12
ようやくです。ようやく動き出します。
大神殿1号館に駆け込む。すでに蒼一郎さんは来ている。できる社会人は余裕があるのか。
「すいません、遅れました。」
「しょうがない、学校だったんだよね。友達できたかい?」
「すまない、そう言うのは後にしてくれないかい。すぐに説明したい。」
創造神は珍しく真面目だ。深刻な事態なのかもしれない。
「まず最初に、我々が管理している世界は地球だけじゃない。これは言ったかな?100個世界空間、すなわち宇宙があるんだ。100個の宇宙は互いに干渉しないし、させてはならない。もし繋がると膨らみすぎて爆発してしたあと急速に収縮して滅びる。邪神は無理やり全てを一つに統一し滅びさせずに統一しようとしている。
「邪神には統一できるんですか?」
「うーん、統一できるかもしれないし、できないかもしれない。そこはわからない。君たちにそれも調査してもらいたいけど今は最優先ではない。」
「そうですか。」
情報は大切だと思うんだけど違うのだろうか。もしできる場合邪神を殺さなくても別にいいのでは?一つにしてしまった方が簡単だし。
「邪神や眷属を有無を言わさず殺せって言うと君たちは躊躇うだろう。だから理由を教える。」
そうか、他に理由があるのか。
ただの保守的思想で殺すわけじゃないのか。
「彼らは邪に染まってしまっている。そしてその邪は知的生命体に伝染する。そのせいで人が無意識に人を殺すってことが起こるかもしれない。神の干渉によってそういうことは起こしてはならない。だから邪神や眷属を討滅して欲しいんだ。」
「無差別殺人を無意識に理由なく起こしてしまうってことですか?人の身に伝染するというのであれば私たちも危ないのでは?」
「ん?君たちはすでに神だよ。現界上がりだからちゃんと現界にも干渉できる。」
「現界上がりの神は私たち二人だけなのですか?」
「ああ、神力をめちゃくちゃ使うからね。君ら2人が限界だった。」
「なぜ私たちなのですか?」
「能力の問題さ。他の人は同じ神力で攻撃力アップとか運動神経ちょっと向上とかで微妙なのしかなかった。神力あげれば強いけどさ。君たちの世界の物語だと変な能力の方が強くなるって決まりだろ?」
それは言えている。変な能力の方が書きやすいからそうなるというのもあるが。
「その件に関してはこれぐらいでいいかな。次は出現場所について。出現したのはファンタズム、28界だね。君たちの世界のファンタジー世界みたいなものだよ。世界まではわかるけど、どこにいるかはわからない。ただ邪の気を察知したのがファンタズムってだけ。でもあそこは天動世界だからかなり小さいから探す範囲も狭くて済むよ。」
「天動世界?」
「地球でも天動説っていうのが一時期流行ったでしょ?その仕組みの世界さ。板状の大地と海に天が半球状にある。ドーム型だね。」
そんなものがあるのか。人が考えられるものは存在するものだけだとは言われていたが本当だったのか。言った人は神の関係者だったのか?
「でも、どうやってそこに行くんですか?」
「時空神、アプリアップデートしてあげて。」
「……わかった。」
G石板を取り出して時空神に渡すと、マップアプリをアップデートしてくれた。家と神界だけでなくそれ以外の場所にも行けるようになった。項目からだけではなくマップでタップした位置に瞬間移動できるのか。拠点は神力を使わずに行けるみたいだが、拠点から離れれば離れるほど神力を食うみたいだ。
「これでいけるでしょ。拠点は祠にしておくから。他の世界の人とは関わってもいいけど文明をひっくり返すような真似はしないでね。ラノベの知識チート的なことはダメだからね。いつでも帰ってこれるんだからそれぐらい我慢してよ。」
「わかりました、私は別に英雄になりたいわけでもないですし。ちょっとした文化の違いがあるかもしれないのでついうっかりやってしまうかもしれませんが気をつけます。」
「あと、名前なんだけど玩くんはだいたいどの世界でも違和感ないからいいけど蒼一郎くんはソウって名乗って。コードネームみたいでかっこいいでしょ。」
え、俺も欲しい。なんだよ、僕の名前は違和感ないって。違和感あれよ。コードネーム欲しい。
「お金はG石板の換金アプリ使えばポイント分出てくるから。あとは時間の進行はちょっとずれているからちょくちょく時計アプリ見て。あとは…こんな感じかな。」
いや、大事なことを忘れているぞ。
「僕から質問邪神と判断するにはどうすればいいですか?」
「それ忘れてたよ。体のどこかに横縞4本線の刺青があるはず。それを目印にしてくれ。」
「わかりました。」
「あとちょくちょく質問あったら私に直接じゃなくてサポートを使ってくれ。玩くんはもう使っているからわかっていると思うけど。サポート神でもわからないことは私に上がってくるから絶対答えるからね。よろしく!」
あのサポートか。声綺麗だったからちょくちょく使おう。サポート神とも神友になれるかな?
「では、私たちは行ってきます。」
「行ってきます。」
「よろしく頼むよ。絶対倒してくれ。」
G石板を操作してファンタジー世界であるファンタズムに転移した。
「見事にボロボロな祠だね。」
「そうですね。まずどうします?」
「まずは人里、そして大きな街に行きたいね情報はその方が集まる。」
「どっちに人里があるかマップみればわかりますね。結構遠いみたいですけど。」
「とりあえず一度帰った方がいいんじゃないかい?玩くんは制服に鞄だから依り代持ってないだろうし。」
「依り代は変身バックルとワンボックスカーはあります。あとはタップジンと言うコマですね。」
「君は学校に何しに行っているんだい……。」
ばれてしまった。全部ロッカーに置いていることが。そこらへんは成績いいから放っておいて欲しい。
「まあ、刀持ってくるのと着替えしたいんで一回帰ります。一緒に行動した方がいいと思うんでちょっと待っててもらえませんか?10分で戻ります。」
「ああ、いいよ。」
許可をもらって自宅の部屋に。家には誰も帰っていないようだ。厚手のGパンとミリタリージャケットに着替えて学校指定バックからリュックにワンボックスカーホビシャを入れる。バックルはベルトに装着、首斬椿は玩具状態のまま腰に装備しておく。戻ってきたときのためにレジャーシートを敷いて、部屋の立て札を勉強中に変え玄関に行き、部屋に置いておいた登山靴を履いて、革靴を玄関に戻しておく。
「うし、完璧。」
ファンタズムの祠に再転移する。
「お待たせしました。」
「いや、そうでもないよ。うん、しっかり考えられた衣装だね。いいよ。」
「気になっていたんですけど、その衣装なんですか?」
「あっ、ああ。これは中学生の時にじいちゃんがチベットかな?どっかのお土産ってことでくれたローブ。ノートにこれを着ると消費魔力半減って書いてあったから来てみると使用神力が半減したから来てるんだ。」
「右手の包帯はどうしたんですか?怪我してます?」
「こっこれはノートに腕に包帯を巻くと持ってる魔力が2倍になって魔法の行使にある程度自由が利くようになるって書いてあったんで巻いてみたんですよ。そしたら書いてあった通りになったんで巻いてます。あんまり突っ込まないでください。これめちゃくちゃ恥ずかしいんですから。」
「なんかすみません。」
「いえ、そりゃ気になりますよね。一応お互いの神力見ておきます?」
「そうですね。状況把握が安全の近道ですもんね。」
生茂玩
神力1920/1920
黒戸蒼一郎
神力1530/1530
なんか僕の神力急激に上がっていない?イベントあったっけ…
美食人と一緒に料理したこととか?いやいや、それじゃさすがに神力上がらないでしょう…
「ねえ、玩くん神力めっちゃ上がってない?なんで?」
「さ、さあ…」
とりあえず近くの村の方向に向けて歩き始めた。しばらくは森だったが、すぐに草原に出た。
「これならワンボックスで移動できるね。」
「あ、確かにそうですね。」
【ホビシャ ワンボックスカーは現実化できます。使用神力900】
承認っと。僕は運転免許を持っていないので蒼一郎さんに運転席を任せる。
「さっき聞き逃したんだけどさ、学校で友達できた?」
「ええ、まあ。」
「それは良かった。1日でできるなんてすごいね。」
「同級生の弟と妹と友達だったんでそこからって感じですかね。」
「そうかい。」
蒼一郎さんは仕事のパートナーである僕をかなり心配してくれている。
そういえば蒼一郎さんは実家への説明はうまくいったのだろうか。
「蒼一郎さん、実家への説明うまくいきましたか?」
「いやまあ…。うちの親、なんというか昔の人だからね。かなり怒られたよ。年収上がったし、引き継ぎもしっかり終わらせたのに怒られなきゃいけないのってね。ここ以上に信頼できる会社ないのにね。確かに出張多くて命懸けの体張る仕事だけどさ。あれ、仕事内容振り返ったらかなり厳しいかも?」
「はははっ、確かに厳しいかもしれませんね。いい職業かなんて実際に邪神と戦ってみないと分かりませんよ。まだ一回も業務終わらせてませんもん。」
「確かにそうだね。悪い会社だとしても、死なないとやめられないからブラック企業かもね!寿命を縮めるどころか伸ばしてもらってるんだけどね!そうそう玩くん、平日は放課後から日本時間で0時まで手伝ってくれればいいから。学校はしっかり行くんだよ。」
「…はい。」
学校に行ったほうがいいとまた強調している。蒼一郎さんの過去は触れられないけどいつか知らなきゃいけない気がする。ただそのいつかは今じゃない。いずれ教えてくれるのだろうか。
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