プロローグ
初めての投稿になります。
小説を書くのも初めてですので、温かい目で読んでいただけると幸いです。
「・・・はい、それでは、ステータス(りれきしょ)のご記入が終わった方は、こちらにお願いします。」
紙に書いた自分のステータス(りれきしょ)を職員の女性の座る席に持っていく。
手渡された女性職員はステータスを確認して
「・・・ご記入に間違いなどはございませんか?」
「はい」
ステータスの紙には『氏名』と『スキル』『得意武器』という項目が並び、『賞罰』『アピールポイント』『育った場所』『特記事項』『育成機関(学院等の所属があれば)』などの項目が並んでいる。
「これからレベル確認のために『看破』を行いますので、その際にご記入と違うことがありましたら、先ほど説明しました通り、罰則事項がございます。」
「大丈夫です。」
職員が『看破』のスキルを使い、ステータスの紙と実際のステータスに相違がないかを確認していく。
「・・・はい、大丈夫です。それでは、1階奥の舞台の前のテーブルでお待ちください。食事はダメですが、マスターに頼んで飲み物を頼むこともできますよ、正し有料ですが。」
と苦笑いをしながら、説明をしてくれる。
「ありがとうございます。」
お礼を伝えて、部屋を後にして、階段を降りる。
「次の方、どうぞ・・・」
後ろでは、他の人が、またステータスの紙を持って職員のところへ向かっている。
部屋にはまだ30人ほど残っている。
階段を下りて、奥に向かうと、舞台があり、その周りに丸テーブルと椅子が乱雑においてあり、食事をとるもの、まだ昼間だというのに酒を飲むもの、数人が集まり何やら話し込んでいる者も見える。
その横にはカウンターがあり、むすっとした顔の大男と給仕らしき女性が数名いる。
どうやら、ここが言われていた舞台であっているようだ。
テーブルの一つに腰を下ろし、周りを眺めていると
「お飲み物はいかがかしら?」と給仕の女性が近づいてきた。
「・・・水を」
「お水ね。」
そういうと、カウンターから水を持ってきてくれた。
「新入り(ニュービー)さんね、ここに降りてきたってことは、あとはカードの発行待ちの間、物語を聞いて、カードもらって終わりよ。このお水はサービスにしてあげるわ。」
「ありがとうございます。」
「フフッ、丁寧な言葉遣いね。まぁ、わかんないことがあれば、ここで誰かに聞けば大概の事はわかるわ。頑張ってね。」
そういうと、右手を上げてカウンターへ戻っていった。
「物語を聞いて・・・か」
カードを発行するまでの時間つぶしであろう、物語はみんなが知っている有名なものだ。だが、きちんとした『本』など貴族のような金持ちぐらいしか持っていないこの時代に正確な話を全て覚えていたり話したりできる人間はいない。
だからこそ、吟遊詩人のような語り手が娯楽として重宝されるのだ。
舞台の周りのテーブルに同じような「新入り(ニュービー)」風の連中が増えてきた時に、舞台の袖から先ほどの女性職員と一人のエルフがリュートをもって出てきた。
「皆様、ただいまカードを発行しております。少々お時間をいただきますので、その間、とある物語をお聞きいただきます。」
「あぁ、人が多いなと思ったら、新入りか。」
「今年も、もう秋かぁ、時間がたつのは早いねぇ」
「今日は暇だし、久しぶりに物語でも聞きましょうか」
酒場にいた『先輩たち』も口々になにか言っている。そんなざわざわとした中
リュートの音が始まった。
「・・・これから語るは、はるか昔とは言えず、またつい昨日の事とは言えぬ時代、一人の若者の物語。果てはどこにいるのか、戦に敗れて躯をさらしたか、それとも優しき花に見守られ、天寿を全うしたか定かではございません。
時を経れば、人はかわり、国もかわり、流れもかわる。今の世とは似ても似つかぬ戦乱時代、皆様のおりますこの寄り辺もない時代。それでも命の営みは変わりますまい。
短い時とは思いますが、彼の人のお話をいたしましょう・・・。」
当分は不定期投稿になります。
よろしくお願いいたします。