抗えぬ父
本当につまらないですよ?笑
これは白銀鏡子供の頃のお話です。
確か、小学生ぐらいかな?
うちの父親はまあ絵に描いたような田舎の頑固親父って感じでクソ真面目な人間だった。
いただきます、ありがとう、などの挨拶を欠かすな。
靴を揃えなさい。大きな音を立てるな。常に相手の事を考え行動しなさい。食べる時は正座をしなさい。
とにかく口うるさかった父親だったけど尊敬はしてた。
言ってる事は正しかったと思う。
正座以外は……。
でもうちの一家は葬式などの法事で、皆が足を痺れさせて正座を崩してる中微動だにしなかった。
て事で正座の件も一応結果オーライ。
それぐらい俺の間は親父の教えが行き届いてた。
——ある日家族で飯を食いながらテレビ見てたら、
話題のグラビアアイドルのA子さんがバラエティに出てた。
このA子さんって人は、綺麗で巨乳で演技もできるし面白くてどこに出ても活躍できるすごい人だった。
そのA子さんがバラエティの番組の中で誰かにいじられるくだりがあったんだよね。
ただA子さんのキャラも面白くて、すごく怒りながらワーワー言い返しててすごい盛りがってた。
バラエティをわかってる人だと思うし多分本気で怒ってないと思うけど……。
その瞬間……。
うちの親父が大激怒。
なんだこの女はと。
ギャーギャー騒ぎ立てて品がない。
そもそもうちの親父って冗談が通じないからバラエティ見て怒るってのは日常茶飯事なんだけどね。
そこで親父は俺に言う。
「鏡よ、将来結婚するなら母さんみたいな女性を選びなさい。このように口うるさい女性なんか選んではいかん!」
「……はぁ」
こんな注意をされたのは初めてだったけど、変なタイミングで怒るのは慣れっこだったから俺は適当に返事をして聞き流した。
でも俺は、その後に父親がボソッと呟いた一言を今でも忘れていなかった。
「……おっぱいは大きいけどやなぁ」
あんな親父でも男の本能には抗えませんね