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異世界行って何が変わったよ?  作者: 尻尾の形
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プロローグ-現実を捨てる覚悟

「引きこもり舐めてんじゃねぇよ!」


俺は平日の昼間、いつもの様に戦争をしていた。


普通、社会人だったら仕事に行く時間。学生だったら学校に行っている時間だ。


俺は高校入学と同時に、酷いイジメにあった。毎朝、泥だらけにされた上履きを履き、マジックで落書きされた机に向かう。暴力は振るわれなかった物の、聴こえるような声での陰口は当たり前。全員から無視をされ、教科書、ノートには死ねだの帰れだの書かれ、クラスの皆んなの自由帳みたいになっていた。


そんな生活を一年間も我慢したがやはり心に限界が来た。俺は高校を中退した。就職も考えたが、親に「自分ちの息子が高校を中退したなんてご近所さんにバレたら笑い者になるから外には出ないで!」と言われ、欲しい物は全て買い与えると言う条件で親公認の引きこもりをしている。


片手にゲーミングマウスを掴み、一切の無駄の無い動きと、小中学生の時に野球で鍛えた反射神経で幾多もの敵を倒していた。


「死ね!死ね!死ね!死ね!」


毎日モニターに暴言を吐いている。




「こんな俺を許して下さい。神様...」


暴言を吐いていると不意に賢者タイムになる時がある。三枝サイグサ家は無宗教だが、神に懺悔ザンゲしたくなる。



「オッケー!許したげる!その代わりに、異世界行ってくれるかな?」



不意にどこからか可愛らしい声がした。声を聞くだけで美少女と分かるレベルの美声。凄く透き通った声には何処か幼さもあるが、それ以上に、人には出せない、何かがあった。


「だ、だ、誰ですか?」


当然の反応。小中は野球部に所属しており、女との関わりはほとんどゼロ。そんな俺の耳に、絶世の美女的声が聞こえるんだ。テンパるに決まっている。


「ん〜。まあ、女神様ってところかな。君が毎日、暴言を吐いては私に謝ってたでしょ?だから、許してあげようと思ってさ!」


俺は数々の異世界転生系のアニメ、漫画、ラノベを見てきて、もし、俺が主人公ならもっと上手くやれるのになぁ。などと思っていたが、本当にそんな状況になると、色々とテンパる。逆に、俺の見てきたアニメの主人公達はよく、取り乱さなかったな。などと思う始末。


「え?いや、あの...」



「どしたの?取り乱しちゃって? あ!ごめんね!姿も表さずに、失礼だったね!」



女神様はそう言うと、パァン!と手を叩き(姿が見えないから手を叩いたと言う推測)俺の目の前に姿を現した。


やはり予想通り、絶世の美女だった。綺麗な桃色の髪の毛を腰くらいまで伸ばし、薄い水色の羽衣を羽織っている。肌は透き通っており、何一つとしてけがれを許さないような白色だ。身長は俺より20センチくらい低く、150センチくらい。胸は大きくD〜Eカップくらいあるだろう。




「まず、自己紹介するね!私は、美と愛と性を司る女神。アプロディーテー。他の神からはロデって呼ばれてるよ!気軽に、ロデって呼んでね!あ、あと裏話なんだけど、私、クロノスって言う神様のおち〇ちんに付いてた泡から産まれてきたの!」


美の女神がこんなラフな感じでいいのか...そんな事が頭をよぎったが、そんなこと気にしても仕方ない。俺は俺のペースで行く。


「流石は性を司る神様ってだけはありますね。あと、女神様って呼ばしていただきます」


そう、冷たくあしらった。俺は人間不信だ。ましてや、神様なんて信用出来る訳がない。神話に出てくる神は大体がろくでなしだ。


「つれないなぁ...それに、性だけじゃないってば!」


なんて愚痴をこぼしている。神なのに見っともないなぁ。



「で、女神様。僕を許して下れるのは分かったんですが、何故、異世界に行かないと行けないんですか?それに、なぜ美と愛と性の女神様が僕の所にきてくれてるんですか?」


何と無く気になった疑問を投げかけた。異世界がどうこうと言う話は分かったが、なぜ美の女神がそんな事してる。こういうのって普通は年老いたおじさんみたいな神様がやる仕事だろ...まあ、美人に越したことはないが。



「えっとねぇ、まず最初の質問の答えだけどねぇ、神に許しをこう者は代償を払わなければならないんだよ!そして、二つ目の質問の答えは、懺悔ザンゲをしている人が今、一番望んでいる欲望を司る神様が許してあげないといけないの!君は、美、愛、性のどれかを望んでいるね?まあその年代なら仕方ないか...でね、私はあなたを許すからあなたは私を助けてほしいの!」


この女神は何を言っている。


「助ける?」


「そう。神様は毎月、人間1人を異世界に送らなきゃいけないの。だけど私、今月のノルマが達成できてなくてさ...だからそこで、あなたが犯した罪を私が許してあげる代わりに異世界に行って欲しいの!」


神は何故、異世界に人間を送らなきゃいけないんだ...


無断で送られた人、可愛そうすぎるだろ!


そんな事を考えたが、異世界に行くのも夢だったし、現実世界こっちに居てもする事無いし、行っても良いかもと思った。


「まあ、どうせこっちの世界に居ても楽しく無いですし、別にいいですけど、異世界に行って何をしたらいいんですか?」



「それがねぇ...言いにくいんだけど、何をしたらいいか、決まってないの...。まあ、正確には今の段階では分からないの」



「と言うと?」



異世界むこうに行って、家を持ったら、その家に一通の手紙が届くんだよ。そして、その手紙には、異世界でやって貰う事が3つ書かれてるんだよ。そこに書かれているミッションを全てクリアしたらどんな願いでも一つ叶えてもらえる。そして異世界転生する1時間前に戻って来られる。つまり、ミッションクリアにどれだけ時間が掛かっても、クリアしたら、時間を戻せるから、特に問題がない。異世界むこうで死んだら終わりだけどね!」



俺は決意した。死ぬかも知れない。でも、ここで行動を起こさなければ死んだも同然。全て覆す為の千載一遇のチャンスだ!腹はくくった!死ぬ覚悟もした!


「分かりました!俺、異世界に行きます!」


「そうこなくっちゃ!」


女神様はニッコリと微笑んだ。



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