変な格好の男の子1(ミリィ視点)
18話
今日は私の誕生日!
やっと14歳成人してハンターになる事が出来る。
お隣のマリちゃんが、「一緒にハンターになろうね」と1年も待っててくれた。
マリちゃんは一つ上なんだけど、お隣同士親戚で本当の姉妹みたいに育ってきた一番のお友達です。
二人して手伝いや雑用といったアルバイトをしながらお小遣いを貯めてこの日のために、装備を調えて準備してきた。
ー中央町 ハンター協会ー
『ハンター登録 お願いしま~す』
相変わらずマリちゃんは凄いなぁ
どんどん手続きを進めて行ってくれる。
いよいよ試験だ!
試験はPT用を選んで2人で挑む形にしてもらった。
☆1階層
ここはビッグマウスと言う大きなネズミがわらわらと出てきた。
飛びかかってきたのはマリちゃんが盾ではじいて剣で倒してた。
私は走り回ってるネズミの足下を<氷結>で凍らせて、転倒→自爆させたり
<水つぶて>(ウォーターボール)をぶつけて、動きを止めたりしてるうちに
マリちゃんが全部倒してくれた。
☆2階層
ここではワイルドドッグと言うシッポが2本ある凶悪な顔した大きな野犬が3匹居た。
こちらを牽制していて向かってこないでいるうちに<放水>(スプレーウォーター)で
野犬の手前の地面を濡らしておき、<氷結>(アイス)の準備をしておいた。
そこにマリちゃんが弓矢で1匹を狙い撃つと、野犬達は一斉に向かってきた。
水たまりに入った瞬間に、<氷結>(アイス)を唱え足ごと足下の水を凍らせた。
勢い余って前につんのめる野犬達。その首にマリちゃんが剣を突き刺して3匹とも倒した。
いつも練習していた連携が完璧に決まりました。
☆3階層
3階層はビッグビークと呼ばれる巨大な走る鳥が5羽いました。
2階層と同じ作戦で行ったのだけど、ビッグビークは脚力が強く、足も毛が無いためか?
うまく氷ついてくれず足止めは失敗。でも足を滑らせる事は出来たので、滑らせて自爆させ
2匹を足止めする事に専念して、マリちゃんが1対1で戦える様にしてた。
マリちゃんは突っ込んでくる鳥をジャンプして躱すと胴体に上から剣を突き刺そうとしたけど
相手が早すぎて空振りだったので、Uターンするために動きが遅くなったところで地面を凍らせてあげた。
すると、滑って走り出せないで居たので、そこをマリちゃんがサクッと首を落としてまず1匹。
足や身体は硬いけど首は細くてそれほど硬くないので弱点は首みたいね。
2匹目が向かってきたところを顔を狙って<水つぶて>(ウォーターボール)で攻撃。
嫌がって止まってくれたので、また足下を凍らせる、以下同文。
私達って意外と凄いんじゃない?
ここまではそう思ってました・・・。><
☆4階層
ビッグボア、角があり2本の長い牙を持った巨大なイノシシが相手です。2体居ます。
1体が前足で地面を掘るかの様に威嚇しながら突っ込んでくる準備をしています。
もう1体も始めました。私はよけた方に方向変換されない様に、自分達の手前3m位の範囲を凍らせました。
突進してきたところを2人で左右に避けて、後ろからマリちゃんが弓矢で攻撃、お尻に矢が刺さりました。
!
「マリちゃん避けて!」
もう1体が後ろからマリちゃんに突進していました。
マリちゃんは慌てて座ってる状態から飛び退きましたが、
残っていた右足にビッグボアの角がかすってしまい、跳ね飛ばされて転がっています。
見ると、右足のふくらはぎ付近が30㎝くらい裂けて血が出ています。
すぐに<ヒール>したいけど、ここはまず魔物の足止めが先です!
「マリちゃん大丈夫?!」
『凄く痛いけどなんとかね・・・』
「ちょっと我慢しててね!」
私は<放水>(スプレーウォーター)で2体とも牽制しつつ、びしょ濡れ状態にして
<氷結>(アイス)!止まっていた状態だった事もあり、2体を凍りつかせた。
まあ、体毛が凍っているだけで倒せたわけじゃないんだけどね^^;
それでも、しばらくは動けないだろうから、そのすきにマリちゃんに<ヒール>をかけて
足の怪我を治した。回復したマリちゃんはすぐに走って行き、
まだ動けないでいるビッグボアの頭に飛び蹴りをし、そのまま踏んづけた。
そして首に剣を刺して1体倒した。
もう1体を見ると、すでに氷が溶けたらしく
((((((ブルブルッ))))))
っと全身を震わせ水分と氷を飛ばしていた。
また<放水>で狙うも、学習したらしく避けまくられてしまい、しかしながら
おかげで辺り一面びしょ濡れになった。しかも敵のヘイトは完全に私に向いており
水たまりを凍らせると同時にマリちゃんが弓矢でビッグボアの目を横から射貫き
瀕死になったところを剣で首を落として倒した。
なんとか勝てたものの、私の魔力はもうカスカス
マリちゃんも疲れ切ってしまい、ここでリタイヤした結果、Dランクとなりました。
それでも担当した試験監督に言わせると、新人の女の子2人のPTとしては凄い事だそうです。
疲れ切ってしまったので、旅立ちは翌日にして家に戻りました。
翌朝、7:10の乗合魔導車に乗るつもりで乗り場で待っていると
前に並んでいるおじさん二人組がこっちを見てニヤニヤしながら話していた。
『スケベそうなオヤジね?!』とマリちゃんも気分悪そうに警戒してた。
ほぼ定時に乗合魔導車が到着して乗り込もうと見ると
変わった格好をした男の子がひとりだけ一番後ろの席に座っていた。
おじさん達が先頭の席に座ったのを確認して、間におばあさんが座ってくれたので
私達はいやらしい目付きで私達を見ていたおじさん二人組から離れて
変わった格好の男の子の1つ前の列の席に座った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
♪チャラララ~~♪
「なになに?」
『何の音?』
と、2人で顔を見合わせ、辺りを確認してみた。
なんとなく後ろから聞こえた様な・・・?
[おおぉぉ~~!!]
2人同時に後ろを振り返る!
男の子は手に持った何かをジッと見つめていた。
彼が顔を上げると、マリちゃんが
『あんた、変わった服装してるよね?さっきの音なに?』
「マリちゃん、失礼だよ~」
マリちゃんは誰に対しても思ったことをそのまま聞ける。それがすごく羨ましいけど
こんな、逃げ場の無い場所ではやめて欲しい気もする^^
[やっぱ聞こえちゃった?]
[あんま他人《ひと》に聞かれたくないから、もうちょっとこっちに寄ってもらえる?]
大丈夫かな?
と不安に思いつつも好奇心に負けて近寄ると
彼はサプロム様の使途だと名乗った。
そして説明するために食事をご馳走してくれるという。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
食事の前にハンター協会に寄ると、驚く事に彼はCランクだった。
そして食事をしながら、彼はにわかには信じられない事を言い出した。
5年前から神様が降臨されなくなったのは、地上を結界が覆っていて神様が干渉できなくなってるからで、
その結界を壊すために彼はサプロム様によって別の世界から来たのだと言う。
そして、サプロム様はこれまでにも他の世界で死んだ人をこちらに転生させて同じ事をさせようとしたけど、全て失敗してたらい
確かにマリちゃんも知ってる近所のジミー君は、3~4年前に病気で死んだと思ったら生き返ってみんなを驚かせたんだけど
生き返った彼は言葉も忘れちゃったみたいでわけの分からない言葉を話していたけど、しばらくして片言でなんとか話し出したら
アムート様を倒さなきゃいけないみたいな事を言い出して、やっぱり一度死んだ時におかしくなってしまったんだと、誰も相手にしなくなった
そしたらいつの間にか居なくなってて、しばらくして神都の外で死んでいたのが見つかったって聞いた。
マリちゃんはすぐにその話と結びつけたみたい。
彼があの音の説明をするためにこんなにご馳走してくれて、
こんな話を私達にする理由がわからないので、
ただのホラ話で私達の気を惹こうと思ってるのかな?とも思ったんだけど
彼の持っている見た事も無い物や飲み物・調味料など
信じるしか無い様な気がします・・・。
食後にやっと理由がわかりました。
最高レベルのダンジョンに一緒に行って欲しい?!?!?
彼ひとりでもクリア出来るって?!
マリちゃんが相談する時間をもらってくれたので、2人で話し合うことにしました。
『ミリ、どー思う?』
「嘘っぽいけど、信じるしか無いのかな?って思ってる」
『騙されちゃダメよ!何か仕掛けがあるに決まってるんだから』
「う~ん・・・。でもあの瓶とかさ、あんなの有ったら画期的じゃ無い?知られてないはず無いよ?」
『確かにそーなのよね。飲み物やサラダにかけたやつは他の国や町にはある物なのかも知れないけど
あの瓶だけがあり得ないのよね・・・。』
「あの瓶に張り付いてるラベル?の絵柄 あんなにきれいで凹凸もなく擦っても消えないって
材質もわからないし、あんなの絶対この世界には無いと思う。」
『そーなのよねぇ・・・。』
『他の世界から来たって話を信じるかどーかは、とりあえず保留として
最高レベルダンジョンを独りでクリア出来るって、信じられる?』
「でもCランクだっとよね?」
『そーなのよね、始まりの町で登録してきたみたいだから、私達と一緒でハンターに成り立てでしょ?
それでCなのは確かに凄いんだろうけど、そこまでかな?』
「どうなんでしょうね?登録したてで、多分年齢も変わらなそうよね?」
『わからない事だらけね』
・・・・・・・・・・・。
「じゃあさ、条件付きでダンジョン国まで一緒に行って、
本当に1週間で行けたなら信じてみるってのはどぉかな?」
『それいいね!かなり厳しめの条件言ってみて、その対応と
道中に実力を見れる事もあると思うから、それで判断しましょう。』