自己投影
この部分を消すというか移行させる話なんですけど……。
大変いいにくいのですが、一旦保留にさせてください。
優柔不断で本当にすいません。
いろいろ悩んだ末、読んでいる皆さんに混乱を与えるのがやはり忍びなく、書いている途中で本編から消すのは憚られたというのが現状です。
とりあえずこの回も終着点が見えてきたころ何で、この作品自体が一段落したらまたいろいろ対応を考えようかなと思います。
僕の身勝手な考えに付き合わせてしまい申し訳ありません。
これからも愛想をつかさずに読んでくれると嬉しいです。
「まあまず、最初にあなたの誤解を解くとしましょう」
「ご、ごかい?」
誤解。もしくは勘違いというべきか。
とにかく、田島くんと俺とでは認識の齟齬がある。
そこを正しておかないと話は進まない。
「これだけはホント、肝に銘じてほしいのですが。
——俺は、田島さんが思うようなすごい人間では全くありません!」
ドーン!という効果音が流れそうなほど、堂々たる佇まいで自虐をする俺。自分で言ってて悲しくなる。
田島くんは、そんな謙遜染みた告白を前置きまでしておいて言い放たれたことに、若干ポカーンとしている。至って正常な反応だ。
——けど、俺にとっては修正すべき認識なのだ。
俺が人から尊敬されるようなすごい人間ではないというのは、まあ周知の事実であろう。なんせアラサーで定職についていないダメ人間だったのだから。
その事実を——田島くんに理解させることはできないだろうが、どうしても訂正しておきたかった。
期待や羨望の目で見られるのが重荷になる、という気持ちもなくはないのだが、それよりも大事なことが他にある。
俺が彼に苛ついた理由であり、最も正しておくべき誤解だ。
「いいですか。俺は全然すごい人間じゃないです。例え天地がひっくり返ろうともその事実は絶対に変わりません」
「は、はあ」
ハイともイイエとも取れない有耶無耶な返答だ。
いちいち返答にケチをつけるときりがないため、ここはスルーしよう。早々に本題に入りたいし。
そうして俺は言葉を続ける。
「そして、田島さんもすごい人間じゃありません」
「……い、いや、そうだけど。……そんな突然悪口言われたら、僕傷つくっていうか……」
脈絡もないディスに凹む田島くん。
言っとくが凹ませる意図はなかった。確かに俺は田島くんに苛ついているが、唐突に言葉で殴るようなことはしたりしない。
俺はただ、田島くんに自身のダメさを認識させたかっただけだ。
…………もう一度言うけど、凹ませる意思はないから。
ただそれを認識してもらう過程で、事故的な感じで凹ませてしまっただけなんで、誤解のないように言っときます。
「――とにかく、です。俺が言いたいのは、俺は全くもってすごい人間じゃなくて、田島さんも一切、もうどうしようもないくらいすごくはありません!」
ズバッと言い切った。
まるで武士が人を斬るように、一刀両断した。
言葉という鋭い刃で切りつけられられた彼は、苦しそうに胸を抑えた。
自虐が混じっているとはいえ、真正面からそんな暴言を吐かれたら傷ついて当然だ。
だが、傷ついているとこ悪いが、こっからが本題だ。
「つまり、――俺と田島さんは、全くすごくない人間同士、ダメ人間同士で、――本当、嫌なくらい……
似ているんです」
俺がイラついていた理由。
それは、田島くんに昔の自分を重ねていたからだ。
嫌なことから逃げ、目を背ける。
出来ないとすぐに決め付けるのも、できる人間を自分とはまったく違う人間だと断定して切り離すこと。
それら全て、昔の俺――、生まれ変わる前の俺がしてきたことだ。
これに関しては、俺が悪い。
田島くんは確かにダメな奴だが、それだけで人に責められるのは違う。
だって彼はまだ小学生だ。サナギが飛べないことを責めるのはあまりに酷である。
だからまあ、俺がこうして苛ついて、手まで上げたのは、100パーセント俺の八つ当たりだ。
勝手に自分を重ねて、勝手に苛ついた。
小学生相手にこれとか、俺本気で情けねえ奴だな。
……でも、やっぱり苛つく。
俺がこの世で嫌いなものランキングは、1位に「夢」で、2位に「昔の俺」だ。
だから、言うこと言ってやらねえと気が済まない。
田島くんのためとかそんな優しさは微塵もない。
悪いが純正の八つ当たりだ。しかも純度は100パーセント。
ある日、「昔の俺がいたら殴ってやりたい」と言ったが、正直殴るだけでも頭突きするだけでも足りない。
言いたいことは山ほどある。
諦めてばっかりいんじゃねえ。逃げてばっかでいいと思うな。情けないまま生きてんじゃねえ。他人と比べるのが怖くて別の人間だと切り離すのはやめろ。
こんなの序章だ。
まだまだ、言いたいことはある。
けど、長々説教垂らすつもりはない。
俺は総じて一言にまとめる。
田島くんに言ってやりたいこと。
昔の俺に言ってやりたいこと。
「——現実見ろ!! バカッ!!」
彼に顔をズイッと近づけ、喝を入れる。
簡潔にまとめた一言で、今の俺の理不尽で身勝手な怒りをぶつけた。
これで、俺の八つ当たりは終了だ。
「……以上です!」
それ以上は何も言わない。
続けざまに言うと歯止めが効かなくなって、つらつら言葉を続けてしまうかもしれなかったからだ。
「……? ……??」
案の定、田島くんは言葉の意味をよく理解できていないようだった。
だろうな。さっきの一言は、田島くんというより昔の自分に向けた言葉に近かったし。
けど、本当に田島くんが俺と似たような人間なら、必ずこの言葉が必要だったはずだ。
彼が夢を見ているかはわからないが、逃げていたことは確かなんだ。
まあ、必要な時にこの言葉を覚えているかどうかはかなり怪しい所だけど……。
でもそういう心配はいっか。別に説教するために暴言吐いたわけじゃないし。
「んじゃ、言いたいことも言えたんで、課題の再チャレンジといきましょうか」
「え、お、終わりなの? 僕頭突きまでされたのに、何事もなかったようにこれで終わっちゃうの? ただひたすら悪口言われて終わり?」
「ええ、俺が満足したので」
「勝手すぎじゃない!?」
「いいからいいから、とっとと行きますよ」
釈然としない田島くんの手を引き、俺は再び歩み始める。
逆転の目は皆無、だが俺の気概は万全だ。
まだまだ諦めきれない。むしろ、さっき以上に頑張れる気がする……!
さぁ! お楽しみ会はこれからだぜ!
『——以上を持ちまして、お楽しみ会を終了いたします』
「………………はへ?」
お楽しみ会終了を知らせるアナウンスが、校内に響き渡る。
次回予告。
お楽しみ会終了で怒り狂う翔。
その怒りは留まることを知らず、やがては怒りの波動に目覚めることに!
強大で邪悪な力を手に入れた翔は、世界をも破壊せんとする勢いで暴れ回る。
業火に焼かれる町、断末魔鳴り響く地獄絵図。
それはまさしく聖書に表されたカタストロフィーそのもの。
暴走した翔を停められる者、それは水井さん、貴女ただ1人だけ!
世界の命運は、たった今1人の小さな少女へと託されたのであった!!
次回 「エイプリルフールだからってふざけた次回予告すんな」をお送りします。
よいエイプリルフールを。




