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その3

授業が終わって放課後。特に部活もやっていないので、鞄を整理して帰宅の準備


「それじゃ、また明日ねふみ君」


「ああ、気をつけて」


教室を出て行く友達を見送り、俺は頬杖を付きながら壁時計を見上げる。そろそろ来る頃だ


「…………」


遅いなぁ


クラスから俺以外の人が居なくなってしまった。俺の方から行こうかな……


(……かぷっ!)


「うわぁ!?」


突然後ろから耳を噛まれた感触がし、慌てた俺は椅子から横に転げ落ちる


「やっぱりしょっぱい」


振り返って見上げると、つぐみが俺を見下ろしていた


「つ、つぐみ!?」


なんて事をするんだコイツは!


「ふみ。帰ろ?」


俺の憤りを無視し、つぐみは何事も無かったかの様に教室から出て行ってしまった


「ま、待てよ!」


俺は急いで起き上がって鞄を手に取り、つぐみの後を追う。つぐみは既に廊下の角まで歩いていた


「待てって!」


走って横に追い付いた俺を、つぐみはちらっと見て


「廊下、走ったら駄目」


と、たしなめた


「じゃあ耳を噛むな!」


「それはセーフ。ふみ、耳はちゃんと洗うべき」


「あ、洗ってるよ!」


「…………」


つぐみは足を止め、じっと俺の目を見て……


「な、なんだよ?」


「しおあじ」


そう言ってまた歩き出す


「なんなんだよ!?」


「めぐは甘いよ?」


「めぐみにもやってるのか!?」


「少し。怒るから余りやらない」


「俺も怒ってるぞ!」


「…………そう?」


「そうだよ!」


「ごめん」


「ぐ……たく!」


相変わらず話が噛み合わないけど、謝られたら許すしかない


「もうするなよ?」


「たまに」


「するなよ!」


「……分かった」


明らかに渋々だが、取り敢えずつぐみは頷いた


「たく……。めぐみは部活だよな?」


「うん。夜に寄るって。今日はタケノコご飯」


「おー」


好きなんだよね〜


「おやつはバナナが良い」


「……もしかして、俺に買えと?」


「察しが良い」


「自分で買えよ!」


「お弁当盗られた」


「先に盗られたの俺じゃなかった!?」


「ひのまる……」


いつもは無表情なのに、こんな時だけ悲しそうな顔をするんだよ、つぐみは!


「わ、分かったよ! 帰りスーパーな!!」


「うん」


そして今度は笑顔だ


「…………はぁ」


やっぱこの姉妹には、いつまで経っても勝てそうにない……


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