教皇 中編
会議の日から三日後。
カルミアの町より、一機の揚陸艇が飛び立った。
今回は外交のような物であるが、道中の魔物に備え、最低限の装備は積んである。
その機内の小隊ルームで、シルフィはベッドに転がりながら、言葉をこぼす。
「……やっぱり、物々しくない?」
「まぁ、空の魔物の襲撃も有るでしょうし、それに、敵対心が無い事を伝えるのにも、色々と必要ですから」
小隊ルームは、三段ベッドが二つ置かれる簡素な部屋。
シルフィが転がるベッドの向かいに座るリリィは、シルフィの疑問に答えた。
最低限とは言え、エーテル・アームズも数機程積んでいる。
対空警戒用と言うのも有るが、目印として、彼らが白旗を掲げる事に成っている。
必要無いかもしれないが、護衛の兵士も、一個小隊程連れてこられている。
「……」
「どうかしましたか?」
「やっぱり、嫌な予感が抜けなくて」
今日になってから、シルフィの未来予知は一切働いていない。
未来予知が使えなくなるという事は、シルフィ達が死ぬ未来も同義。
誰かに妨害されていないのであれば、今日が命日になる危険がある。
そのせいで、とてつもない不安に駆られていた。
「では、何か気の紛れる話でもしましょうか?」
「うん、そうして」
「(とは言ったが、何を話せば)」
リリィは提案通り、シルフィの気がまぎれそうな話を考える。
適当に言い出した言葉だったので、何を話すか決めていなかった。
シルフィの目の前で、考えるポーズを取る事数秒経過し、リリィは何を話すのか決める。
「……そうだ、冒険者のランクの事、覚えていますか?」
「ん?うん、Aとか、Bとかで、上下が決まってたね」
「その事で、何か気付かれた点はありますか?」
「……そう言えば、ゲームとかのランクも、同じだった」
リリィが思いついたのは、冒険者に使われているランクのアルファベット表記。
基本は、AからFのランクが与えられており、最高の物はキレンのみに与えられたSランク。
この優劣は、リリィ達の世界から輸入したゲームでも、同じように採用されている。
「……確か、私の里で見つけたコンピューターには、ジャックの世界の古代文字が有ったよね」
「ええ、それに、その文字はヴィルへルミネの研究所にも有ったとの事でした」
「偶然じゃない、よね?」
「ウム、確かに偶然の範ちゅうを超えておるな」
「またしれっと」
またもや入り込んできたルシーラも、リリィの持ち出した話に賛同した。
シルフィの転がるベッドの上から身を乗り出し、話に加わる気でいる。
部屋にはこの三人だけなので、到着までの暇つぶしには丁度いい。
「以前リリィの世界の文献を読んだが、我々の世界の文字に似ておった事も考えると、何か繋がりが有ると見てもよいだろう」
「あ、そう言えばそうだったね」
「ええ、そうですね(文献って言うか、あれ、ただのラノベなんだが)」
冒険者達のランク以外でも、シルフィ達の世界と、リリィ達の世界の文字は似ている。
その事は、ゲーム同様に輸入されたライトノベルで、シルフィ達も知っている。
因みに、ルシーラは勇者が活躍する王道の話をよく読んでいる。
「と言っても、文字が似ているという事と、ルドベキアの暗躍などが関わっているのか、疑問ではありますね」
「そうかな?考察するには、良い材料だとは思うけど」
話を持ち掛けたリリィだったが、話題が以前の件と繋がるか疑問だった。
何しろ、世界一つを見ても、似通った文化が生まれる事は有る。
相撲やレスリング、剣道やフェンシング、形が違っても、似たスポーツが生まれるように。
「うむ、リリィの言う通り、単一の世界であっても、似た文化が生まれる事はあり得る、しかし、文字はそうも行かぬと思えぬか?」
「……確かにそうですが、文字の起源の話になると、数千年単位の時間が必要です、彼女一人ではとても」
寝方を変えながら、ルシーラはリリィの考えを否定した。
エルフの最高寿命と言われているのは、およそ千年。
その程度であれば、スポーツ程度を浸透させるには十分すぎる。
しかし文字の始まりとなると、その何倍もの昔から存在している。
ルドベキア一人の寿命で、文字を浸透させる事は不可能だ。
そんなリリィの言葉を前に、ルシーラは首を横に振る。
「リリィよ、その前提からおかしいと思わぬか?」
「……彼女以外にも、構成員のような物が居た、とでも?」
「え、そうなの?」
「いや、あくまでも、余の仮説のような物だ、本当に居たかは解らぬ」
リリィ達の前提では、ルドベキアは一人で全ての事を行っていた。
だが、彼女に仲間のような物が居たという事は、考えていなかった。
そうなると、ジャックが向こうの世界で戦っている以前から、活動していたと言える。
「その仮定で話すとするのなら、彼女はこの付近の惑星で暗躍していて、他のメンバーは、別の惑星で活動中、という事に成りますね」
「それ以外だと……もうあの人しか居なくて、後を継いでもらう人を探してる、とか?」
「……ウム、それも考えられるな」
シルフィの発言に、ルシーラは首を縦に振った。
彼女の意外な反応に、リリィは驚く。
「そうなのですか?」
「ああ、天は生命を破壊する能力も有るが、その逆に、生命を誕生させる力が存在する、応用すれば、傷の手当てもできる」
「へ~、そんな事で来たんだ」
「知らなかったのか」
「うん……ごめん」
魔法が使えないというコンプレックスのせいで、ずっと誰かの傷を治癒するという事は思いつかなかった。
何しろ、傷を治せる属性は光のみ。
使用者は少ないので、ヘレルスのような回復職は、冒険者達からは引っ張りだこだ。
というか、今までの事を考えても、リリィは治癒魔法の意味が無く、軍に入ってからは、医療班に頼りっきりだった。
状況的に言って、シルフィが治療するより、専門家に頼んだ方が確実だった。
「……生命を生み出す……という事は、惑星に生命体を満たす事も?」
「うむ……尋常でない程の量、世界一つを包める程の魔力が必要だが、可能だろうな」
「成程」
「……」
目を合わせたリリィとマリーは、互いに何を考えているか悟った。
世界一つを包める量の魔力は、今のリリィであれば、何とかできそうだ。
そこにシルフィの力が加われば、荒廃している世界を満たす事が出来る。
もしかすれば、ルドベキアの求める物は、そこにあるだろう。
それが二人の考える事だ。
以心伝心の如く見つめ合う二人だが、その様子を、シルフィは良しとしなかった。
「(……なんか、目の前で不倫されてる気分)」
頭が回り、知識も豊富な、元魔王ルシーラ。
難しいリリィの話等であっても、簡単に飲み込み、普通にやり取りを出来る。
彼女より長く居る筈なのに、話に入る事さえできていない。
その事に、シルフィは劣等感と嫉妬を覚えてしまった。
「(い、いけない、いけない……もう劣等感で貶しちゃ……でもなぁ~)」
細い目でリリィの事を見るシルフィは、日常におけるルシーラの事を思い出す。
彼女の気分で、急に出てきては引っ込む。
そんな事が何時もの事だが、リリィと話す時は何処か嬉しそうだ。
まるで、共通の話題がきっかけで、徐々に惹かれ合う関係の如く。
「(……時々だけど、ルシーラさんから色目が感じる気が……だ、大丈夫、リリィは私から離れたりしないから……でも、以前までのリリィの性癖って)」
リリィ程ではないが、やはりシルフィにも独占欲は有る。
マリーであればまだしも、ルシーラは少し複雑だ。
とは言え、妹に手を出してしまっただけに、強く当たる事が出来ない。
「……」
「(シルフィが嫉妬してる……なんだ?ゾクゾクするな……ま、今まで散々嫉妬させてくれたんだ、少しくらい報復しても)」
半分以上は、シルフィも不本意な事であったが、リリィは散々嫉妬してきた。
シルフィと嬉しそうに話す、カルミア達姉妹。
それだけであれば、何とか克服したのだが、いつの間にかマリーまで加わった。
自分でも成長を感じる程、嫉妬を抑えているつもりだが、たまには報復したかった。
「……あの、ルシーラさん、少し」
「ん?なんだ?」
「ッ?」
手招きしたリリィは、ルシーラの事を隣に座らせる。
そして、何時もシルフィにやる様に、手を絡め、口をルシーラの耳に寄せる。
「……」
そのせいで、シルフィは顔を赤くしながら睨みだしてしまった。
「(あ、やべ、楽しい)」
「フン!」
「ビュッ!」
新しい扉が開きかけたところで、ルシーラはリリィの顔を壁に叩きつけた。
壁にめり込むリリィの頭を掴みながら、ルシーラは赤黒いオーラを出す。
「それ以上お姉ちゃんを困らせるなら、ここで殺すよ?」
「う、あ、ご、ごめんなさい(マリーも無理矢理出てこれるの忘れてた)」
リリィに攻撃したのは、ルシーラではなくマリー。
マリーはリリィの事を友人のように思っていても、恋情に関する物は無い。
どちらかと言えば、シルフィの方にその手の感情がある。
なので、今のリリィの行動には感心しなかった。
「私じゃなくて、お姉ちゃんにでしょ?」
「う、そうですね」
マリーはリリィの頭を壁から引き抜き、シルフィの方をむかせた。
そして、リリィはシルフィに対して、深々と頭を下げる。
「あの、調子に乗ってすみません」
「あ、いや、良いよ別に……」
苦笑しながら、シルフィはリリィの事を許した。
しかし、少し顔を赤くするシルフィは目を逸らす。
「ちょっと、興奮したし」
「……」
「(……今のお姉ちゃん達の気持ちが、全然わからない)」
『(お子様には、まだ早い世界のようだな)』
「(うるさい)」
良く解らない会話に、マリーは困惑してしまった。
――――――
しばらくして。
リリィ達の乗る揚陸艇は国境を越え、公国へと入国し、目的の町へと向かっていく。
更に三十分程飛び、目的地上空に到着。
「……お、あれだな?」
もはや教会というより、城ともとれる程巨大な建造物を中心に、運河や市街地が広がっている町が、モニターに映った。
ブリッジに立つカルミアは、モニターに映る巨大な教会に釘付けとなった。
この世界の文明でも、最先端と思える程、美しく神々しい。
信仰心なんて物は無いカルミアであっても、思わずひれ伏したくなってしまう。
それは、少佐とチハルも同じ事だ。
「……流石、この大陸の宗教の中心だ、あれほどの教会、我々の技術でもどれだけかかるか」
「はい、よく見ると、精巧な彫刻も有りますので、完全再現には何十年もかかると思われます」
現在使われている技術であれば、土木面であれば容易くできるだろう。
しかし、彫刻などを見る限り、相当な技術を持った職人が必要だ。
「少佐、センサーに感あり、市街地より、数体の飛行物体が飛び立ちました」
「ッ」
そんな風に呆気に取られていると、クルーの一人が報告をしてきた。
おかげで我に返った少佐は、指示を下す。
「……恐らく、迎えであろう、エーテル・アームズを一機、非武装状態で出撃、コンタクトを図れ」
「御意」
向こうも少佐達に気付いたらしく、市街地から偵察部隊のような物が飛び出した。
そして、それに応えるべく、エーテル・アームズ『コンドル』を出撃させる。
もちろん武器の類は全て外し、積んでおいた白旗を装備。
ヘレルスも同行させ、公国の航空戦力と思われる部隊と接触する。
打ち合わせ通りの状態で、一機が揚陸艇から飛び出す。
「……しかし、こちらの世界でも、白旗が通用して助かった」
「ん?なんか有ったのか?」
「いや、少し昔のアニメでな、白旗は宣戦布告を意味する宇宙文明に対し、知らずに白旗を上げ、誤解から戦争になったという物が有ってな」
「……そうか(何時のアニメだよ)」
少佐とカルミアのやり取りが終わった辺りで、コンドルからの通信が入る。
『こちらコンドル、公国の騎士とのコンタクトに成功、これより、揚陸艇を誘導します』
「ッ、了解した、誘導を頼む」
『は』
通信が終わると、コンドルのパイロットは、公国の騎士たちと共に誘導を開始。
騎士たちが乗るのは、巨大な鳥型の魔物、ハーピー。
比較的大人しい魔物である為、魔法無しで手なずけ、馬の代わりとして扱われる事も有る。
だが、安定性の問題や、馬代わりとして扱われるようになった歴史も浅い為、あまり普及していない。
「……鳥を使った騎兵か」
「て言っても、こっちの世界でも珍しいらしい、実際、採用されてるのこの国位らしい」
「だろうな、落ちたら一巻の終わりの高度まで、手綱やあぶみだけで飛ぼうなどと、命知らずもいい所だ」
「一応命綱みないなので繋がってるらしいけどな」
そんな話をしながら、案内を受けていると、町の外の比較的広い場所にでる。
そして、コンドルのパイロットの誘導に従いつつ、揚陸艇は着陸。
着陸時の衝撃を、僅かに感じながら、少佐達はアナウンスを開始する。
「よし……各員へ通達、目的地へと到着した、指名されたメンバーは、揚陸艇から降りるように」
揚陸艇内に声を響かせると、少佐は椅子から立ち上がる。
「チハル、留守を頼む」
「はい」
「レッドクラウン、アタシらも行くぞ」
「はいよ~」
レッドクラウンも呼び、少佐とカルミア達は、揚陸艇を降りて行く。
――――――
数分後、正装で降りたメンバーは、馬車を連れた人達と対面する。
「ようこそお出で下さいました、案内役のメフィスと申します」
ヘレルスと似た服を着た女性、メフィスは、少佐達に対して一礼する。
一切露出の無く、白に金色のラインが入ったローブのフードを、深々と被り、素顔も仮面で隠している。
女性と認識できるのは、僅かに見える体の凹凸と声だけだ。
「こちらこそ、招待して下さり感謝します、私はカルミア、本日は案内をよろしくお願いいたします、メフィス殿」
何時もの彼女からは、考えられない程丁寧な口調で、カルミアはメフィスに一礼した。
カルミアに続き、後ろで待機するリリィ達も、頭を下げる。
因みに、マリーだけ遅れて頭を下げた。
「これは、ご丁寧に、では、馬車でお送りいたしますが、先ずは皆様、こちらのローブをまとってはいただけますか?」
「あ、ハイ(やっぱ、スーツじゃマズかったか?)」
メフィスは、同行している使用人達に頼み、白い無地のローブを渡していく。
全員に着せる辺り、やはり背広ではだめだったかもしれない。
そんな不安に駆られるが、理由はメフィスの口から説明される。
「……えっと、この服は、やはりいけなかったでしょうか?」
「申し訳ございません、この町の中では、皆さん例外なくローブを着ていただいております、教会に着くまでの間は、ご理解とご協力をお願いします」
「そ、そうでしたか」
スーツの方は問題無いらしいが、どうやらそう言う決まりのような物があるらしい。
そして、その話を聞いたメンバーは、白いローブをまとっていく。
「(ま、女は家族以外に肌を見せるな、なんて決まりが有る宗教も有るかなら)」
「(スーツにこれって、ちょっと熱いな~)」
「(これ着るなら、少しくらい胸のボタン開けて良いと思うけど)」
それぞれローブに感想を抱きながら着用。
その数分後、着替え終えたメンバーは、メフィスの引き連れて来た馬車に乗り込む。
「で皆さんお乗りになられましたね?」
「はい」
「では、出発いたしましょう」
メフィスの声と共に、用意された馬車達は出発。
最低限しか補装されていない道を走り、あまり良いとは言えない乗り心地を数分堪能。
町内に入った事で、少しだけマシになる。
「……本当にみんな同じ恰好だね」
「はい、宗教国家なだけありますね」
馬車に揺られながら、シルフィ達は町の住民が本当にローブ姿である事を確認した。
大人は勿論、子供達は成長を見越してなのか、少しブカブカな物を着ている。
パッと見た限りでは、それ程縛られていないのか、今まで見て来た町の住民と変わらない。
そんな彼らを横目に、リリィは目の前に座るヘレルスに視線を移す。
「……あの、ヘレルスさん」
「ん、どうか、なさいましたか?」
「いえ、教皇様と言う方は、どのような人物なのかと」
リリィが気になっていたのは、今から会いに行く教皇様の事。
調べてみても、種族がエルフである事しかわからなかった。
その質問に対して、ヘレルスも困った様子で答えだす。
「えっと、実は、あまり表に出る方ではないらしく……私も、十年以上信者として活動していますが、お目にかかれた事は、一度も」
「……そうでしたか、すみません」
ヘレルス程マジメな信者でさえ、一度も会った事が無い。
基本は冒険者として活動していたので、仕方がないといえば、仕方がない。
無理な事を言ってしまったと思い、リリィは頭を下げた。
――――――
数十分馬車に揺られていると、目的の教会にたどり着く。
上空からではなく、地上から見上げるのは、また違った印象をもたらした。
まさに圧巻、リリィ達の世界でも、世界遺産と呼べるくらいの神々しさだ。
「では、案内いたします」
「お、お願いします」
カルミアを先頭に、メフィスの案内を受けながら、教会へと入る。
中も清潔感を保つべく、修行僧らしき人達が、せっせと掃除をしている。
そんな様子を横目に、教会の内部を観察して行く。
天井の絵、壁の彫刻等、リリィ達でも教会の中と呼べる物が並ぶ。
「まるで、神話の中に入ったみたいだ」
「ああ、余程腕のいい職人が作ったんだろうな」
驚く七美達は、教会のエントランスらしき部屋を通り、階段を昇り、更に部屋を移動。
数分歩いた後で、部屋の奥の壁に設けられた扉を前にする。
そこだけ、何故だか雰囲気が違う。
「こ、この扉は?」
「ここから先は、私を含めた一部の者しか、立ち入りが許されておりません、教皇様の部屋に通じる、唯一の道ですので」
扉の説明をしたメフィスは、横にあるレバーを下ろす。
すると、扉は自動で開き、全員が何とか入れる程の小さな部屋が出現。
その様子に、リリィ達は見覚えがあった。
「こ、これって」
「まさか」
「どうぞ、お乗りください」
強い既視感を覚えながら、リリィ達は部屋に入って行く。
最後にメフィスが入り込み、扉が閉まる。
そして、扉が閉まった事を確認したメフィスは、部屋の中のレバーを上に倒す。
「ッ、やっぱり、これは」
「エレベーター」
わずかな部屋の揺れと、身に覚えのある浮遊感。
明らかにエレベーターに乗った時の挙動だ。
その事に対する驚きと、耳の違和感を噛み締めていると、エレベーターの扉が開く。
先にリリィ達を下ろしたメフィスは最後に降り、全員の前にでる。
「教皇様、お客様を、お連れいたしました」
ひざまずいたメフィスの言葉に、教皇様は反応する。
「……ありがとう、では、妹さんとお茶とお菓子の用意を、お願いできる?」
立ち上がりながら、メフィスへと命令した。
遂にあらわに成った、教皇様の姿に、呼ばれた全員は固唾を飲んだ。
仮面を付けた、金髪のエルフ。
「な、何で」
「貴女が」
「初めまして、と言うべきかしら?それとも、久しぶり?で、いいかしら?皆さん」
その姿を見たリリィとシルフィは、彼女の名を呼ぶ。
「ヴィルへルミネ!」
「ルドベキアさん!?」
驚く二人に対し、ルドベキアは笑みを浮かべながら手を振った。




