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四十八 〜膝枕〜


 男子と遊んだのいつだっけ?

 大学入ってからは一切無いのよね。おかしいよね? 最後は高校生の時だったような……。

 

 普通、大学入ったらさ、週一飲み会とかイベントでしょ? って考えてたのね。だからチャラいサークルとか入ったら私も彼氏ぐらいチャチャっ〜とね、出来ると思ってた。うん、すっごく頭が悪いこと言った自覚はある。


 あのさ、話しが飛んじゃうけど生死って何だろうって考えるとね? 死は分かりやすいじゃん、終わり、終わっちゃうで良いのかな? 


 最近神様ポジションのやつ手下にして、死の概念とかちょっと良く分かんなくなって来たけど。まあ死ぬのは嫌なのよ? じゃあさ、生きるってどう言う事なんだろうって考えると、やっぱり子孫繁栄? はまあ、人それぞれか、あと楽しく生きる? まあ、なるべく悩まず明るく行こうぜって考えなのよね私の基本は。


 だからアクアも紫苑も出来るだけ、何て言うかその、楽しい時間を過ごせるようにね、一緒にやって行けたら良いよね? 何かちゃんと伝えてれるか自信無いけど。


『嬉しい』

『嬉しいです』


 そりゃ良かった。私も嬉しいよ。


 話がズレてるけど、これはこれでまあ良い話が出来てるわね。えっと本題は私が清らかなる乙女であると言う事についてだったわね。


 男子と遊んだのは高校三年が最後ね、他校の男子。……思い出したく無いけど思い出しちゃった。


 ボウリング場に行ったのよね、桜花と吉田さんと由利さんと私の四人ね。五十音順でクラスの席が並んでてクラスの端の方で固まってたメンツが仲良くなった訳なの。


 まあ今も連絡取ったり買い物行ったりする仲良い友達なんだけどね。


 桜花がさ、そういうのセッティングするの得意なのよ、あの娘むっつりだから、どエロよ? 特に春樹を見てる時のあの濡れた瞳は犯罪者よ? またズレたわね、ごめん。


 まあ見てくれがべらぼうに良いから男が群がる訳なの、ちょっと声かけりゃ飛ついてくるわけよ。

 人あしらいというか、コミュ力は私より明らか強いしね。


 ボウリングもすっごい良い感じでさ、男子とハイタッチとかしちゃうわよ。……控えめに言って、楽しかった、そりゃもう楽しかったわね。


 私のボールだけ異様なスピードが出てるって騒いでる男子もいたけど、概ね良い感じだったのね。これはまさか連絡先交換? 先ずはグループチャットから? とかね。期待感膨らませた訳なの。


 そりゃ私だって興味あるわよ、ドラマ見たいな男女の恋愛とか普通に憧れちゃう程度には女子やってますからね。


 普段どう思われてるかは、想像つくから言わないでね、でも私だけが悪い訳じゃ無いと思う、そこはきちんと主張するわよ? 


 ん? 


『カッコ良くて綺麗』


 何よもう、アクアったら! ホント可愛いわね。大好きよ! 勿論、紫苑もね!


 またズレたや、でもやっぱり楽しい事だけは長く続かないのよね。来たのよ、来たの。


 何がって? そりゃ男女のグループがキャイキャイ楽しそうにしてたら絡んでくるでしょ。チンピラが。

 

 見事なチンピラが来たわよ。二十歳ぐらいかしら? グラサン掛けててライクアギャングスタ! イェー! 見たいなゴミクズスタイルのお兄様たち。


 トイレに行って、戻って来たらさ、男子達の方に難癖付けてたの。すぐ駆けつけたわよ。ボウリング場は地元だったし、私の聖域エリアだし、あの手の類いは私を見ればすぐ逃げるかなって。


 でも何か様子が違うのよ、チンピラさん達ビビらないのよね。私が見える位置にいても。で、よ? 男子の一人が勇敢にね、向こうへ行ってくれってビシッと注意したのよ。


 カッコよかったわね、ちょっとキュンとしたもの、守られてる感があるって良いわよね。


 ……まあ、吉田さんの前に立って言ってたし、私は輪の中に微妙に入れて無い位置にいるから、私が守られてる訳じゃ無くて、勝手にときめいてただけだけどね。


 そっからは当然の如くよね、「何だぁ? 兄ぃちゃん? やんのかおい?」よ。あれ呪文か何かなの? 挨拶? まあきっと挨拶ねアレは。


 私としてはよ? 桜花がプッツンすると割とマジで笑えない事になるから。あの娘は手加減下手だし、血を見ると何かドア開いちゃうタイプなのよね。

 

 で、危ないから一つ此処は足がもつれたフリでもして、タックルで巻き込みながら、ごめーんって感じで、一網打尽にすれば事なきを得るんじゃないかと考えたのよ。


 良し! 決めた。あの出っ張ってる階段のとこに躓く感じでレッツラドーン! って今まさに! の時に桜花がプッツンしたの。絡まれて約五分以内の最短記録だったわね。


 うん、そう、間に合わんかった。しゃあないよね。こりゃヤベェって事で殺気を桜花に向けたの、反応して我に帰ってくれれば良いし、ダメなら一撃、軽ーく顎先撫でれば元に戻るだろうし。


 なんだけどね。当時はまだこの力の方向って言うか質? コントロールがちょい甘くてさ。結果として私と桜花以外は全員失神しちゃったの。


 耐性って大事よね。知ってりゃいくらでも耐えれるけど知らない未知の恐怖って人間耐えられないみたいね。

 

 うん、普通に救急車。失神して倒れた時打ちどころ悪い人、何人か居たからめっちゃ焦ったよ。取り敢えず全員無事だったけど。


 でさ、後日にまた同じメンツで集まったの。ショッピングモールのフードコートで駄弁りながら、こないだは大変だったよねー、みたいな名目でさ。


 そしたら男子達がね。ふと、私を見た時に震えるの。最初は大丈夫だったんだけど、時間が経つにつれてやたらトイレにも行くし。まるで殺気に当てられたみたいにソワソワしてんの。


 私もさ、殺気とか気当たりとか滅多に出さないし、垂れ流したりもしないから。しかもそんな場所でそんなもの振り撒かないし。何でだろうって?

 

 ……答えはね、バレたの。私の自業自得なんだけど、聖域案件とか拳王伝説とか言われてるヤツ。

トレードマークのお気に入りジャージが結構一人歩きしてて、制服着てる私に気づかなかったっていうのがポイントね。


 どうやらあのチンピラ達、失神してから相手が誰だったか分かったみたいなの。


 大慌てで男子達の学校に来て、一緒に遊んでた男子達に土下座で許して欲しいって、懇願したみたいなの。直接謝りにくればいいのにね。


 そこから私のアレやコレやが漏れたというか。


 まさか、そんな危ない伝説持ってる人が、学校通ってるとは、チンピラさん達は想像つかなかったんだって。


 ああー、やっぱり思い出すのやだなー。……男子達がね、意を決したのか、向井さんは人を五メートルの高さまで殴り飛ばせるってホントですか? だって。


 ……コーヒー苦かったなぁ。


 聞くの勇気いったんだろうけど、別に聞かなくても良いじゃんそんな事って、思ってたら桜花も吉田さんも由利さんも怒ってくれてね。


 「行こう! 良子! こんな失礼なヤツらとなんて、遊ぶ必要ない!」って、まあだから今もあの娘達と友達なんだけどね。


 その後はガードが凄くて男子と遊ぶの許してくんないのよ。


 とまあ、私が清らかなる乙女である事は分かったわね? ……大学? サークル見学の時、声かけてくる男が余りに無いから、アレは無いわよ。


 いくらなんでも、それは無いってぐらいチャラいし、イラついたからちょっとばかり気当して腰でも抜けて大人しくしてなさいって、都合十人ぐらいにまろやかな気当たり浴びせたのよ。本気だとやばいし調整してね。


 で、その内一人が失神じゃ無くて失禁したの。もう大事件、伝説追加よ。それ以来、何かヤベェ人って認識が挽回出来る筈も無く四年目ですが何か?


『……』


 怖い? ごめん。怒ったりしてないわよ。私もまた未熟者という事で許して頂戴。そうだ! 後でパフェ食べない? 水嶋に届けて貰いましょうよ! 


『食べたいけどこれ、どうするの?』


 ……うん。そろそろ現実問題に取り掛かりましょうか。


『良い……貴女はとても良い……』


 と、まあこの私の膝に頭を載せてるユニコーン氏は申しておる訳でして。何が良いのかしらんけど。


 いや、夜が明けて朝から八尋の指示通り湖のほとりで遊んでたら、ほんとに来たんだわ。

 

 水面歩いてきたからね。びっくり。敵意もないからぼんやり見てたら、こっちまできてさ。疲れたから膝貸してって、言われて貸す私も私だけど。


 ……どうすんのこれ?

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