その1
バスは15分程走り、学校近くのバス停に止まる
市街から少し離れた所にあるこの学校は、ネズミ色をした二つの校舎と、二階建ての体育館、小さな中庭と結構広い校庭で構成されている
周りは畑ばかり。コンビニは学校近くの坂を上がった所に一軒
な~んにも際立った所がない、ごくごく普通の学校と、その周辺だ
「着いたっと。バックありがと」
めぐみはバックを持ち、つぐみに続いて立ち上がる。片手で易々と持てるのが恐ろしい
「つぐみ」
「うん」
つぐみが三人分のバス代をいっぺんに払い、俺達はバスを降りる。いつもの事なので、運転手も慣れたものだ
「じゃ、行こ」
そう言ってめぐみは、学校へと向かう。そんなめぐみの後を、俺達は一歩下がった所で追う
昔からこのスタンスは変わらない。ところで……
「つぐみ」
「なに?」
「なんでジグザグに歩いてんのさ」
「今日は蛇行気分」
「あ、そう」
相変わらず変な奴
昇降口に入り、俺達三人は、それぞれの下駄箱へと向かう
「よっと」
靴を脱いで、上履きを履き校舎内に入ると、二人は既に廊下で待っていた
「じゃ、お昼にね文人」
つぐみとめぐみは2階の2ーF。俺は1階、2―Bなので、入って直ぐの階段で別れる事になるのだ
「うん。あ、つぐみ」
「何?」
「はい、みかん」
鞄の中からみかんを取り出し、つぐみに渡す
「ぐっじょぶ」
つぐみは親指を立て、階段を上がっていく
「……相変わらず変ね、あんたら」
呆れた顔をし、めぐみもまた階段を上がっていった