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おまけ:宇宙人の独白
僕は猫だ。
この粟原町で産まれた猫。
夜星悠里と同じ日に生まれて、少しばかり普通じゃないものを抱えている身だけど、それでも僕は猫だ。
猫だから、この世界で一番好きな動物は猫だし、それは僕が他の猫と違う、普通の猫とは違う存在だったとしても変わらないことだ。
僕は猫の中では変わり者だけれど、猫の仲間たちはそんな僕を仲間と思ってくれているはず。
それは僕が彼らを愛しているからだと信じている。
もしそれが本当の猫達どうしが向け合う愛とは違うものだとしても、それで構わない。
それに、それは別に僕たちだけの話じゃない。
人だって猫という自分と違う生き物を愛するし、猫だって人という違う生き物を愛する。
この町には、猫と人間を愛している宇宙人がいる。そんな宇宙人がいるのだから、少しだけおかしな人間が、他とは違う種類の愛を人間に対して持っていてもおかしくないし、その少しだけおかしな人間を愛する人間だってきっといる。
世の中はきっと、そういう風にできている。
短編と言いながら長くなってしまったこの話を最後までお読みいただきありがとうございました。