それが此処であり其処だ
遠い未来の夢を見た
人類に代わって白い軟体の
完璧なコミュニケーションが
緑色の空に二回三回と
綺麗な光の絵を描いていた
争いがないので
数は増えない
必要のない事はしない
生態の揺るがない穏やかな世界
対して目を覚ませば
灰色の窓に吹き付ける
台風の朝
肉がそのまま心になったように
いくらでも血を欲しがって
新しい試みは総て
昔嫌だったものに繋がっている
雨降りすさぶ
絶望バルコニー
果てはネオテニー
荒れたこの手に
染み付いた痕跡
道は必ず何処かに通ず
それが口癖だった父は
その後10年くらいで
行き止まりにはまり込んだ
あれからずっと同じところを
ぐるぐる回っているみたいだ
きっと小さな嘘を沢山ついたからだ
そう思ったら僕等みんな同じ罪を背負って
輪廻転生の渦から抜け出せないんじゃないかと
怖くなるばかりだけれど
空から僕らを見下ろすものが
笑ってくれてるかもと思ったりもするよ
雨降りすさぶ
絶望バルコニー
果てはネオテニー
荒れたこの手に
染み付いた痕跡
不甲斐ない自分を俯瞰したふりして
遠い未来を夢見て無力で
見上げれば夜
星も見えないな
孤独を裂いて角を削って
遣り切れぬ不満と不安に習え
黒い血液を疾風が飛ばし
いつまでも呼ばれぬ待合室
それがここでありそこだ