海の、お婆ぁ。
断崖絶壁の夜の海原
松林の隙間から時折覗く満月
夜の寂しい電話ボックスには
時代錯誤も良い具合に
命の電話とか貼られてある
あぁ、未だに。
ラインとかそうゆうのあっても。
毎年何人かの寄るべなき遺体
漂着する直ぐ下の荒波押し寄せる岩の狭間
だれがなんと言おうとも
そうゆうの、
オラァが幽霊になってたなら押しとどめるのに。
慌てんなよ
止めとけよ
それでもいくのか?
たぶん、まだ、若ぇだろ?
んなもん、やめとけよ
もしも、人肌恋しくて
たぶん、隙間埋めれるなら
おめは、まだ、踏ん張れるんだよ
頑張れなんて言わねぇから
無理すんな
オラァ、屍だども
おまぁの、死ぬとこなんざ、見たくねぇ
生きてけろ
背中押すでなぁ
風さ吹かすでなぁ
寒い冬にも温めっぺゃ
大根さ煮て喰うのは腹の足しになんねべや?
けれども、いつでも、どんな時代でも
寒くて暗い夜の海原を見つめる、あんたぁの目が寂しくて、切なくて
胸さ締めつけられるから
やめてけれ……
オラァ、あんたぁの恋人になるだ
気に入らなければ、ふってくれてもええし
その代わし、フラリフラリ
ここに来て
あんたぁの、姿を見守ってやるだ
死ぬな 死ぬなや
諦めんさや
あんたぁの元気な笑顔さ
また見せてけろちゃ
楽しみにしとるで
それから、どこまでも
雲の行き交う間はよ
空から見つめておんでな
心配すなや……
今日も見とるけぇ
もう、寝ろちゃ……
あったけぇ、布団でな ワシがおるけぇ
べっぴんさんに、生まれ変わるけぇ
心配すんな
おまぁを、幸せにするけぇの




