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不思議なお餅と神様の話  作者: 神田
1/1

異世界転移する!

よろしくお願いします!

いつものように階段を登り、自分の家へ帰る。


ーガチャー


 静寂の場所に音が響き渡る。月光が部屋に入り、幻想的な雰囲気を醸し出している。いつもの部屋じゃないみたいだ。

 袋を適当に置き、サッシを開け、ベランダへ出る。

ーガラガラガラー

冷たい風が頬を撫でる。

「夜桜か、、」

目の前にはひっそりと佇んでいるが、確かに存在感を放っている者がいた。

花と花の隙間を月光が通り抜け、逆光で光っている。

とても美しい。まさに妖艶な美貌の持ち主だ。惚れてしまいそうだ。


 今朝気づいたばかりなのだが、ここにも桜が咲いていたのだ。オーナーさんの趣味だろうか?それにしても


「もうそんな季節か、」

 時間が過ぎるのがとても早く感じる。否、自分が落ち着きを取り戻したということか。

時間というものほど平等なものはないから。


 さて、感情に浸りすぎた。せっかくコンビニでお餅を買ったんだ。さぁ、食べよう。

独りで夜桜をおかずに花見か、

「寂しいものだな」

まぁ、そんな独り言に返事があるわけでもない。だだ、声に出してみたくなった。

もちろん静寂を貫きとうしていた部屋には自分の声だけが響き、


「そんな寂しいものでもないよ?」


ん?

おかしいな、声が聞こえてきたような、、

「ボクがいるもの」

嗚呼、寂しさのあまり自分は幻聴を作り出してしまったらしい。

「幻聴なんかじゃないよ、ボクはここにいるよ。」

「え?」

「ほらここ、ここ」


 とりあえず声の主を探そうとした。まぁ、程なくして見つかった。

 このお世辞にも広いとは言い難い自分の家のどこにその声の主がいたのか。

その声の主は

そう


 さっきコンビニで買ったお餅だったのだ。

まぁ、理解はできないだろう。しろと言ってできる方が珍しい。

 だが、お餅が喋っているのも事実。お餅に可愛らしいデフォルメされた顔が浮かんでおり、それが鈴のような声を響かせているのだ。

「やっと見つけた。遅い」

そのお餅。いや、化け物の憑いた餅

”バケモチ″と呼ぼう。


 彼女はこう語った。

″ボクはある理由で死んだ。それから程なくしたらまた、意識が戻ったのだ。だが、体を動かそうとしてもうまく動かない。顔だけが動かせる状態だった。そして異様にでかいあたりの光景。そうボクは貴方の買ったお餅に取り憑いたか、転生したの″

と。


 俄には信じがたいことだ。確かに、前世の記憶を持つ子供や、転生したと言われている双子の話など似たような話題は過去にあった。けれどそれがお餅に取り憑くと言った話は聞いたことあるだろうか?

 自分はまあまあの時間を過ごしてきているが初耳だ。お餅に限らず無機物、無生物に生物の魂とでもいうようなものが、憑いたりするものだろうか?

 不可思議だ。面白い。


「それで、貴方は?」

「如何いうことだい?」

「ほら、ボクが色々言ったから次は貴方の番でしょう?」

「そういうことね、バケモチさん。」

「バケモチってなに?ボクのこと?」

「そうそう。化け物の憑いたお餅ってことで」

「化け物、、なにそれかっちょいい!それにしよう!今日からボクの名はバケモチだ!」


 バケモチさんは結構楽観的というか、頭が少し弱い子かもしれない。


「それで貴方は?」

そういえばまだ、言ってなかったな。


「私は神だ」


「神田さんって言うの?」

「ん〜ちょっと違うかな。私は神そのものなんだよ」

「何?厨二病ってこと?その歳で?」

「それは君が自由に解釈してもらっていいよ。」

「へぇ、神ださんは面白い人なんだね!」

「そうかもね」

「じゃあさ、神様ってことはなんでもできるってこと?」

「そりゃあ、そうだよ」

「本当⁉︎だったら、ボクを人の姿に戻してほしい!」


 彼女はそう言った。

けれど彼女は死んでいるんだ。

 死者を生き返すのは大丈夫なのだろうか?

否、ダメだ。今、生前の姿に戻してあげるのも、彼女に新しい人の体をあげて、新たな人生をおくらせるのは駄目だ。駄目なことなのだ。


「残念だが、それは叶えてあげられない」

彼女は残念そうに悲しそうに言う

「でも、なんでもできるって!さっき!」

「どうして人の体に戻りたいんだい?死んでしまったのに今生きているんだ。そんな幸福な状態なのにさらになにかを欲するのか?」

「け、けど、この餅のままだと不便だし、」

「だったら、頑張って人の形になっている自分をを思い描いてみて。」

「?、わ、わかった。」


 彼女は恐らくだが死んでしまい魂、幽霊とでも言い表せる状態になった時に現世を彷徨っていたらたまたま私の買ったお餅に取り憑いたとかそんな感じだろう。

 どれだけ現世に対して因縁や未練があるのだろう?

 まぁ、そんなことより体、物は魂や心というもに反応して姿形を変えるものだ。

 このまま想像してもらい私がちょっと力を貸すと、


 バケモチの体、つまりはお餅が薄っすら発光し出した。

 なんとも滑稽な光景だが、今はそれどころではないだろう。


「え?これ、どうなってるのか⁉︎」

「そのまま落ち着いてゆっくり想像し続けるんだ」


 一瞬閃光が自分の部屋に広がったが、本当に刹那のことだった。

 そして、目の前には、お餅が消えていた。


そして、、


 月光に照らされて、妖艶な美しさを醸し出している夜桜の前に、その美しい銀髪を夜風にたなびかしながら煌びやかに光らせ、白く陶器のように滑らかな肌、ほっそりとした少し非健康的な足が白いカボチャパンツから覗かせており、明らかに大きなサイズのセーターを見に纏ったこの世のものとは到底思えないような凛と立つ女の子がいた。

そう彼女の現在の憑代お餅を人形に変形させたのだ。


「うわぁ!すごい凄い!めっちゃ可愛くなってる!」

「喜んでもらえたら何よりで、」

そう、その女の子もとい、彼女、バケモチは銀髪に白い服、同じくらい白い肌、そいて年齢は10歳ぐらいの美少女になっていた。

 にしてもどうしたものか。

善意で彼女の憑代となっているお餅の形状を人間とそっくりそのままにしたのだが、

だから見た目は完璧に人でも些細な部分は変わってくる。まぁ普通に生活するだけなら特に困らない程度のことなのだから大丈夫なのだか。

 問題はそこではない。そう今彼女は見た目は完璧に人でもある。しかも10歳程度の幼い銀髪の美少女なのだ。


今に今まで、彼女独り、いや、友達独り連れてきたことのない自分が急にそんな子と一緒にいる部屋にいるということが隣人さんに知られてみよう。

お縄に捕まってしまうかもしれない。

そんな面倒事は起こしたくない。

だからと言って彼女を家から追い出すのも気が引ける。


「あ、そうだ!」

急に大声を出した自分をバケモチは怪訝そうに見つめる。

「どうしたの?」

「バケモチさん。異世界に興味ない?」

「は?」

んー、いけるとおもったんだが。最近異世界転生ものが流行ってるし、

「だから、2人で異世界へ行くんだよ!このまま、この世界にいたってしょうがないし、もういっそあたらしい世界でやり直そう!」

その方が君にも私にも都合が良いから

「なにそれやりたい!行こう!異世界!」

良かった。彼女はこの話に乗ってくれた


「それじゃあ行こっか!異世界!」

「うん!それでどうするの?」

「まぁまぁ、私を信じて?」

「うん。信じる。」


その瞬間この部屋が眩い光に覆われた。

「ゔぅ」

バケモチはあまりに眩しかったのか、目を瞑る。


部屋に平穏が戻った時には、誰もいなかった。

ご愛読ありがとうございます!

初投稿です!

色々と拙いところはございますが楽しんでいただけますと幸いです!

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