6.結界
修は湿った地面にしゃがみ込み、荒い息を整えながら状況を整理した。まずステータスを確認――隠蔽を解除すると、視界に馴染みの画面が浮かぶ。
オキヤマ・シュウ (17)
人族 Lv.1
体力 200/200
魔力 1000/1000
力 200
素早さ 300
知力 1000
スキル:全属性魔法適正、経験値増加、成長促進、鑑定、隠蔽
(ステータスは無事。祝福も従属も回避成功だ。クラスメイトは奴らの操り人形か……王女のあの目、何を企んでやがる)
周囲は巨木が空を覆い、薄暗い霧が視界を狭める。魔物の気配が漂う禁断の森だ。じっとしているのはまずい。修は立ち上がり、適当に奥へ進むことにした。まずは安全な場所か、水や食料を探さないと。
木々の間を抜け、苔むした岩を越えてしばらく歩くと――地面が震えた。背後から重い息遣いと枝を折る音。振り返ると、中型の魔物が突進してくる。体長2メートルほどのイノシシに似た獣、黒光りする剛毛と赤い目、牙が剥き出しだ。
「鑑定!」
ガルムボア (Lv.156)
中型魔獣。突進攻撃が得意。肉厚で魔法耐性中。
(Lv.156!? チートでも勝てねえよ!)修は即座に全力疾走。素早さ300のおかげで距離を取れるが、魔物の脚力は異常だ。木の根に足を取られそうになりながら、必死に逃げる。息が上がり、心臓が爆発しそう。
あと少しで追いつかれる――その瞬間、奇妙な違和感。空気がぴりっと張りつめ、透明な膜を抜けたような感覚。背後で「ゴンッ!」と鈍い衝撃音。振り返ると、ガルムボアが不可視の壁に激突し、よろめいて止まっていた。牙がひび割れ、唸りながら引き返す。
「助かったー……はあ、はあ」修は膝をつき、額の汗を拭う。よく見ると、前方に開けた場所。苔生した石畳の小道が続き、その先に小さな一軒家が佇んでいる。古びた木造、蔦が絡まっている。廃墟か、それとも住人がいるのか。
(結界か何かだな。あの家、安全かも……)修は警戒しつつ、ゆっくり近づき始めた。




