水井恋慕
一昨日募集した投稿時間についてですが、有難いことにたくさんのコメントを頂きました。
中でも「通勤通学時に読みたいため早めがいい」と「作者の自由でいい」という意見が多くありました。
なので次回から1時間早めた8時の投稿とさせていただきます。
現在の時間帯での投稿が好都合だった。という方々には大変申し訳ありませんが、変更とさせていただきます。
そしてたくさんのコメントありがとうございますm(_ _)m
今後ともこの作品を読んでいただけると嬉しいです!
私にはまだ打ち明けていない秘密がある。
このことは流石に口にするのが恥ずかしすぎて「彼」にも言えなかったこと。
私はずっと探していた。
自分だけの「王子様」を探していた。
そして私は「王子様」にとっての「お姫様」になりたかった。
物語の中の存在に憧れていいのは幼稚園まで。
そんな空気が出来上がっている小学一年生の間でこんな子供じみた願いを持っているなんて知られれば、きっと周りの人達には笑われてしまう。
絵本好きを知られるよりも馬鹿にされ、ガッカリされてしまうことだろう。
それに実際王子様なんていやしない。
そんなことは分かっている。
白馬に乗った王子様も、目覚めのキスをしてくれる王子様も、さっそうと姫を助けに来てくれる王子様も、絵本の中にしか存在しないというのは重々承知である。
……でも、憧れてしまったらもう諦めることはできない。
幼稚な憧れだと笑われたっていい。
私は「お姫様」になりたくて、そして誰かに「王子様」になって欲しかった。
でもそんなことを叶えてくれる男の子なんていない。
同級生の男の子はみんな乱暴で、言葉遣いも汚い。
意地悪ばかりでとても王子様とは言えない人たちばかり。
それに私は自分が王子様を探していると公言しているわけではない。
募集していないところに人が来ないのと同じで、私が明言しない限り王子様が現れることはない。
——そう思っていた。「彼」とあそこで会うまでは。
最初はただのクラスメイトとしか思ってなかった。
周りの男の子と同じような子なんだと勝手に決めつけていた。
でも「彼」は違った。
私の絵本趣味を知っても尚、落胆せず馬鹿にせずガッカリせずにいてくれた。
それだけではなく、周りのイメージに囚われていた私を救い出してくれた。
「彼」にとっては何気ない励ましの言葉だったのかもしれないが、私にとっては生き方を見直す衝撃的な言葉であった。
——その時の「彼」はまるで、囚われのお姫様を救う王子様のようにさえ見えた。
だから私は思わずお願いしてしまったのだ。
「私の王子様になって欲しい」と。
「彼」なら私を「お姫様」にしてくれるのではないか。
そんな期待から、ポロッと口から出てしまった言葉。
自分でも無茶を言っていることは分かっている。
そんなよくわからない者によく知らない同級生のためになってあげるなんて、いくら何でも無茶が過ぎる。
ダメもとでのお願いだった。
しかし彼は、二つ返事で了承してくれた。
その時、私の中での可能性は確信へと変わった。
「彼」こそ、「糸崎翔くん」こそが、私の「王子様」。
あの瞬間あの場所で私は「お姫様」になれて、理想の「王子様」にも巡り合えた。
人生最も良い日と言ってもいい。
それ程に幸せな一時だった。
——それに彼は〝誓い〟もしてくれた。
糸崎くん、ううん、翔くんだって自分が「王子様」であることを認めてくれた。
当然私も翔くんを「王子様」と認めている。
当事者の私たち二人がそう認めているのだ。
誰が何と言おうとも、翔くんは私の「王子様」で私は翔くんの「お姫様」なのである。
そこに疑いの余地なんて微塵もあるはずない。
そして、「王子様」と「お姫様」は結ばれるべき関係性。
私と翔くんは約束された運命にいる。
私と翔くんの運命を邪魔できるモノなんてない。
私と翔くんの運命を引き裂けるモノなんてない。
私と翔くんの運命を捻じ曲げるモノなんてない。
私と翔くんの運命を破壊するモノも、妨げるモノも、変化させるモノも、絶対に絶対に絶対に絶対に存在しない、するわけがない。
だって私は「お姫様」で翔くんは「王子様」なのだもの。
結ばれることなんてもう決まり切っていること。
嗚呼、翔くん。私の「王子様」。
ずっと、一緒にいて。ずっと、隣にいて。ずっとずっと、私だけの王子様でいて。
ずっと、——永遠に……♡
お、おやおやぁ?




