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今回は少し短いです。

「おはよーゴールデンウィーク何してたの?」

「いや、SNSでずっと話してたじゃん。」

「こういうのって生で聴きたいじゃん?」


 学校が始まった。ゴールデンウィーク中いろいろあった。今後の進路が決まり、考え方が変わった。人生の岐路はどこかと聞かれたら15歳のゴールデンウィークだと答えるぐらいには変わった。

 友人を作ろうと思うなんてうちの家族からしたら考えられないよな。

 僕は今までの行動の積み重ねの成果なのか誰にも話しかけられることなく、むしろひそひそ声でこちらを見られながら話の話題となるぐらいだ。そんなに悪行を重ねた記憶はないのだが。

 教室に入るといつも通りロッカーから今日の授業に必要なものを取り出す。宿題以外は全てロッカーと机の中にしまっている。そうしないとカバンにタップジンと変身バックルが入らないからだ。

 なぜ変身バックルを入れているかというと「念のため」の一言に尽きる。

 カバンから中身が見られないように宿題を出していると女子に声かけられる。


「おとといはありがとうね。」


 驚きに驚きを重ねて椅子ごとひっくり返る。おととい…ああ、立川姉か。


「だ、大丈夫?」

「うん、大丈夫。これでも結構頑丈なんだ。学校で誰かに声かけられるなんてなかったからね。びっくりしちゃったよ。」

「確かに、この前うちに来た時も思ったけどあんたよく見たら休み前より体格良くなってない?」

「なんかよくわからないけど制服ピチピチになっちゃってさ。ちょっと大きめの買ってたはずなんだけどね。」


 きっと闘神ハイスクールのせいだろう。身長も伸びたし筋肉ついたせいで体の線も太くなった。


「そういえばいつも勉強しているけど今日はしなくていいの?」

「うん。一年生で出ると思われる宿題と予習は全部終わったからね。」


 クラスの全員がこっちをばっと見た。


「え?も、もう一回言って?」

「うん、高校一年生で出ると思われる宿題と予習は全部終わったんだよ。シラバスに書いてあったしね。」


 面倒だから先に全部終わらせておく主義が発動してしまうのだ。しかもそれに時空神の空間と蒼一郎先生が加わって高校の予習は全て終わらせるという快挙である。もう授業を聞くだけでよさそうだ。


「す、凄いね。」


 なんか立川さんにドン引きされている気がする。


「タップジンやりたいからね。平野、おもちゃ屋に通うためにもやらなきゃいけないことは先に終わらせておきたいし。」

「勉強わからないとこあったら教えてもらっていい?」

「もちろん!同年代の友達いなかったからこういうのって憧れだったんだぁ〜」

「そりゃ最初にそんなことしてたら友達できないに決まってるじゃん!」

「へ?」

「学校で始まった時に友達作りに動かなかったら友達できないよ!今じゃ入学前からSNSで繋がっているから!」

「へー、そうなのか。」

「はー、もう終わっているんだったら友達できるよね。うん、私が友達第1号になってあげるよ。」

「あ、第一号は陽太くんだよ。第二号は優奈ちゃん。だから第三号だね。」

「弟と妹にとられてたのか。なんか悔しい。」

「お、ホームルーム始まるよ。」


 なんと、同級生の女の子と友達になってしまった。ドロドロな沼のようであると聞いている女子高生の関係に巻き込まれたくないが、友達が欲しかったから別にいいや。立川さんちの子供はみんなええ子や。お父さんとお母さんの教育の賜物だろう。

 さすがに昼休みは女子同士の付き合いがあるようで女子グループの方に行った。僕のせいでドロドロな沼の中で虐められでもしたらかわいそうだし別になんの問題もない。僕はいつも昼間は食堂だし、彼女は弁当だ。そういう問題もある。

 食堂でカレーを待っていると後ろから声をかけられた。先生かなと思ったら男子生徒だった。


「生茂くんだよね?」

「うん、そうだけど。」

「クラスでタップジン、やってるって朝聞いたんだけどマジ?あっ、盗み聞きみたいなことしてすまん。」

「まあ、タップジンは好きでやってるよ。」

「マジか!俺もやってるんだけどさ、高校生になってそういうことしているとダサいって思われそうで言えなかったんだよね。いやーマジかー。」

「タップジン仲間がいると心強いな。会話のタネなんておもちゃかアニメ特撮か勉強ぐらいしかないから。」

「特撮も見てんの?俺も俺も。なんかずっと勉強してっから会話しずらかったけど趣味全く同じじゃねえか!友達になろうぜ!


 こいつ、ごつくて厳ついくせに趣味が全く同じだ。同志だ。


「君は同志だ。友達だろう!」


 熱く握手を交わす。ああ、同志、いい言葉だ。


「タップジンなんだけどタップグループ作ってるんだけど、黒刃の翼っていうやつ。はいらない?」

「黒刃の翼だと?」


 確かようたくんを、年下を煽りに煽っていた調子に乗った中学生たかしくんがいたグループだな


「なあ、そのグループってたかしくんってやついないか?」

「ああ、うちの弟だけど。確かゴールデンウィークで平野でクソボッチ高校生にボコられたって言ってたな。」

「そのクソボッチ高校生は俺だ。グループには絶対入らん。」

「な、なんだと。そのクソボッチ高校生は平野でマイスターって聞いたけど、お前あの店主倒してるのか!!!」

「まあな。」

「うちの弟が無礼を働いた。どうか許してくれ。」

「僕は別にいいけど。でも弟には相手にしっかり謝るように言っておいてくれ。ちなみに暴言吐いた相手は立川さんの弟と妹だからな。」

「マジか、世界狭いな。」


 僕もそれは思った。


「今度俺ともバトルしてくれよ。」

「望むところだな。マイスターを倒せるのか?」

「倒してみせるさ、クソ生意気な弟の仇。」


 彼は笑ってゲンコツに息を吹きかけて言った。きっとたかしくんには今日の午後げんこつの雨が降るでしょう。


「改めて、俺は広瀬源太だ。」

「よろしく、僕は生茂玩だ。」


 カレーを食べ、財布に入っているお金を確認する。おもちゃで使い切って今は金欠だ。25日の給料日を待つしかない。100万入るのだ、わくわくしかない。


 帰りのホームルームがおわった。今日は二人も友達ができた。うんうん、充実している。これをリア充というのだろう。

 放課後、広瀬くんは部活、立川さんは女子グループと帰って行った。友達と帰るのは夢だったが、いずれできるだろう。

 突然鞄の中に入れていたG石板が震えた。


 {招集}

 邪神が現れました。今回の業務説明をしたいのですぐに大神殿1号館大会議室に来てください。


 ようやく仕事か、待ちくたびれた。

 G石板を操作しながら路地裏に行き、誰にも見られていないことを確認して神界に転移した。


読んでいただきありがとうございます。ブックマーク、評価を何卒お願いします。

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