プロローグ
思いつきで書いた作品。
ラブコメを書きたかったので、きっと主体はラブコメ。
色々な人に読んで欲しい。
今ここで、この教室で、死に怯えているのは、場にいる40人全員だ。
その中の一人、17歳の半端モノ…、‘’俺”。
何をやっても半端。実に半端な人生だった。
「つーか、おっさん!この現代でそんな立派な銃器使って立てこもってんじゃねぇよ!!もっと何か使い道あったろうが!!」
「あ!?」
頬を掠った。立派な銃器から放たれた立派な弾丸が、俺の左頬を…。
予想以上の痛みに俺はたじろぐ。
怖気づく、逃げる、黙る。
な?半端モノの俺には、こんな正義ごっこしか出来ないだよ。
好きな子にカッコイイ所見せたくて、逆に醜態を晒してしまった。
俺は明日からどう生きろと…。
いや、今この状況で、明日があるかも疑わしい俺が気にすることじゃないのか。
…そうだな。明日がないなら、今のうちに…。
バン!!
やはりヒトの両耳にはそう聞こえる筈だ…。
そしてヒトの左足にはこう感じられる筈だ…。
「痛いイタイいたい痛いイタイいたい痛いイタイいたい痛いイタイいたい痛いイタイいたい痛いイタイいたい」
実際はこんなこと叫べないくらい痛い。
本当は口にしていないのかも知れない。
歩くどころか、立ってすらいられない。
完全に使い物にならなくなってしまった。
…元から使い物にならない俺の身体の一部だから当たり前なのか。
死が疑念から確信に変わったぜ。
だったら…………、
「ねぇ、君…」
「え?わ、たし?」
だったら、
「好きだ。好きだ。好きだ。好きだ」
好きな子に告白してやる!!
事後報告となったが、結果からして相当な失敗をしてしまった。
死に際になってなんて冷静な、と思うかも知れないがよく聴いて。
まず、告白の仕方。
足が使えなくなって歩けないから、這いつくばって彼女を見上げる形となってしまった。
屈服。従属。
俺はそんなものを誓おうとなんかしていない。
次に、告白の言葉。
‘’好きだ”の四連呼。根拠もないし、クドイ。
もっと何か言うべきだったか。
髪が綺麗だね、とか。
目が澄んでるよね、とか。
肌に透明感あるね、とか。
スラッとしてるよね、とか。
美乳だね、とか。
思いつくのは思った以上に少なかったが、取り敢えず、
‘’可愛い”
とだけは伝えておくべきだった。
そして1番重要なポイント。
彼女に「は?」という顔をされてしまった。
正直、分かる。理解出来る。
君が何をされたかは俺が一番分かっている。
誰しも、この状況下ならそんな顔をしかねない。
喩え、告白の姿勢が悪くても。告白の言葉が気持ち悪くても。
ここで君が受け入れてくれたのなら、まだ俺に救いようがあったんじゃないか。
まだ俺に格好がついたんじゃないのか。
なんて、くよくよした気持ちを抱えながら、
俺は死ぬことになる。
最期に君の顔をずっと見ていたい。
けれども、そんな願いは叶わず、首を打たれたのだか何だか知れないが、俺の顔は前に傾き、最終的に床を見ることとなった。
この際の最終っていうのは、‘’人生の”という意味だ。
…………………………………………………………………。
はぁ…。死んだなぁ。
その感覚を俺は書き表せないし、語り尽くせない。
だって覚えていないのだから。
俺はそのとき、死ぬことよりも、死んだ後のカッコ悪さの方が心配だった。
彼女にどう思われるだろうか。
だが、そもそも彼女は無事なのか。
もっと、あのとき、ああしていれば、良かったなあ。
これが半端モノの半端な17年間か。
そんな後悔譚から、半端モノの第2の人生が始まる。
追記:悪い人には気をつけようね!特にそこの君。