キンモクセイ?!」


 出された途端、栄子は驚く。多嘉子はちょっと面食らって、問う。


「…うん、キーマンにキンモクセイの香りをつけたフレーバードティーなんだけど…キンモクセイの香り、嫌いだった?」


「ううん、そうじゃなくって…。」


 栄子は学校帰りの一連の出来事を多嘉子に話す。彼からデートのキャンセルの電話をもらい、気が抜けてぼんやりしていたら、どこからともなくキンモクセイの香りがしてきたこと。その香りを辿ってみたらとある公園に着いて、そこがT駅への近道だったこと。そして同じ沿線のK駅のことを連想し、ここに来ようと思ったこと。


「へぇ、そうだったの。」


 多嘉子はガトーショコラをティーカップと同じ、ユーランダーパウダールビーのプレートに飾り付けて、栄子の前に出す。栄子は嬉しそうにプレートを眺める。ガトーショコラに手をつける前に、栄子は多嘉子のオススメの紅茶・キンモクセイを味わうことにする。


 …水色はキンモクセイの花のように、綺麗なオレンジ色をしている。口に含むと、キーマンの独特なしっとりしたスモーキーな香りが広がってから、ふわぁっと爽やかな柑橘系の風味が残る。そのあと、ほんのりキンモクセイの甘い香りがした。あの公園のキンモクセイのように強い香りではないけれど…目を閉じると、さっき見た空の青さ、木々の緑、爽やかな秋の風…リアルに蘇る。


 しばらく栄子は目を閉じたままキンモクセイの香りの余韻に浸っていた。秋のど真ん中にたたずんでいるかのような、そんなイメージの紅茶…。


 静かに目を開くと、微笑む多嘉子が目の前にいた。


「キンモクセイの香りを辿ってきて、またここでキンモクセイに出逢う…そういうの、シンクロニシティって言って、いい流れに乗っている時に起きる偶然というなの必然なのよ。」


 そういって多嘉子が笑う。


「シンクロニシティ?」


「そ。栄子がそうやって楽しいこととか嬉しいこと、気分のいいこと、綺麗なこと…そういう素敵なことに目を向ければ向けるほど、シンクロは起こるの。シンクロが起きたらまた楽しくなるし、嬉しくなる。…そうしてどんどんいい気分になればなるほど、未来の自分に素晴らしいプレゼントが用意されていくのよ。」


 栄子は多嘉子の話を聞きながら、ガトーショコラを一口食べる。口いっぱいに広がる甘くてちょっとビターなチョコレート…もうそれだけで、幸せになれる。そしてキンモクセイの紅茶を飲み…スモーキーで爽やかな甘い香りに包まれる。


「このガトーショコラとキンモクセイの紅茶で幸せ~な気分になるのも、未来のプレゼントになるのかな?」


「もちろん。そのプレゼントがいつ届くかはわからないけど、必ず更なる幸せを運んでくれる。そういう意味でも、“人生楽しんだモン勝ち”なんだとわたしは思ってる。」


 栄子はティーカップを両手で包み込むようにして持って、カウンターに両肘をつく。…考えてみると…彼からデートをドタキャンされた時に、気持ちを切り換えずにムカムカしたりイライラしたり彼に文句を言っていたりしていたとしたら…きっとあのキンモクセイの香りには気づかなかったに違いない。空の抜けるような青さに目を奪われることも、あの公園に立ち寄ることもなかっただろう。てことは、多嘉子のこのティールームにも来ていなかった。ガトーショコラとキンモクセイの紅茶にも、出逢うことはなかった。


 つまり、あの時気持ちを切り換えて、キンモクセイの香りに気づけたことが、今ここでガトーショコラとキンモクセイの紅茶を楽しむ、という幸せな時間のプレゼントに繋がっている、ってこと?


 それに気づいた栄子は、ガトーショコラをまたひとくち口にしながら、ちょっと興奮気味に多嘉子に

言う。


「すごい! そのとおりになってる! プレゼント、今もう既に届いてるよ!」


「それは良かった。じゃまたすぐ次のプレゼントが届くかもね。明るい未来を創っているのは、自分自身、ってこと。」


「なんかそれってすごく嬉しいよね…。意識して楽しいコト探しちゃう。やっぱり“人生楽しんだモン勝ち”なんだなぁ…ますます納得しちゃった。」


 うんうん、頷きながらまた紅茶を飲む。ガトーショコラの甘さを紅茶の爽やかな渋みがさっぱりと洗い流してくれる。そしてまたガトーショコラを食べたくなる。なんて絶妙なマリアージュ。


 幸せに浸っていると、多嘉子が窓のほうを見て栄子に言う。


「あ、夕日が綺麗ねぇ。」


 言われて栄子も振り返る。窓から秋の夕日がキラキラとオレンジ色の光を放っている。キンモクセイの花の色、キンモクセイの紅茶の水色、両方に似た、クリアなオレンジ色。


 …美しい。 


 これもまた、栄子の心に幸せを運んでくれている。その幸せも、きっと未来へのプレゼントとなる…。


「次はどんなプレゼントが届くんだろう…楽しみ♪」


 そう呟いた時、バッグの中の携帯が鳴った。メールだ。栄子は携帯を取り出しメールを確認する。…彼からだ。


『代わりに明日のバイトなくなった。明日会おう。』


 ほうっ、と心が温かくなる。バイト中なのに…龍ちゃん、あたしのことよっぽど気にしてたのね。


「なぁに、ニヤニヤして。彼氏から?」


 多嘉子に問われて栄子は頷く。


「うん、明日会おうって。もうプレゼント、届いちゃった。」


「このガトーショコラとキンモクセイの効果ねきっと。お礼として近いうちにわたしに彼氏見せに来なさいねッ!」


 多嘉子が冗談交じりに笑ってそう言う。栄子はえぇ~…と困り顔をしてみせたが、内心はまんざらでもなかった。


 っていうか…今度は彼と一緒に、ここでお茶したいなぁ。一緒に美味しい紅茶とケーキを楽しんで、一緒に明るい未来へのプレゼントを創りたい…。


 そんなことを思いながら、栄子はまたキンモクセイの紅茶の幸せに浸る。




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