これから
即身仏は、大切な文化遺産です。
似た状況になったとしても
この物語は、完全に大村仁が創作したものです。
朝になると、女性は、布団から出て、朝ごはんも取らずに何かに追われるようにして、戸を開けた。初めて、寺の中へ足を踏み入れた時と同じ笑顔を見せてから
「ありがとうございました。」
という言葉と共に去ってしまった。
あの女性は、幻だったのだろうか。ずっと忘れられない。
年を重ねた今、出たくとも布団から出られない。人生の最後に仏の救いが欲しいという願いから仏像のある部屋で寝ている。まだ、煩悩が抜け切れていないのだろう。
最初は、布団を敷いて、夜はそこで寝て、日中は、寺の中を掃除したり、食事をしたりしていた。けれどもだんだんと、年を取って、一日中、寝たままで動けなくなっていった。いつの間にか、毎日、夜になると、寺にやってきた若い女性のことを夢に見るようになった。目を開けると、様々な仏様の視線を感じる。罪深いとわかっているが、つい笑ってしまう。地獄へ落ちるのか、それとも天国へ行くのかは、誰も知らない。
それは、いま目を閉じればわかることだ。
最後まで読んだ方に「ありがとうごさいました。」
と言いたいです。
この物語は、終わりますが、大村 仁の創作は、まだまだ続きます。
よろしくお願いいたします。