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「私は女神です。ケンタロさんが暮らしていた世界の神なのです」


 用を足しにトイレに入ったら突然見知らぬ空間へ繋がり、この不思議な美少女が目の前に現れ、そう俺に告げた。


「もしかして、あなたがあの有名なトイレの神様ですか? うわ、ほんとにいるんだ」


「誰がトイレの神様や!! 私はこの世界のすべてを統べる神だわ!! そんな一つだけの神と一緒にするんじゃないわよ!!」


 なんか怒られた。トイレに入っていたんだからそれはトイレの神様だろ。まずなんで俺の家のトイレがこんな不思議空間になってるんだ?


「ちょっと事情を説明してほしいんですけど……何の説明もなしにこの状況は受け入れるのは難しいかな」


「失礼しました。あなたはトイレで足を滑らせて死ぬところだったのです。それを私は救い、新たな世界での生活をする権利を差し上げるためにここへケンタロさん呼びました」


「まさか俺はトイレで足を滑らせて死ぬなんて間抜けな真似をするはずがない。嘘だ」


「それが真実なのです。ゴキブリが出て、驚いたケンタロさんは不覚にも足を滑らせ、脳天から便座へ一直線。その短い生涯に幕をおろしたのです」


 トイレにゴキブリだと……それは俺の死も頷けるかもしれないな。


「俺にまたチャンスをくれてありがとう。次はゴキブリがいない世界へと生まれ変わらせてください」


「構いませんよ。もともとケンタロさんの希望は聞き入れる予定でしたので。ほかにも条件等があれば自由に言ってみてください。可能な範囲で実現しましょう」


「ありがとう。ちょっと考えるから時間をくれないかな?」


「そうですね。それでは、3秒時間を与えます。3,2,1,0!! はい、タイムアップです。特に要望はないということで新たな世界へ行ってらっしゃい」


「理不尽だーーー!!!!」


 こんなことがあっていいのか? この女神性格が終わっている。喜ばせておいてこれは流石にないぞ!!


「ふふっ。冗談ですよ。どうぞ、ゆっくり考えてみてください」


「えーーーーー!!!! もうほんとにビックリするからそういうのやめてくれよ」


「すいません。なんか思いついちゃってやってみたいなと。出来心なんです。許してください。お詫びに好きなだけ考えていいですから」


「はあ、それならまあ、いいですけど」


 なんか腑に落ちないが、いくらでも考えていいと言われれば許すほかないだろう。

 異世界に転生するとなると、どんなものが必要なんだ? まず、衣食住の確保か。それと、お金。とてつもない能力なんかももっておきたいな。もういっそその世界の神にでもなれるような力がほしい。


「まずは、衣食住を整えてくれ。できるだけ高い水準で頼む」


「かしこまりました。いいでしょう。ほかにはないがありますか?」


「金だ。俺がどれだけ使ってもなくならないほどの金を用意してくれ」


「かしこまりました。お金がないと何もできませんからね。ほかには?」


「俺が転生する世界はどんな世界なんだ? 今と同じような感じの平和な世界なのか?」


 単純な疑問だった。ここでどのような環境の世界か聞いておき、それに合わせた対策を立てておかなければならない。もし戦争中の世界だと言われれば、戦争を生き抜く能力を、恐竜などの巨大肉食獣が生息している世界となればそれらに勝つ能力を。様々な世界を想定して能力をたくさん持っていくのも手だが、それはあまりにも非効率だ。


「はい、ケンタロさんに転生してもらう世界は魔物と人間が対立して争っている世界です。それぞれの王がひっきりなしに領土を拡大しようと戦争を仕掛けています。もちろん、人間側が一方的にやられてたりはしませんからご心配なく」


「それだったら、俺に誰にも負けない身体能力とあらゆる攻撃を無効化する能力をくれ」


「おお、それはちょっと強すぎますね。まあ、いいでしょうか」


 こんなことまで認めてもらえるのか。こんなの次の人生勝ち組にもほどがあるだろ。うわ、今から楽しみで仕方ない。


「それではそのくらいでいいでしょうか? これ以上は厳しいそうなので」


「ああ、これだけあったらもう何もいらないな。ありがとう、二度目の人生だけじゃなくこんなによくしてくれて」


「そんなお礼を言われるようなことじゃありませんよ。何といっても私はケンタロさんがもといた世界の神なのですから。民を救うのは当然の義務です。これからは私の管理する世界ではありませんが頑張って生きてくださいね」


 神様って本当にいるんだな。自分の世界の人間だからってこんなにも世話を焼いてくれるのは流石は神様ってところか。


「本当にありがとう。俺も女神様の世界じゃなくても頑張るから」


「ケンタロさんならどのような困難にも負けずに生きていけるはずです。それでは頑張ってください」


 女神さまがいうと、俺の意識は少しずつ遠のいていった。


「あ、言うの忘れてましたが、ケンタロさんが向かう世界は私の管理している世界ではありませんので、能力が本当にもっていけるか正直わかりませんのでそこのところはご了承くださいね」


 え? なんかとんでもないこと言ってないか? 

 すごいカミングアウトをされたが、俺の意識は抗うことができず消えていった。

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