表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/51

ハルト:色即是空

 仲良きことは、美しき哉。


「マイルズちゃんも、大変よねぇ」


 そうだねぇ。


「何を他人事のように言っている。お前の優柔不断がマイルズに伝染しているのではないか?」


 いやいやいや、それはない。ってか、なんだよ、俺が優柔不断って。


「そうかもねぇ。ハルトは優柔不断なとこ、あるし。結局、成仏もできたかったしねぇ」

「うるせ」


 そうなのだ。あの時、成仏し()()()()のは確かだ。これでやっと安らぎを得られると思ったあの時、不意に地上へ引っ張られるような感覚があったのだ。そして、カゾススの野郎が、トンと俺の胸を軽く押すと、俺はゆっくりと落ちたのだ。遠ざかる奴の顔は、安らいだ笑顔だった。“私は大丈夫、ありがとう”……そんな声が聞こえた気がした。


 そして、エルの言うように、結局、マイルズの背後霊としてここにいる。


「まだ、何か使命があるってことだよ」

「何だそれは。また、マーカスのような事件はごめんだぞ」

「あぁ、俺もごめんだ。できれば、マイルズの成長を見守るという使命であって欲しいな」

「うむ。そうだな」


 俺の言葉に、ルーが頷く。


「そういえば、マイルズはアルベルト(アリシア)が女の子だって、まだ気が付いていないけど、そっちからカミングアウトしないのか?」

「かみんぐ、なに? ……あぁ、告白のことか。そえはあの娘に任せようと思う。ちゃんとマイルズに正体を明かせば、マイルズの心はアリシアに傾くだろうな」

「んなわけ、ないでしょーがっ! もう、マイルズちゃんの心はルシアちゃんにメロメロよっ!」

「っな、なにを根拠にっ!」


 まーた、始まった。


「二人とも、喧嘩はやめなさいって」

「「喧嘩じゃないっ!」」

「はいはい、仲のよろしいこって」

「「ハルトォ!」」


 俺が何した?


 大きなため息をついて、空を見上げる。

 そこにはただ青い空が、どこまでも広がっていた。




これで転霊してしまった男のお話は、ひとまず終了です。

面白かったと思ったら、ぜひ☆で評価をお願いします。励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ