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大手町のゴースト  作者: 新庄知慧
6/36

大手町のゴースト 6  ・・・セクハラ部長の命により、メンタル社員、総務課へ

今日はこれで、おしまいです。感想や評価いただけると、とてもとてもウレシイです。かけだし者ですから、ずうずうしいおねがいですが・・・


その翌朝。


「え」


話をきいて、一瞬、驚愕したのは業務課長の朝倉晶子氏である。しかしすぐに平静にもどった。そして総務課長をカタキでも見るような目でにらんだ。


「ご迷惑、おかけしました」


彼女は熱田くんの上司だ。総務課長とはえらく異なり、花形部門の課長である。辣腕の冷酷美人。背もすらりと総務課長より高い。そして彼女は総務課長のずいぶん後輩だった。


「本当にご迷惑を」


そういっているが、迷惑なのはこちらだといっている。とんだ新人をつかまされた、という目をしていた。あんたが支店長にいって、あんな新人を私の部下に配置させたんじゃないのかしら、という顔をしていた。


「昨夜、連絡しようと思ったんですが、遅かったし。大事にはいたらなかったし。まあ、今日は休むようにいってあります」


「お気遣いなさらず連絡してくださればよかったのに・・・」


と、彼女は総務課長をにらむ。連絡しなかったのは、何か魂胆があってのことか?という意味である。いえ、とんでもない、それどころじゃなかったのだぞ、と総務課長は目でいいかえした。


熱田くんの件は実際、大事にはならなかった。彼は翌々日には出勤した。

自殺未遂をおこしたことは、管理職だけの秘密にして、職場のみんなには伏せていた。


総務課長は部長室に呼ばれた。


「彼女も、まじめだからなあ!新人課長として、がんばってるだろう。あの新人もまじめだろう。まじめで几帳面で少し不器用で。ああいうのが危ないってのは通説じゃないか、メンタルヘルス管理上の。なあ、総務課長!」


部長が語る。でっぷり太った大男で好色の、いまだに銀座の場末のバーで夜歩きし、職場の若い女子職員にメル友になることを強要したりしている、セクハラリスクに満ちた部長であった。


「そうだろう、総務課長!」


部長のどうま声で耳が痛くなる。それでも総務課長は「はい」と愛想よく答えた。

「メンタルヘルス管理は総務課長の仕事だ。頼むぞ」


「はい?」


「側面から支援してやれ。熱田くんを。頼んだぞ」


「はい。承知しました」


総務課長は部長に敬礼した。


・・・つづく


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