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「アリ……だね。うん、採用してもいい案なんだよ。」
サポートに聞いてみよう、サポートさーん
「勇者は赤羽?あと神はこれに関わっているの?」
「勇者召喚に我々は関与しておりませんですが次元の移動を神を介さずに行われた人間は生茂様のご存知の赤羽秀輝で間違いありません。」
「彼は人知を超えた、僕たちみたいな能力は持ってる?あと赤羽くんは魔王倒せそう?」
「いえ、ちょっと体が丈夫になった普通の人間です。多分魔法も使えません。前の勇者は邪神討伐に赴いた闘神が人間のふりをしたものです。邪神関係者を人間が倒せるわけではないのです。」
「ありがとうサポートさん。」
サポートさんまじでありがたい。今度お菓子作って持って行ってあげよう。
「ということで方針は決まりました。勇者をおうちに帰してあげましょう。」
「なんか川に迷い込んだアザラシとか浜辺に打ち上げられた鯨みたいな扱いなんだけど。俺も賛成だな、魔王に挑む前にそれをしよう。」
「私も賛成。」
「じゃ、作戦を立てましょうか。」
近くの喫茶店で話すことにした。聞かれても特に問題ないと判断したからだ。
「まず、僕らは王城にコネがありません。どうやって入りますか?」
「そりゃ、こそっと。」
「僕の能力はオタクの二人だったら大体把握できますよね。僕にそういう能力が一つもないんです。今回は完全に足手まといなんですよね…。」
「でも誰が勇者かわからないよ?」
そう、そうなのだ。僕は能力的に圧倒的足手まとい。
そして二人は勇者の顔がわからないから僕が行かなきゃいけない。
…ん?今向こうでいない扱いになってるんだったらニュースとかになってるんじゃ。G石板を弄ってみるも載ってない。行方不明なんていくらでもいるからな。遥さんに言えば写真の一枚でも100枚でも持っていそうだけど…。
「というより僕だけ能力二人に大体わかる状態なのになんで二人のは俺知らないんだ!差別だ差別!」
「で、でも…」
「…ねぇ。」
「うー!恥ずかしがらないで蒼一郎さんは漆黒と蒼天の秘儀の書を、雪菜さんは設定ノートを見せてくれればいいんです!立てられる作戦も立てられませんよ!」
「うっ、うう…」
「というかなんで私のは設定集があるって知ってるの!」
蒼一郎さんは素直にノートを渡してくれた。Vol.1って書いてある。続編だったのか。
【華玉 火の玉 うごめくプラズマ、燃ゆるタマシイ煌めきを放ち塵芥となせ!】
【激流を制するは激流、堤などは超えてゆけ壊してゆけ氾濁龍】
【翔稲妻覆え雷雲轟け閃光、強き光は希望の光、雷神頭鋲舞】
………
【首元を叩かれれば脳が揺れる。私が許可するまで起きることを許さない。完全気絶】
【探れ気づけソナーのように音を響かせ反響を聞け、そして表せ!】
【我のものは我のもの何人たりとも犯せはしない不盗】
【何人たりとも捉えられない私は陰、私は陽。不見、不知、不感】
なるほど、隠れる系の魔法があるじゃないか。
「そうくんも出したんだよね。私も出すべきか。」
雪菜さんのノートは無地で衣装がたくさん書いてあった。着替えて戦うタイプの少女で、フリフリでくどいのから結構きわどいのまで様々である。もちろん透明服があって隠れられるのだが………
……この服ダサいな。
「ま、欲しい情報は集まりました。問題ないです。作戦立てられます。」
作戦と言っても作戦と言えるようなものじゃない。ただ隠れて、気絶させて、おうちに帰してあげるだけだ。ただ彼のお家は知らないので立川家の前に置いておくと遥さんと赤羽くんの中が急接近!というより立川家のパパとママにめちゃくちゃ迷惑がかかるのと、ようたくんにスカイフライスラッシュの強要があるのでそこらへんの公園の茂みにでも隠しておこう。んで偶然を装って遥さんか学校に連絡。あー俺が勉強していないのが親にバレるな。遥さんに見つけてもらったことにするか。ついでに高橋さんを呼んで二人ではけて二人っきりで看病させてあげる。これがベストな作戦、コレベスだ。
あとは二人に赤羽くんがどれかわかってもらえるように写真があるといいんだが…。もしかして…。
「サポート神さん、もしかして赤羽くんの写真ってあります?」
「はい、ご用意できます。石板に3枚ほど送りますね。」
そして蒼一郎さんたちに転送する。これで完璧である。
「あー作戦なんですけど、向こうに帰ってからは僕がうまくやるのでとりあえず今G石板に送った写真の人物を隠れて気絶させて拉致ってきてください。」
「「作戦もひったくれもない!」」
だっていらないんですもん。
「あ、あと、拉致っている間にグレンになって王に宣戦布告します。」
「「はぁ?」」
「勇者召喚されないためですね。時空神に頼むのはアリですけど色々便宜測ってもらっているのに追加でお願いするの苦しいですし。」
「ま、まあそうだね。いいんじゃないかい?」
「落ち合う場所はどこにします?」大神殿前でいいんじゃないかい?転移しても問題ないだろう?」
集合場所は大神殿と決まり、二人は王城に向かった。勇者の部屋に二人が入って拉致った後に大暴れだな、よし。二人が王城内を探知している。G石板をみて、そうわかる。蒼一郎さんの魔法は強力で自分にかけた場合、例えドアを開けようとも不思議に思われないというやばい能力である。多分中学生の蒼一郎少年は女風呂がとても覗きたかったんだろうなと温かい心になる。
◇◆◇
何か生ぬるいものを感じたが、害はないようなので無視をする。
時間的に宿泊できる部屋にいると思われる。
透明化の衣装を着た雪菜と不感知の魔法をかけた俺の二人ペアである。一応俺のは雪菜とマップだけ感知できるように調節している。
まず一つ目のドア。裸の女性だ。雪菜にスパーンと叩かれたが、叩かれた俺を感知できないので何も反応はない。こういうのって三段落ちで3個目に来ると思ったが、フラグさんはそう簡単に御せないようだ。
2部屋目は空室。すぐ閉める。
3部屋目に勇者がいた。写真と同じ顔であるかなりのイケメンだ。部屋の外から気絶の魔法をかけ、中に入る。きっとマップで確認している玩くんは部屋の中に入ったことで察してくれているだろう。彼を抱えて雪菜と手をつなぎ、転移する。
◆◇◆
お、G石板のマップで二人が部屋に入った。勇者を見つけたのだろう。ふんふん、魔法を使って気絶させて転移。二人のマークが消えた。よし、今だ!
玩は王城に穴をぶちあけて王の間に入る。自分の出せる一番低い声で喋る。
「俺は魔王軍のものだ。勇者は送還した。どうせあんたらは魔王が送還術を持っているとか適当に嘘こいたんだろうな。」
「き、きさま、なぜそれを!」
あたりかよ。こんだけ色々当たるんだったらスクラッチとか宝くじとかホームランバーとか買ってみようかな。今まで練習してきたプロレスラーのヒールっぽい動きをしながら煽る。
「勇者みたいな異世界の人間にたよんねえと最初っから見切りつけるような軟弱者はそりゃハナから駆逐されるようなために生きてるようなもんだよな。弱っちい吹けば飛ぶような虫ケラどもを束ねてえらい顔してっけどお前もその羽虫の一匹だからな?はぁ、この世界は自分の国を守るのにも自国民すら使わない蛆しかおらんのか?」
「何をこいつ!」
「自分のとこの兵ぐらい活用してこいよ。なんだ?それともこの国の兵は平和ボケした甘ちゃんの坊主しかおらんのか?ユウシャサマータスケテクダサイーってな。悔しかったら総力あげてやってきな蛆の王様と羽虫の兵隊長さん。」
飛び降りながらG石板を操作して転移、大神殿前に転移する。
「うわ!マジでグレンじゃん!カッコいい!」
雪菜さんも特撮見てたのか。雪菜さんも近づいてきてペタペタ触っている。
「変身解除しますからペタペタするのやめてください。なんで夫婦揃ってその反応なんですか。」
「え、そうくんもしたの?」
「ま、まあ。」
触感が気になるのも無理はない。テレビで使われているのはウレタンに合皮を張ったものらしい。テレビ版の方も触ってみたいものだ。
変身解除して赤羽くんを持つ。あ、思ったより軽い。
「じゃ、あとは僕がやりますんで、メールしたら解除してください。携帯の方でしますから。」
「わかった。地球にいるとき僕と雪菜はほとんど一緒にいるけど二人も念のため番号交換しておいてくれ。」
「わかりました。」
スマホを振ると連絡先はすぐに交換された。全く便利な世の中だ。
「じゃ、今日はこれで。人数増えて軍になると魔王のところにたどり着くのが遅くなると思うけど、早く倒さなきゃいけないのは変わりない。向こう依頼とか公式に倒すことは不可能になったから、まあ元からだけど。だから午前中に僕と雪菜は出発しているよ。玩くんはいつも通り午後からでいい。車なりなんなり使って追いついてきてくれ。」
「わかりました。では!」
別行動は危ないが、今は速さが問われているのだ。彼の選んだ選択が最良かどうかはわからないが了承した。
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