表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルフとガイノイドの百合劇場  作者: B・T
モミジガサ編
283/343

リング制圧作戦 後編

 

 イディオとの戦闘が始まる前。

 リングを潜り抜けたリリィとルシーラは、艦隊に囲まれていた。

 それだけであれば、特に問題は無いのだが、その物量はおびただしい物。

 リリィ達の母星の方に展開されている艦隊も含めれば、数える事も面倒だ。


「リリィよ、お主らの世界とは、このような数の戦艦が必要な程、戦争が過激なのか?」


 この光景を前に、ルシーラは三百年程前の戦争を思いだした。

 当時は大きな船舶を作る技術が無かっただけに、人間達の軍艦が何十隻も海を渡るのは、珍しいが、有るには有った。

 だが、目の前の艦船は、当時の木造船の倍以上の大きさを誇る。

 しかも、装備は最新鋭の物がそろい、表面は装甲で覆われている。

 スペックが圧倒的に違うというのに、数だけは同じという、頭のおかしい状況だ。

 彼女の疑問に答えようにも、リリィ自身も呆れてしまっていた。


「……軍備拡大政策が行われているとは聞いていましたが、まさかこんな数が用意されているとは、思いませんでした」


 リリィの思い当たる節は、連邦は相も変わらず軍縮を行わなかった事。

 普段はジャック達ストレンジャーズしか頼らないくせに、肝心の本隊はこうして大量の兵器を保有している。

 世界そのものが統一された事で、物量をそろえやすく成ったのも、この数の原因だろう。

 それでも、折角世界が統一されたというのに、こんな物量を用意する辺り、余程戦争がしたかったとしか思えない。

 だが、驚いている場合ではない。

 この全てがリングの向こうへ行けば、いくらヴァーベナやライラックといえども、ただでは済まない。


「さて、こいつ等が向こう側に行く前に、さっさとケリをつけましょうか」

「そうだな、これ以上余の世界を、土足で踏み入られる訳にはいかぬ」

「(魔王のセリフじゃねぇな、まぁいいか)じゃ、行きますか!」

「ああ!」


 槍と刀、こんな原始的な物で、最新の宇宙戦艦を落とす。

 なんとも時代錯誤かつ、効果的といえない方法だが、二人にとっては、これ以上無い方法だ。


『敵機接近!』

『撃ち落とせ!』

「落とされるのは、お前たちだ!」


 蒼い炎をまとうガーベラは、戦艦を豆腐のように切り裂いた。

 こうして敵艦を落とす事は容易いが、リングの制圧は、歩兵部隊に任せるしかない。

 現状、リリィとルシーラのおかげで、増援体制はほとんど遮断できている。

 歩兵部隊がリングを制圧するまで、奥へ行く事を防ぐことが、二人の任務だ。

 しかし、リリィには一つ不安な事が有る。


「(壊滅させる事は容易だが……昨今の艦船は、クルーの数を減らせるとはいっても、相当数の人間が乗っている、バカスカ落とすのは、気が引けるな)」


 敵対している艦隊は、全て有人だ。

 以前までであれば、人を殺すなんて、蚊を潰すような物だった。

 だが、今の状況で虐殺を行えば、向こうに必要以上の恐怖を与えてしまう。

 進軍を止め、士気を低下させる分には良いが、それを理由に、余計に敵対心を煽られては困る。


「(ま、アイツらに限っては、恐怖なんてお構い無しだろうが……殺し過ぎるとシルフィがなぁ~)」


 というのは建前であり、本音は、殺し過ぎると、シルフィが殺された兵を哀れんでしまうから。

 たとえリリィ達を蔑んでいた世界の人間であっても、人が死んだという事実に、彼女は目を向けてしまう。

 そして今は、彼女自身も、直接手にかけている。

 それだけでも、心労は相当な物だろう。


「(出来る限り早く、リングを制圧してくれると嬉しいな……ルシーラも、その辺気を使ってるみたいだし)」


 ルシーラもその辺を理解しているのか、その気になれば、魔法で一気に殲滅できるというのに、リリィ同様チマチマ倒している。

 簡単に落とせるのは良いが、リングの規模は大きく、陣形も広く取られている。

 疲れるので、早く制圧してほしいものだ。


『ダメです!リングに到達できません!』

『相手は二人だ!限界はある!戦力を送り続けろ!』

「(そんな事したら、全滅しちまうぞ……けど、同胞をやるって言うのは、気分が悪い)」


 数に任せたゴリ押し。

 練度の低さを、持ち前の物量でカバーするのは相変わらずだった。

 高性能なアンドロイドを否定し続けただけに、敵の兵器のほとんどが有人。

 中にはアンドロイド兵もいるが、敵を見つけて撃つだけの数合わせ。

 ただの動くセントリーガン程度の性能で、見かけ倒し程度だ。

 それでも、同じ存在であるだけに、胸が痛む。


「……何だ?」


 増援の遮断を続けるリリィは、艦隊の横側に、機影を一つ見つけた。

 全ての艦が陣形を取り、リングに向かっている中で、一隻だけが、艦隊の外にいる。

 嫌な予感が過ぎったリリィの近くを、連邦の巡洋艦が通り過ぎようとする。


「ッ、させるか!」


 ショットガンを構え、撃墜しようとするが、その艦は、遠くからの砲撃で轟沈。

 爆炎から身を守るように、リリィは左腕で顔を覆う。


「ッ!……砲撃?……まさか、あれが!?」

「おい、どうした?」


 振りむいたリリィは、遠くから迫る戦艦を再度目にする。

 多数の主砲や、無数の副砲を搭載している大型の戦艦だ。

 目を見張るのは、その大きさ。

 宇宙に居るせいでわかり辛かったが、推定でもヴァーベナと同サイズだ。

 それを見て、ルシーラも首を傾げる。


「敵の援軍か?」

「いえ、あれは!」


 リリィの言葉と同時に、戦艦は砲撃を開始。

 今時にしては珍しく、実弾を使用した火砲が火を噴き、敵艦を焼く。

 更に、戦艦から、艦載機らしき光が出現する。


「スラスターの光?艦載されていた戦力……ッ!」


 出撃した艦載機を目にして、リリィは笑みを浮かべた。

 強襲型揚陸艇二隻と、護衛と思われる、大きな翼をもったエーテル・ギア部隊。

 見るからにバルチャーを原型とした機体達、彼らを率いる人物は、リリィのよく知る人物だ。


「中尉!」

「久しぶりだな!リリィ!我々が援護する!!」

「了解!」

「(ほう、リリィの友人だったか)」


 援軍としてやってきたのは、ドレイクとその部下達。

 彼らの存在を認識した艦隊は、揚陸艇へと狙いをつけ始める。


『敵の増援だ!揚陸艇に砲撃を集中しろ!』

『リングを落とさせるな!』


 揚陸艇へと向けられた砲台は、一斉に砲撃を行い出す。

 月へ降りられたら、リングを落とされてもおかしくはない。

 それを阻止するために、飽和攻撃が襲い掛かる。


「させない!」

「任せろ!」


 揚陸艇を守るべく、ルシーラが防御を買って出る。

 あえて敵の射線上へ出ると、槍を掲げ、魔力を放出する。


「友の友も、余の友人だ、守らねばな!!」


 赤黒いビームが周囲に照射され、敵艦の攻撃を次々とかき消す。

 ミサイルは撃ち落とされ、エーテルによる砲撃は、天の効果で霧散する。

 ついでに、敵艦をいくつか落とし、相手の攻撃能力を低下させた。


「味方を降下するのであれば、はやくしろ!」


 揚陸艇の誘導を行いつつ、ルシーラは援護を続けた。

 そのそばで、ドレイクは見なれない彼女に首を傾げる。


「新入りか?」

「ええ、期待の大型新人ですよ」

「何処の声優だ」


 リリィの冗談に呆れながらも、ドレイクは笑みを浮かべた。

 彼女の口から、期待できるという言葉が、冗談でも出て来たのだ。

 今の防衛から解るように、ルシーラの戦闘力の高さは、目を見張る物が有る。

 だが、ドレイクにはやるべき事が有り、それに関するデータを送るべく、ドレイクは端末を取りだす。


「中尉?」

「部隊がリングを落とすのを協力する、あの女には、その援護を頼むが、貴様には他の任務を頼みたい」

「他、ですか?」

「そうだ、データを送る」


 ドレイクから送られたデータを見て、目を鋭くする。

 転送されたデータの内容は、衛星砲とも呼ばれている、軌道エレベーター付近に有る大型砲台。

 宇宙に進出しているのだから、宇宙ステーション型の軍事基地を配備するのは解る。

 だが、その基地に、地上制圧用の戦略兵器を搭載するというのは、恐怖政治がすぎる。

 知らない間に、随分と物騒な物が配備されていたと、リリィは呆れてしまう。


「これは」

「衛星砲だ、これのせいで、我々の行動は制限され……そして、大尉も」

「ッ!」


 悔しさを滲みだすドレイクを見て、リリィは悟った。

 ジャックを殺したのは、この兵器なのだと。

 それを聞くなり、リリィは衛星砲の破壊を即決する。


「……了解、こちらで衛星砲を破壊します」

「ああ、俺が案内する、こっちは部下達で対応させる」

「了解……ルシーラ、聞こえますか?」

『何だ?』

「私は、敵の兵器を破壊するために、作戦領域を離脱します、彼らと連携してください」

『承知した、そちらも気を付けろ』


 リリィにとっても、私怨のある兵器だが、もう一つ理由が有る。

 切羽詰まった連邦が、リングを破壊してでも、作戦を妨害しようと考えてもおかしくない。

 ジャックに致命傷を与えるような兵器だ、長距離からリングを破壊するくらい容易な筈だ。

 ここの任務はルシーラ達に任せ、衛星砲を破壊するべきだろう。


「では、お願いしますよ……行きましょう、中尉」

「ああ」


 リリィとドレイクは、作戦領域を離脱。

 遠方に有る衛星砲の元へと移動して行った。

 二人の事を見送ったルシーラは、槍を構え直す。


「……さて、友人の頼みとやら、聞いてやるとするか!」


 ――――――


 衛星砲にて。

 まるで宇宙ステーションのように大きな人工衛星。

 軍事基地も兼任するこの設備の上で、一人の少女が武者震いを起こしながら立ち尽くしていた。


「……あの人の言う事は正しい、あの人が居たから、私には戦う大義を、生きる意味を見つけた……いや、私だけじゃない、私達には、世界を、そして、そこに住まう人々を守るという、この上ない大義が」


 向かってくる二つの影、そして、その奥に有る巨大な戦艦。

 それらを前にし、衛星砲は起動する。

 敵艦を捉えた場合、たとえ射線上に味方が居ようと、砲撃を行えという通達が有った。

 たとえ砲撃に巻き込まれようと、彼らも本望だろう。

 少女には、そんな確信が有った。


「……そんな物の無い無法者どもめ、天からの裁きを受けろ!」


 彼女の言葉に応えるかのように、最大出力の衛星砲が放たれる。


 ――――――


 その頃、衛星砲に向かう途中のリリィは、高エネルギー反応を感じていた。


「ッ!ま、まさかアイツら、味方ごとやる気か!?」


 行われた砲撃の奥には、ドレイク達の乗って来た艦船が有る。

 衛星砲からの攻撃を受けないように、出来る限り敵艦を盾にした場所にいた。

 しかし、向こうはそんな事お構い無しに、衛星砲を繰りだしたのだ。


「チ、貴方方の船を守るためです、中尉!背後へ!」

「了解!」


 ドレイクを背後へ隠したリリィは、エーテルをガーベラへ大量に送り込み、蒼白い炎をまとわせる。

 巨大な刃を形成したリリィは、迫りくる衛星砲を切りつける。


「止める!!」


 本来は、素手で車を止めようとするかのような、無謀な事だ。

 だが、新鋭機として生まれ変わったリリィにとっては、子供の突進を受け止めるような物。

 多少装甲が解けた程度で、衛星砲を受け止めきれた。


「……連邦政府も、なりふり構わない、という事でしょうか?」

「さぁな、だが、これ以上はやらせない」


 衛星砲をかき消し、二人は進行を再開。

 徐々に近づいてくる、軍事基地型の宇宙ステーション。

 配備されている兵器は、全てリングへ行ってしまっているのか、一機も出てこない事に、リリィ達は違和感を覚える。

 どんな作戦であれ、流石に基地内の全ての戦力を出すという事は、無いだろう。


「……ここは、確か軍事基地の筈ですが」

「部隊が出て来る気配がない……まて、あれは」


 違和感を覚える中で、ドレイクは施設の上に人影を見つけた。

 くすんだ青色に塗装された装甲を持つ、人型の兵器。

 明らかに異彩を放っており、体格もかなり大きく見える。

 装備も、遠目で見るだけでも、巨大なブレードが両手に装備されている。

 リングの防衛という、重要な任務にアサインされていない所を見ると、リリィ達がここに来ることは、想定されていたのだろう。

 あえて乗ってやろうと、二人はその機体の前に降り立つ。


「……やはり、あの方の言う事は正しかった……世界の秩序を守る、矛であり、盾である、このアルテミスを破壊しに来るとは」

「その声」


 通信によって聞こえて来た声に、ドレイクは聞き覚えが有った。

 なんとも生真面目そうな女性の声。

 以前に一度戦った少女、プラムの物だ。


「貴様か、プラム」

「誰です?」

「……ヴァルキリー隊の人間だ、俺と同じ、ハーフエルフ型の強化人間……大尉にトドメを刺した奴だ」

「……そうでしたか」


 ジャックにトドメを刺した、形はどうであれ、彼女がジャックを殺したという事。

 それを聞いただけでも、彼女を殺すには十分な理由だ。

 対して、プラムにとっては、リリィ達の存在こそが、戦う理由らしい。

 二人の事を認識するなり、プラムの乗る機体は、彼女達の方を向く。


「……私達の世界の秩序を、これ以上乱させはしない!」


 踏み込んだことによって、その振動がリリィ達に伝わる。

 三メートルは有るだろう巨体、以前デュラウスが相手にしたという、グリズリーよりも大きい。

 頭部の二つの赤いセンサーアイが、赤く光り、二人の事を睨む。


「この新型『オルカ』で、終わらせてやる!」


 強く踏み込んだプラムは、右手のブレードを構え、ブースターを吹かせる。

 その巨体は瞬時にリリィ達との距離を詰め、大剣を振り下ろす。


「チ」


 間合いの中に入って来たプラムの一撃は、リリィによって防がれた。

 火花を散らしてぶつかり合った、二人の刃。

 その力を前に、リリィは目を見開く。


「(コイツ、意外とやる……それに、この機体構成……アリサシリーズの技術か)」


 以前のリリィであれば、この一撃で大きく飛ばされていただろう。

 それだけの力ではあったが、今のリリィであれば、敵ではない。

 だが、それ以前に、さんざん否定してきた自分たちの技術が使われている事が、許せない。


「中尉!」

「解っている!」


 プラムから距離を取ったリリィは、ドレイクに攻撃を任せる。

 頭上に居たドレイクは、風をまとわせたブレードで、プラムのオルカを切り裂く。

 リリィの目にも留まらない連続攻撃が放たれ、動きが止まった所で、リリィの鋭い蹴りが入る。


「フン!」

「グ!」


 リリィの蹴りでオルカの装甲は、彼女の足の形にへこみ、後方へと飛んでいく。

 更にその追撃として、ドレイクはブレードを用いて、二つの大きなカマイタチを飛ばす。

 完全に無防備だったオルカのボディは、バツ印の傷がつけられる。


「今ので表面が傷ついた程度か、中々に硬いな」

「まだ来ます!」


 ドレイクの言う通り、かなりの頑強さを持っていたらしく、まだ戦う気のようだ。

 ブースターで接近するオルカより、大量のミサイルをばらまかれる。

 そして、展開した肩部ユニットから、エーテル弾が撃ちだされる。

 弾幕を張りながらの接近を行いつつ、プラムはブレードを向ける。


「死ね!無法者ども!」


 二本のブレードを振り回し、リリィ達へデタラメな攻撃を始める。

 ちょこまかと動き回る二人に、当たればいいとさえ思えるような大雑把さ。

 地面となっている衛星が損傷しようと、彼女は構わずに攻撃する。

 これも、ザイームに拾ってもらった恩を返すためだ。


「あの方が構築し、未来永劫の平穏を実現できる秩序、それを破壊する空っぽの無法者どもめ、この私が、お前たちの身勝手な野望を潰す!」

「空っぽ?随分な言葉ですね、他人の言葉でしか戦う理由を見つけられない貴女こそが、私には空っぽのように思える!」


 リリィの言い放った言葉に、プラムは歯を食いしばった。

 彼女のようなアンドロイドに、そんな事を言われたくはなかった。

 プログラムされた事しかできない、ただの人形が、なんとも偉そうな発言だ。


「プログラムされた事しかできないただの人形が、言えた事か!?」


 彼女の怒りを乗せて、ブレードをリリィへと振り下ろす。

 だが、感情任せに振るわれたブレードを回避する事は容易い。

 軽々と攻撃を避けたリリィは、オルカとの間合いを詰める。

 大きいだけあって、懐に入ってしまえば、リリィの独壇場だ。


「そんなの、人間も同じ事だ!!」


 繰り出されたアッパーカットで、オルカの巨体は浮かび上がった。

 間髪入れず、ドレイクの連撃が入り、動きが止まった所で、リリィのかかと落としが炸裂。

 物凄い勢いで、ステーションへと突っ込む。

 先ほどまでの戦いで脆くなった天井が崩れ、オルカの巨体は内部へと落ちて行く


「人間だって産まれてからの教育で知識を得る、それは、私達アンドロイドも同じだ、違いなんて、頭に詰まっているのが、脳かAIかだけですよ」


 ステーションから退避したリリィは、自らの持つ考えを述べた。

 今のリリィの義体は、以前までの物と違い、人間と大差ない作りになっている。

 それを踏まえれば、人との違いなんて、頭の中身の位しか違いはない。

 プラムを見下すように発言したリリィの横に、ドレイクも並ぶ。


「……言ってくれるな、だが、事実だ」


 彼女の話が耳に入っていたドレイクは、少し渋りながらも賛同した。

 何しろ、ドレイクも首から下が機械になっている。

 それでも人間のように生きているのだから、認めるしかない。

 アンドロイドとの違いなんて、頭が機械でできているかどうかだ。


「すみません、出過ぎた事を」

「いや、俺もその考えは良く解る、今のお前とは、身体の作りが逆だ」

「……そうでしたね」


 話を終えた二人は、早速砲台を破壊しようと動こうとする。

 だが、その直後で、突如崩れたステーションが爆発する。


「何だッ!?」

「このエネルギー、まさか……オーバー・ドライヴ?」


 リリィの予測は当たっていた。

 瓦礫の中より這い出たオルカは、白く発光しており、先ほどまでと雰囲気が違う。


「今ならわかる……あの方の崇高な考えを理解しない、お前たちこそが、戦争の火種だ!!」


 明らかに本領を発揮したとしか思えない彼女を前に、二人は構えを取り直した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ