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 前日あんなことがあったが、まだゴールデンウィーク。高校にはいかない。部活に入っていないので用もない。

 今日はお呼ばれしているのだ。ショタとロリに。


「おもちゃの平野前に11時だったよな。ちょっと早かったな、昼飯食べておくかな。」


 11時にお呼ばれしているのは『昼ごはんはうちで食べますよ』なのか、『すでにうちはご飯食べてますよ、もちろん食べてきてますよね』なのかわからない。何しろ友人に呼ばれるという経験がないからだ。初めてお邪魔するお家が年下の小学生とは情けない次第である。蒼一郎さんの言っていた通り、高校生の友達作ろう。うん、それがいい。


「あ、マイスターだ!」

「まいすたー!」


 そうこう悩んでいるうちに来てしまった。小学生たちにマイスターとして情けない姿は見せられない。


「こんにちわ、ようたくんと、えーと…」


 そういえば妹ちゃんの名前を知らない。聞いていなかった…いきなり情けない姿見せてますよ。


「ほら、自己紹介しなさい。」

「たちかわゆうな、ろくさいです!」

「ほら、ようたも。」

「立川ようた、8さいです!」

「僕は生茂玩、15歳だよ。よろしくね。」

「よろしくおねがいします!」


 かわいい、ゆうなちゃんマジ天使。お土産買ってきたけどここで渡されても困るか、家に着いてからでいいかな。

 人の家にお邪魔する時には何かしらお菓子を包んでいくべしと知っている。父を訪ねに来た人たちはだいたい持ってたからな。それぐらいは知っている。

 立川さんのお母さんに案内してもらってお家に行く。結構大きめの一軒家だ。4LDK?5LDKかもしれない。都内に庭付きとはこれまた。ダメだ、お家評価してるよくないよくない。


「「ただいまー!」」

「お邪魔します。」

「お帰りなさい、それといらっしゃい。」


 カバンから文○堂のどら焼きを取り出して立川パパに渡す。


「あの私みたいなよくわからない人間を招いていただき有難うございます。お口に合うかわかりませんがこちらみなさんで食べてください。」


 完璧な流れである。昨日30分練習した成果だ。


「僕はいいからほら、ようたとゆうなと遊んであげてくれ。」

「はい。」

「おにいちゃん!こっち!タップジンしよ!」

「よしきた!ようたくんとゆうなちゃんの二人でかかってきなさい!」

「言ったな!負けてももんくいうなよ!」





「なあ、玩くんってどっかで見たことあるんだが。」

「よくおもちゃ屋にいますよ。買い物終わったあと前通ると店長とお話ししてますし、ようたがタップジン挑むと必ず戦ってくれてます。」

「いや、おもちゃ屋以外で。」

「いや、覚えてませんね…」

「どっかで見た気がするんだけどなぁ…」

「気のせいですよ、きっと。」





「うはははは、僕を倒せるものか!」

「にいちゃん、このカクカクユニコーン使って!」

「うっそれは最弱コンボじゃないか…」

「これで勝ったらにいちゃんは最強だよ!」

「がんばっておにいちゃん!」

「よーしおにいちゃん頑張っちゃうぞ!」

「今度こそ倒してやる!準備はいいか?レディーゴー!」


 小学生とタップジンをしている。小学生が相手だろうとタップジンは楽しいのだ。まあ、疲れるが。もちろん【玩具野郎】は使ってない。

 昼ごはんは立川家のカレーをいただいた。立川母、めちゃくちゃ料理がうまい。うちの母とは全く比較にならないな。

 昼ごはんを挟んでもずっとタップジンだ。ゆうなちゃんも一緒にやっているが、いかんせんシュートが弱いので負けてしまう。ゆっくりでも強い左回転のを渡して勝つととても喜んでいた。


「ねえねえ、この前の大会でやってやつどうやってるの?何度やってもできないんだけど。」

「ああ、あれは俺も気になった。」


 遂にようたくんが突いてきた。ようたくんパパまで気になってるよ。

【玩具野郎】については話せないよなぁ。


「あれはね、特訓の成果だよ。自分と相手のタップの動きの癖をよく見て、シュートの角度と強さを計算してようやくだせるんだよ。」

「今日もできる?」

「俺ぐらいになればできるさ!アニメの技ほとんどできるぞ!」

「え!本当!じゃあデザートイーグルのスカイフライスラッシュとかできるの?」

「も、もちろん!」


 やばいな、あれ、できないわけではないけれど確実に物理法則無視しているから大人のいるところでできないよな…いや、少年の夢は守らねば!やるしかない!


「ようた、無茶なお願いしちゃダメよ。」

「はーい」

「ゆーなみたい!」


 幼女まで頼んでいるんだ、やらないわけないだろう。お父さんはテレビ見ている。今のうちだ。


「よし、よく見ててね。スカイフライスラッシュは難しいからね。」


【デザートイーグルを現実化します。使用神力15】


「準備はいいか、レディーゴー!」

「スカイフライスラッシュ!」


 タップはスタジアムの縁を蹴り、上へと飛び上がる。角度を変えて、ようたくんがシュートしたタップを斬りつけるようにアタックする。ようたくんのタップは回転をやめ、デザートイーグルが中央で回っている。


「「………すっごい!!!!」」


 やりすぎたか?お父さんの方を見る。どうやらこっちを見ていたようだ。顎を外して目を見開いている。これはうん、やりすぎた。


「にいちゃんすごい!にいちゃんすごいよ!」

「ふふん、マイスターにかかればこれしきのことたわいもないのだ!ふはははは!」

「ちょっと玩くんいいかい?」


 はい、呼び出しくらいました。あーこれ危ないことして怒られるやつかな。顔面付近にタップ打ち上げたもんな。え、そういう問題じゃない?


「玩くん、あの技、確実に物理法則無視しているよね。」

「いいい、いやあれぐらい練習すればできるようになりますよ。はい。」

「おにーちゃんに出来るんだからおとーさんもできるよ!」

「ゆうなちゃんの言う通りだよ。練習すればできるようになるよ!」

「おとうさん!練習して!」

「お父さんも仕事が忙しいからね、僕みたいに暇じゃないから無茶なお願いしちゃダメだよ。」

「はーい。」


 えらいねとゆうなちゃんの頭を撫でる。目を細めて喜んでいるようだ。小動物みたいでめちゃくちゃ可愛い。ゆうなちゃんマジ天使。

 ようたくんは固まっている。お父さんも固まっている。もうちょっと地味な技にしておけばよかったと少し後悔。あ、ようたくんが動き出した。


「マイスター!タイフーングラップもできるの?」

「ああ、もちろん。」

「スターダストシュートも?」

「もちろんだとも。」

「スッゲー!スッゲー!」


 しばらくようたくんは練習するとのことでゆうなちゃんと遊ぶことになった。


「ゆうなちゃんは何して遊びたいの?」

「りんごちゃんごっこ!」


 りんごちゃんとはたぶん蒼一郎さんが好きなプリティフラッシュりんごちゃんのことだろう。忘れていたがあれ、幼女向けアニメだものな。そらゆうなちゃんが好きって言っても変じゃないわ。変なのは蒼一郎さんだったわ。


「そっか、じゃあゆうなちゃんは何やりたい?」

「りんごちゃん!」

「じゃあ僕には何して欲しい?」

「りんごちゃんいがいぜんぶ!」


 な、なるほど。要求が高いぞ。りんごちゃん以外全部ってあの契約している小動物から悪役、友人まで全部か。ふむ、できないことはない。セリフ全部覚えているからな!!!


「いつのりんごちゃんやりたい?」

「こないだの!」


 なるほど、「17話、あなたを縛るストーカー、鍵怪人と浮気の真相!」か。最近だからな、頭に残っている。蒼一郎さんもずっと訓練中に話していたからな。


「よし、じゃあ始めるよ…」




 ぜえ、ぜえ、やっとバトルシーンまできた。一人でベットシーンの全部の役はさすがに辛すぎる。りんごちゃんバトルシーンまでほとんど出ないからな。鍵怪人が浮気現場の鍵を開けちゃう事件はほとんど関与してないのになんでこれやりたいって言ったんだろう。子供ってバトルシーンしか観てないっていうしそういうことなのかもしれない。よし、ここからがバトルシーン、気合い入れていくぞ!


「ふははは、りんごちゃんなんかにオレッチが負けるわけないのだぁ」


 まずは鍵怪人、この闘いは幹部戦まであるから幹部役まで体力を残さなきゃならない。鍛えたこの体、持ってくれよ!


「りんごちゃんはぜったいゆるさないんだからねっ!」


 ああ、ゆうなちゃんまじ天使可愛すぎる。ダメだ、怪人続けなければ


「ふははは!お前の必殺技をロックしてやったぞォ!」

「なんですって!でも私にはみんなのちからがあるからまけない!ぷりてぃきーっく!」

「ぐ、なかなかやるではないか!ロックロック!お前の力を最大限に生かさないとやられてしまいますよ。油断は大敵です。わかってるよゲロロン様、いくぞりんごちゃんヘッドロックブラストォォオ!りんごちゃん!よけてぇ!」

「うわー!」

「大丈夫?りんごちゃん、りんごちゃん!ふははは、所詮これだけの力か。なぜ我々はこんな矮小な力しか持たないものに怯えていたのかなんてな!ゲロロン様もなんでこんなんに怯えてるんだ?鍵怪人!さっさと止めを刺しなさい!まあ待て、そんな慌てることねえじゃねえか、ゆっくりいたぶった後でも…な、なに?!ほら、言わんこっちゃないではないか!りんごちゃん!大丈夫なの?!」


 ぜぇ、ぜぇ、セリフが続きすぎる。りんごちゃん倒れている間はずっと俺のターンだから全部の役のセリフを言わなきゃならないのが辛すぎる。息継ぎできねぇよ…


「だいじょうぶ!りんごちゃんはぷりてぃぱわーがあるかぎりふめつなんだよ!」

「それでこそライバル。鍵怪人、最後の一撃だ!おうよ、ヘッドロックブラストォォオ!」

「ふらっしゅぷりてぃきーっく!」

「ぐ、グハァ!鍵怪人!おのれりんごちゃん、次は私が相手だ!りんごちゃん大丈夫なの?」


 よし、鍵怪人分のセリフが減ったぞ、もうそろそろ終わりだ!


「みんなのちからがみなぎってるの!あたらしいわざもだせるよ!」

「その技、受けてやろう。こいっ!」

「プリティストーンプ!」


 ガチャ

「ただいまー」


 え、立川さんちって四人家族じゃなかったの?え、今の女の子の声だよね?しかも年頃の…


「「お帰りなさい。」」

「おかえりなさいねえちゃん!」

「おかえりおねーちゃん!」


 なにも言わないのは気まずい。


「お、お帰りなさい…」


「ねえ、あんたなに妹に踏まれてんの?もしかしてそういう人?」


読んでいただきありがとうございます。ブックマーク、評価を何卒お願いします。

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