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エルフとガイノイドの百合劇場  作者: B・T
スイートピー編
330/343

ラストミッション 中編

 ヴァーベナの格納庫にて。

 シルフィより先に起きていたエーラ主導の元、整備が進められていた。

 とはいう物の、当のエーラは作業にのめり込み、真面に指示を下していない。

 なので、代わりに七美が取り仕切っている。


「動作不良になりそうな物は、構わず交換しろ!」

「……」


 エーラは七美の装備だけでなく、アリサシリーズ全般の装備を調整している。

 おかげで、完全に黙ってしまっていた。

 少しでも隊員の生還率を上げる為に、何時も以上の品質するよう動いているのだ。


「システムのチェックも怠るな!ミサイル発射できなかったから、自爆特攻何てバカなマネする奴が出てこないようにな!」」

「……」

「(完全に集中しきってるな)」


 もちろん、気を使っているのはリリィ達の装備だけではない。

 一般的な装備にも、しっかり気をまわしている。

 優秀な整備士を数多く集め、現存する装備で一番いい品質の物を吟味して用意してある。

 万が一にも、不発や動作不良何て起きないだろうが、注意だけでもしておいた。

 しかし、エーラの作業効率やプログラムの質は、それ以上だ。


「たく、三時間しか寝てないクセに、どんな集中力してるんだか」


 エーラの作業内容をチラリと見た七美は、そんな事をぼやいた。

 リリィ達が来るまでの繋ぎ、という事なのだが、その範ちゅうを超えている。

 もう彼女一人で、全ての工程が終了しそうだ。

 エーラのバカみたいな仕事ぶりを横目に、指示を行うとすると、リリィ達も到着する。


「あ、七美さん!」

「お、お前らか」

「随分忙しそうですね」

「他人事みたいに言うな、リリィ、お前もエーラを手伝ってやれ」


 七美の親指の先を見たリリィは、すぐに手伝う事を決めた。

 何しろ、リリィの目にもマズイレベルで、エーラは多くの作業をこなしている。

 一部は他の人間に任せているようだが、せめてスターゲイザーとストレリアだけは変わっておきたい。

 その為に、エーラの元へ向かい、仕事を引き受けた。


「さて、アイツらはアイツらで、何とかするか」


 リリィ達の心配は無用だろうと、七美は辺りを見渡す。


「後は……」


 七美の視界に入ったのは、格納庫のすみで剣の手入れをするキレン。

 そばに居るマルコと時々戯れながら、装備を念入りにチェックしている。

 そんな彼女の元へ、七美は歩を進める。


「あ、ミアナ」

「おう、そっちの準備はどうだ?」

「ばっちり、マルコも、スーツの着心地に文句はないみたい」

「くぅ~ん」


 手入れを終えた剣を片手に、キレンはマルコの事をなでた。

 今回の作戦には、フェンリルであるマルコも参加する。

 いくら魔物とは言っても、何が起きるか解らないので、特別に調整されたスーツが支給された。


「今の地上は、息するだけでヤバいみたいだから、メットもしないといけないからな、ちょっと息苦しいかもしれないが、我慢してくれよ」

「ワン!」


 七美に撫でられ、マルコはキレンと同じくらい表情を緩めた。

 大人のフェンリルは見た事無いが、こうして見れば犬のように人懐っこい。

 町でも、特に問題を起こす訳でもなく、結構大人しかった。

 マルコの事を撫でる七美を見ながら、キレンは少し微笑む。


「ミアナ」

「何だ?」

「……アンタ等と関わって、僕の人生、随分変わったよ」

「急にどうした?」


 かつてキレンは、生まれ持った特異な素質のせいで、故郷の世界で散々利用されてきた。

 勇者の末裔としてもてはやされ、その力は酷使された。

 そんな人生を嫌い、キレンはダンジョンの深層へと潜り、一人で生きていた。

 だが、七美達と関わる様になって、そんな生活と縁を切り、普通の人生を送っていた。

 その事を思い出しつつ、キレンは立ち上がる。


「ちょっとね、感慨が有った」

「……ま、お前の過去を考えたら、そうかもな」

「でも、一番良かったのは、ミアナと会えた事」

「そうか……は?」


 一番良かった事を聞かされた七美は、思わず情けない声を出してしまった。

 何しろ、妙に色っぽい声で言ってきたのだ。

 それなりの時間、苦楽を共にしたが、キレンの少女らしい仕草や声何て記憶にない。

 おかげで余計に驚いた。


「ちょ、キレン?それって、どういう」

「何だかんだ、ミアナが初めてだったんだ、僕が勇者の末裔って知っても、普通に接してくれたの」


 ホホを染めるキレンは、徐々に七美との距離を詰める。

 何か嫌な予感がした七美は、同じ速度で下がりだす。

 しかし、タイミングを見計らっていたかのように、七美の退路はマルコが塞ぐ。


「ちょ!マルコ!?」

「ぐぅぅ~」

「おい!コイツ狸寝入りこいてんぞ!フェンリルなのに!つか、誤魔化せるか!さっきまで普通に起きてただろ!」


 寝たふりをするマルコのせいで、逃げ道を無くした七美の顔は、キレンの手でがっしり掴まれる。

 身の危険を察知した七美は、顔面を蒼白させた。

 明らかに何かしようとしている。


「強引でゴメン、こう言うの経験無いから、でも、好きって気持ちは、伝えたい」

「え、ちょ、マジ?ま、待て!あたしにはエーラが!」

「知ってる」


 七美の説得を一蹴したキレンは、七美と唇を重ねた。


「ン」

「ムグ!」


 数秒程キスを交わしたキレンは、満足して唇を離す。

 ホホをツヤツヤとさせるキレンと対極に、七美は顔を真っ赤にしながら後ろにもたれかかる。


「ふぅ、ありがと、これで気は済んだよ、エーラと仲良くね」

「は!?どういう事だよ!?」


 修羅場展開を覚悟した七美だったが、キレンの淡白な反応に、勢いよく立ち上がった。

 とはいえ、どちらかを選べ、何て事にならず、少し安心も有る。

 七美の問いかけに対し、キレンは吹っ切れた様子で答える。


「いやぁ、この気持ち、墓場まで持っていくつもりだったんだけど、どうせ、後五年くらいしか生きられないし、今回の戦いで死ぬかもだし、心のモヤは、さっさと捨てようと思って」

「……そ、そうなのか」

「うん、ミアナのお姉さんも、辛いんなら、いっそ吐き出せって言ってたし」

「あのクソ姉、余計な事を」


 ジャックに少し憤りを覚えた七美だが、感謝もある。

 これからが肝心という時に、感情の揺れで劣勢に陥っては話にならない。

 なので、吹っ切れてくれる事はありがたい。

 とは言え、恋人になれなくても、七美はキレンと友人で居る事を変える気は無い。


「……まぁいい、キレン」

「何?」

「お互い生きて帰れたら、これからもよろしくな」

「……うん」


 七美の提案に、キレンは今まで見た事無い笑みを浮かべた。


 ――――――


 その頃。

 リリィとシルフィは、自らの装備の整備を進めていた。

 すぐ横から漂ってくる、強力な気配を感じながら。


「な、何?この感じ」

「あ、エーラ、さん?」


 その気配に気付いたリリィは、エーラの方に視線を移した。

 視界に入り込んできたのは、モニターの画面から目を離し、フェンリルのマルコの方を向いている。

 しかも、かなり目つきが鋭い。

 だというのに、タイピング速度は変わらず、プログラム内容に問題は無い。


「ちょ、あの!エーラさん!」

「その速度でノールック作業は危ないよ!」


 というリリィ達のツッコミに耳を貸す事無く、エーラは作業を続行。

 これでノーミスなのだから凄い。

 感心ついでに止めようとするリリィ達の耳に、悲鳴が入り込む。


「イヤアア!」

「え?何?」

「へ、ヘリアンさん!ブヘ!」


 何と、格納庫の天井から、ヘリアンが落ちて来た。

 というより、誰かに投げ飛ばされて、リリィとシルフィ、エーラを下敷きにして着陸した。

 思いがけない状況に、流石のエーラも我に返る。


「う~ん、は、私は何を」

「あ、エーラさん正気に戻った」

「それは良いとして、何が有ったんですか?この非常時にトランポリンで遊んでたんですか?」

「そんな訳、無い……イビア止めようとしたら、投げられた」

「え?」


 三人の上から降りながら、ヘリアンはこうなった理由を話した。

 とは言え、あまり信じられない事だ。

 イビアは三日前に、心臓を刺されて瀕死の状態だった。

 重なる状態を崩しながら、リリィは疑いの目を向ける。


「……そんな目を、向けられても、本当だから、仕方ない」


 リリィの疑いを晴らすためにも、ヘリアンは先ほどからちょっと騒がしかった所を指さす。

 そこでは、病人服姿のイビアが暴れていた。

 どうやらヘリアンの言っていた事は本当らしく、かなり元気がいい。

 なので、薔薇騎士団の面々に取り押さえられている。


「はぁ!なぁ!しぃ!なぁさぁぁい!私も志願するって言ってるでしょ!!」

「無茶言うな!そんな熱で何ができる!?」

「……え、マジで?」

「三日であんなに回復する物なの?」

「いえ、普通は動く事も……ん?三日?」


 ヘリアンが心臓移植等を行ったとしても、こんなに早く動けるとは考えられない。

 しかし、リリィには心当たりが有った。

 ちょうど近くに、同じ状態に成った人物がいた。

 その人物を見つめながら、リリィはヘリアンに訊ねる。


「……ヘリアン、まさか」

「うん、そのまさか」

「え?リリィ?何?ヘリアンさんまで?」


 リリィとヘリアンが見つめるのは、とぼけた様子のシルフィ。

 もう随分前の事だが、シルフィも心臓を刺され、三日程度で回復した。

 しかし、その時のシルフィより、明らかに回復が早い。


「心臓停止から復活する事で、潜在能力の解放、そう言えばそんな設定有りましたね」

「うん、それと同じ、でも、シルフィの時は、ジャックに滅多裂きに、されたから、回復も遅かった、イビアはただ、心臓を刺されただけ」

「成程、確かにあの時、結構ボロボロでした……しかし、ロゼさん達を苦戦させるとは、随分レベルアップしましたね」

「でも、まだ本調子じゃ無い筈……後、リリィの施術が、少し雑だったのも、有る」

「しれっと喧嘩売りましたね」

「……お母さんに滅多裂き、心臓……あ」


 二人の会話を聞いて、シルフィもようやく思い出した。

 ジャックと本当に初めて戦い、ボコボコにやられた時。

 おかげで、イビアがこんなに早く復活した理由も分かった。

 同時に、ロゼ達が五人がかりでようやく抑え込めている理由も、何となく察したシルフィは、何故だか感慨深くなる。


「そっか、あの時の私って、イビアさんより弱かったんだっけ」

「ええ、ホント、強く成りましたよ」

「そこからお母さんと何とか戦える位だったから、今のイビアさん、ロゼさんと同じ位かな?」

「恐らく」

「……そろそろ、止めて来る」


 これ以上ロゼ達を疲れさせたくないので、止める為にヘリアンは彼女達の元へと移動。

 よく見れば、地味に拘束が解けかけている。

 薔薇騎士団の実力は、ヘリアンも承知。

 彼女達全員の拘束を破りかけている辺り、随分と強く成っている。


「(まぁ、そうでも無いと、私を投げ飛ばすなんて、できないか)」

「あ!ヘリアン!こいつ等に何とか言って!私なら、もう大丈夫だから!」

「大丈夫な訳有るか!医者は騒げるのが不思議なくらいの高熱だと言っていたぞ!」


 そう言いながら、ロゼは暴れるイビアを更に押さえつけた。

 旧政府との戦いで、医療班に何度も世話になったロゼは、彼らの診断を無視できなかった。

 事実、イビアの顔は、風邪をひいているかのように赤い。

 ならば無理はさせられない。


「イビア、その辺にして」

「……言っておくけど、私も行くからね、あの時は不覚を取ったけど、今度こそ!」


 熱のせいも有るだろうが、今のイビアは頭に血が上っている。

 今の状態のイビアは、とても作戦に参加させられない。

 そう判断したヘリアンは、バックパックからこっそり注射器を二本取りだし、イビアに視線を合わせる。


「イビア」

「ッ、ヘリアン」


 ヘリアンの優しい笑みを見て、安堵したイビアだったが、その隙に薬を打ち込まれた。

 中身は解熱剤と筋弛緩剤、しかも結構高濃度の物。

 そんな物を注入されたイビアは、糸の切れた人形のように、意識を手放してしまう。

 暴れる元気を無くしたイビアを見て、ロゼ達は離れる。


「……やっぱり、連れて行かないのか?」

「今の彼女は、急激な成長で、平静を欠いてる、この状態はダメ……迷惑をかけた、ゴメン」

「いや、いい」


 気絶したイビアを抱き上げたヘリアンは、彼女を格納庫のすみに運ぶ。

 こうして抱き上げていると、今もイビアの身体が成長している事がわかる。

 筋弛緩剤の力も跳ね除け、細胞の一つ一つが活性化している。


「(この分だと、数時間で、起きるか)」


 イビアを運び終えたヘリアンは、黒い布を枕にして寝かせた。

 できれば医療班に頼みたいが、今は時間が惜しい。

 ここまで回復していれば、下手な事さえしなければ死ぬ事は無いので、このまま寝かせる事にした。


「……」

「そっちも大変そうだな」

「あ、デュラウス」

「オっす」


 イビアを寝かせ終えたヘリアンに話しかけたのは、どこか疲れた様子のデュラウス。

 彼女の姿に、ヘリアンは何となく何が有ったか察した。

 恐らく、スノウ辺りが付いていくと言っていたのだろう。


「……また、スノウ?」

「まぁな、また戦争って聞いたら、自分も行くって」

「やっぱり」

「ま、今回ばかりは絶対連れて行く訳行かねぇから、首締めて落として来た」

「……」


 デュラウスの脳筋過ぎる黙らせ方に、若干引いたヘリアンだった。

 一応何か言おうとしたが、ツッコミスキルが足りず、言い出せなかった。

 とは言え、前の戦いでも後方に徹していた彼女が、前線に出て来ても、足手まといなだけだろう。


「ま、でも、置いて来たのは、正解」

「ああ」

「どっかの、艦長の息子、みたいに、揚陸艇に密航、しないと、良いけど」

「その辺マジで気を付けないとな」


 ヘリアンの冗談に、デュラウスはうつむいた。

 割とあり得る可能性なので、注意しておきたいところだ。

 そんな事を気負いながら、デュラウスはスノウの事を思いながら遠い眼を向ける。

 今のスノウの気持ちは、何となくわかるのだ。


「(ウルフスが来てねぇんだ、不安になってんだろ)」


 地上の状況を考えると、ウルフスの安否も心配だ。

 何しろ、彼はまだどの艦にも載っていないのだ。

 彼も凄腕の剣士でるが、片腕を失ってからは引退し、剣もデュラウスが譲り受けている。

 魔法が使えても、彼が生き残るのは絶望的だろう。

 デュラウスにできるのは、できるだけ早く問題を解決する事位だ。

 決意を示すかのように、デュラウスは拳を強く握りしめる。


「せめて、俺が」

「……ん?なんか、向こう騒がしい」

「あ?」


 デュラウスの決意を目の当たりにしていたヘリアンは、エーラ達の居た所が騒がしい事に気付いた。

 気になったので、二人も彼女達の方へと向かう。

 どうやら、薔薇騎士団の面々が関係しているらしく、彼女達が中心に盛り上がっている。


「何が有ったんだ?」

「デュラウス、あれ」

「ん?」


 ヘリアンの指さした方を視界に収めると、そこには紫が中心の鎧をまとった人物が居た。

 悪魔を模ったように禍々しい造形の鎧を着る者は、物珍しく自らの鎧を観察している。

 この鎧に、デュラウスとヘリアンは見覚えが有った。


「あの鎧、まさかロゼか?」

「みたい、以前、カルミアが、撮ったデータとも、九割、一致する」

「だよな、ヤバくないのか?」


 カルミアがドローンを使って撮影したロゼのデータと、鎧が一致していた。

 所々マイルドな感じがするが、暴走状態に変わりないので、デュラウス達は少し警戒してしまう。

 デュラウスの発言は、その場にいた一人に否定される。


「いえ、どうやらエーラさんが、手を加えたようで、暴走の危険はないようでしてよ」


 否定したのは、先に来ていたイベリス。

 ヘリアン達が来る前から、イベリスはここで自分の装備の整備をしていた。

 ついでに、先に野次馬になっていたので、ある程度状況を聞いていた。


「あ、イベリス、居たんだ」

「貴女がご到着する前から、ずっと居ましてよ」

「で?どういう事なんだ?」

「……」


 デュラウスの発言に不満を感じながらも、イベリスはエーラの改造内容を話す。


「シルフィとの作業で、古代文字をご理解なされたらしく、そちらを用いて、ある程度のプログラムの改ざんにご成功なされたようですわ」

「成程、確かあの鎧も、ルドベキアの作品だったな」

「具体的に、どんな改造?」

「現在の地上の大気でもご活動できるよう、ヘルメットを改造なされたとか、加えて、暴走せずに鎧の力を一部引き出せるようでしてよ」


 イベリスの解説を受けながら、二人は何度か頷いた。

 先ほどの短時間でそれをやったのかは知らないが、ルドベキアの作った物に手を加えられる辺り、流石としか言えない。

 とは言え、エーラ自身に不満もある。

 鎧のデキに感心するロゼに、エーラは注意事項を伝える。


「水を差すようで悪いが、扱う感覚は、何時もと同じで頼むぞ」

「な、何故だ?」

「変形と同時に暴走するギミックは取り外したが、呪いは残ったままだ、手綱を手放せば、またすぐにお前を蝕む、それを忘れるな」

「……わかった、ご忠告感謝する」


 エーラの注意に、ロゼは頭を下げた。

 呪いがそのままであっても、負担も無く、少しだけ強く成っている事に変わりは無い。

 それだけでも、十分ありがたいのだ。


 ――――――


 その頃。

 機体の整備を行っていたカルミアは、ロゼの周りの野次馬を眺めていた。


「……やれやれ、アタシは、アイツらみたいに気楽でいられないな」

「でも、これから大変なんだし、少し位はしゃいでも良いでしょ」

「何時の間に来たんだよ、チフユ」


 緊張がほぐれないカルミアに茶々を入れたのは、イベリスと整備を行っていたチフユ。

 しかし、自分で言っておきながら、チフユも緊張がほぐれていない。


「……今回は、何人生き残れるかな?」

「不謹慎だぞ」

「ゴメン、今回は、何時もと違うし」

「確かにな、整備班と少佐には言ったが、あの環境だと、使える武器も制限される、どれだけやれるか、アタシにもわからん」

「そう……時間とってごめん、私は、せめてイベリスが帰って来れるようにしないと」

「ああ、頑張れよ」


 多くの不安を抱えながらも、カルミアとチフユは、整備に戻った。

 もうじき、志願兵の選別も終了する。

 彼らと少佐の到着を待ちながら、武器の整備は続く。



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