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第6回「小説家になろうラジオ大賞」投稿作品一覧

犬の散歩と聞いて来たのに、どう見ても魔獣なんですけど

【犬の散歩、日給十万円】

 ネットで見つけた明らかに怪しいバイト、だが大金が手に入るのなら、透には他のことなどどうでもよかった。

「ごめんくださーい、アルバイトの電話をした者です!」

 高校一年生の照島透は、父親が作った多額の借金により家計は火の車だった。何とか高校に進学できたが、早く返済しなければ将来すら危ういため、怪しげな高額バイトに応募した。

 雇い主の家まで来てみるとそこは異国情緒漂う立派な洋館。

 たかが犬の散歩に大金を出すのも納得だ。

「ごきげんよう、お待ちしておりましたわ!」

「よろし……あ、やっぱり!」

 雇い主との対面し、透は腑に落ちた。

 彼女は早乙女育美。透が通う高校の同級生にして理事長の孫娘、北欧貴族の血を引くお嬢様だとか。珍しい苗字だし、もしや……と、思っていた。

「さっ……早乙女さん。俺の名前、覚えてたんすね」

「もちろん、理事長の孫として生徒のことは把握していますもの。ですが、話すのははじめてでしたわね」

 雑談しつつ、郁美に館の奥へと誘導される透。

「うぁおおぉぉぉん!」

「なんだ今の!?」

 中庭の方から、大きな叫びが聞こえる。これは、動物の雄叫び?

「紹介しますわ。我が家の愛犬・プチです」

「……………………」

 プチの姿を見て透はたじろいだ。全長二メートル、銀色に輝く毛並み、額には角が一本、犬というより狼に近い外見だが、瞳はつぶらだ。

「えっと……早乙女さん。この子、犬種は?」

「フェンリルです」

「フェンリルって、神話の――?」

「ええ、プチは神話の狼、フェンリルの血統を継いだ犬ですわ」

 ゲームで聞いたことがある。【フェンリル】北欧神話に登場する神を食らったとされる狼だ。


 それ以降、透は放課後に一時間、プチの散歩をするようになった。しかし、これが予想をはるかに上回る重労働。

 相手ははしゃぎ回る好奇心旺盛なデカい犬だ。リードを握れば逆に引きずり回される。近所の住人に粗相をしないようにするので必死。

 数キロのフンを回収するのも透。重いわ臭いわ汚いわ、肉体的にも精神的にもハードだ。

 しかし、それでも透が投げやりにならずに仕事を全うするのは、家庭を守るという使命感ゆえだった。

「人生かかってんだ、負けてたまるか……!」


 こうして、崖っぷち男子高校生とセレブJK、そして伝説の獣によるドタバタな日々が始まる。


文化放送の「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」の

「タイトルは面白そう」のコーナーで読まれたネタを

リメイクした作品です


第6回「小説家になろうラジオ大賞」に向けた作品の一つ

今年はあまり書けなかったのでなろラジ大賞へは

2作のみとなりました


作品についての話は活動報告にて!!

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― 新着の感想 ―
実際にこんなペットがいたら大変だろうな、お金持ちしか飼えないよなと思いました。
読ませていただきました! タイトルは面白そう、の通りこれからの展開に思わず引き込まれてしまう、そんなお話でした!
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