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キモい



  「あ?」


    おうおう。ムカつく顔だ。僕達オールソン兄

   弟に向かってなんて返事なのか。


  「なんだてめぇ?

   急に話に入ってくんじゃねぇよッ。」

  「割って入る必要性があるから、こうして話に入

   ってきてんだ。それがわからねぇか?」

  「あんだとぉ?」


    そうだそうだ。いじめは良くないからこうや

   って止めに来たんだ。これ以上の全うな理由が

   あるだろうか?

    僕と我が兄は言うがしかし、アルクという男

   は理解を示さなかった。狂犬かとばかりにすご

   い強面で威嚇する。

    はぁ、知性を感じないな。

    

  「……えっ。急になんなのこの人達。キモ」

  

    マリという女がそんなことを口走った。


  「は? キモくないから」

  「え?」

  「キモくないから。舐めてると殺すぞ女」


    僕は顔真っ赤にして怒った。僕は女にキモい

   と言われるのが一番嫌いなのだ。つーか、こう

   いう系の女はなんなわけ?男にキモいとか言っ

   とけばマウント取れるとでも思ってんのか?

    下らない。浅はかな低能女がしそうなお決ま

   り思考である。

    僕はキャンキャンと喚き無自覚にもまさに女

   の思う壺にド嵌まりして怒り心頭となったてい

   た訳だが、そこは頼れる我が兄。我が兄も怒り

   心頭となっていたが、大人な冷静さとクールな

   対応力にて敵に掴みかかろうとした僕を抑えて

   くれた。

    ちっ。女。命拾いしたな。僕は我が兄の顔を

   立てるためにも自らを抑えた。


  「……キモ」


    ……やっぱこいつ殺すべきだわ。

    再び僕は怒り心ーー

      


       #省略#



    アルクいわく、これは自分達の問題なのだか

   ら部外者が口出しするなとのことだった。当の

   被害者である役立たず君、サリバン君は話に置

   いてきぼりで半ば空気と化していた。口を挟め

   る状況でないと判断したのか、むしろ自ら空気

   になってるまである。お利口だな。僕達兄弟は

   とりあえず彼は置いておいた。

    すると、

   「そーゆーわけだからとっとと失せろや」

    と、話を早く終わらせたいのかアルクはそう

   言って話を雑に締め括りにかかった。

    僕と我が兄は青筋を浮かべた。なんで僕達が

   失せなくちゃいけないんですかねぇ。

    しかし、この時僕とは違い我が兄はあくまで

   も冷静であった。

    

  「部外者とか関係ねぇなぁ。観衆のある場でさっ

   きのような悪質な行為が見過ごされるとか思っ

   てんのか?

   だとすれば、実に愚かだなぁおい」

    

    我が兄は厳しい瞳を向けた。 

    全くだ。愚か愚か。

    僕も厳しい視線を向けた。

    我が兄の指摘は誠にその通りであった。いく

   ら社員を道具としてしか見ないこんな職場であ

   ろうと、良識、常識というものがないわけでは

   ない。  

    基本事なかれ主義の俺達でも度が過ぎれば干

   渉するさ。今回は我が兄の正義心がたまたま先

   に触発されただけであり、でなければいずれ他

   の誰かが止めてことだろう。

    僕は我が兄に同調した。

    喚くんじゃないッ、恥を知れよお前ら。

    僕は言った。

    アルクは正論を吐かれて声を荒げた。

    俺は自らの正当性を信じてさらに煽った。

    アルクはさらに切れた。

    しまいには



  「すっぞぉおらぁ?お?」

  「あ?んだごらぁ?あ?」

  「お"ぉん?」

  「あ"ぁん?」



    ……僕達はただのチンピラと化した。





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